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どうなる”ビクトリーブーケ”!?世界に誇る日本の花の技術!!

春と言えば、出会いやお別れの季節・・・そんな人生の転機を彩るものといえば『花束』。今日は、そんな花束=ブーケのお話。

ここ最近、特にスポーツの場面で、もしかしたらお気づきでない人もいるかもしれない、ある変化が起きているのです。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!3月21日(水)は、レポーター近堂かおりが『どうなる”ビクトリーブーケ”!!世界に誇る日本の花の技術!』をテーマに取材してきました。

★リオ・平昌にはなかったビクトリーブーケ

まずはどんな変化が起きているのか? 生花の流通・小売『第一花き』総務部『ビクトリーブーケ・プロジェクト』事務局の松永仁美さんにお聞きしました。

松永仁美さん
「元々、世界大会ではブーケを送るというシーンは、当たり前のように見ていたと思うんですが、夏のリオ五輪の時に、このブーケが贈呈されなかった。実際にはメダル立てをプレゼントされたそうだんですが、生産そのものが国にとって重要な産業でないこと、それから持続可能性というのが、五輪で重要なキーワードとなっていて、ゴミになるとか、検疫の課題があって、もらった選手がもって帰れないという事を理由付として挙げられてたという風に聞いているんですが、その当時夏の2020年の東京五輪が決まっていましたので、その時に、ブーケ無しの大会にしたくないな、ということでプロジェクトを立ち上げました。」

あれ・・・?メダリストは手に花、持っていたかしら???という方も多いかもしれませんね。スポーツの大会で、表彰台に立つ人に贈られるブーケを『ビクトリーブーケ』といいますが、オリンピック・パラリンピックだけでいえば、2016年のリオ五輪からなくなっています。元々1984年のロサンゼルス大会以来、メダリストにはメダルとブーケが贈呈されました。

五輪のメダリスへの贈り物は、毎回、開催国の組織委員会とIOCとの間で大会要件を決めるのですが、その要件の中に”ブーケ”の言葉があるそうです。しかし、リオ五輪以降、開催国の事情や、持続可能性といった環境への配慮などの理由から、必ずしもブーケでなくてもよい、というようになった、とされています。実は先日閉幕した、冬の平昌オリンピック・パラリンピックでも、ビクトリーブーケは消えていました。

こうなると気になるのは東京オリンピック・パラリンピック。日本の大会組織委はまだ決定していないとしていますが、『やはりお祝いのシーンにはお花は欠かせない!』という熱い思いもあり、松永さんたちは、日本は、良いビクトリーブーケ作る技術がありますよ!と、国内外に伝える活動をしている最中。それがビクトリーブーケ・プロジェクトです。

★ビクトリーブーケはただの花束、ではないのです!

良いビクトリーブーケを作る技術、というお話がありましたが、そうなのです!実はビクトリーブーケって、ただの花束、ではないのです。再び、松永さんのお話です。

松永仁美さん
「ブーケの実際に大きさであったり、香りの強すぎないもの、お花はとっても香りが大事な品目もあるんですが、逆に選手が手に盛った時に、過敏な反応を起こさせない品目・品種を選ぶということも求められますし、尖りの無いもの、刺の無いもの。これは、選手がスタンドに向かって、投げることもありますので、そういった要素も求められています。それから、ビクトリーブーケは力を込めて掲げるので、グリップ=握る部分をしっかり作ってあげる、というスタイルにもこだわりがあります。それ以外にも、夏は水が腐りやすかったりとか、直射日光でお花が痛みやすかったりするんですけど、そういう時期でも日持ちするよう、長年研究開発している。」

ビクトリーブーケのお披露目は一瞬ですが、一般的なブーケとは違った、ビクトリーブーケならではの工夫が求められ、色々と気を遣う点があるのです。当然、大会にぴたりと合うように育てるのも大変ですし、会場の環境に合わせた取扱いなども大変。とにかく実際の競技大会会場で、そのあたりの工夫を水泳連盟などと連携し試しています。近々だと、4月3日からの東京・辰巳の日本水泳選手権競泳大会に提供するそうです。(表彰の場面では、ぜひお花にも注目してみてください!)

★ビクトリーブーケに適した菊を開発!!

そしてもちろん目指すは東京オリンピック・パラリンピック!・・・となると、花にとっての最大の敵は、やはり暑さ。

実は、暑さに強く、茎がしっかりしている、などの理由で、ビクトリーブーケ向き、と注目されている花があります。それが、菊!!仏様へのお供えというイメージが濃いので、あまりブーケとは結びつかないかもしれませんね。そこでこんな改良がされています。菊の育種・種苗販売を行っているイノチオ精興園株式会社、育種開発部の矢野志野布さんにお聞きしました。

矢野志野布さん
「夏に咲いててもケイトウさんとかは、一日で腐ったりとかする花なので、そう意味では、花持ちがピカイチなのは、菊だよねと。その中で、ブーケに使うんで、たくさん花びらがあって、デコラ咲きとか、ポンポン咲きとか、そっちの品種改良に力を入れました。その次は、夏でも変わらない色を出す…仏様にお花を供えるわけではないので、例えばピンクの色って、暑すぎると、白系の色が勝ってくるんで、ピンクが白になったりするのを、ずっとピンクになり続けるのを捜すのが大変だったんですよ。『全然色が違うよ~』っていう事態が起きるんですよ、試験を重ねていくと。」

夏に強いことで、白羽の矢がたった菊でしたが、花の形と色がブーケとなると課題。形については、デコラ=八重/ダリアのような咲き方、ポンポンは真ん丸く咲き方のもの。色については、多くの人が思い浮かべるのは、白・黄・紫色だと思いますが、ビクトリーブーケに映える真っ赤・薄い黄色・ピンクなどの色を目指しました。なかでもピンクは難しかったそう。というのも、夏は、暑さで花に含まれる”アントシアニン”という色素の働きが抑えられてしまい、白く咲いてしまうことがあり、そこが苦労。

『ピンクになるはずなのに!』と何度も思ったそうです。そういった研究を繰り返し、ビクトリーブーケ向きの、花の形・色が、共に安定して出る4品種が、ついにできました!!

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ビクトリーブーケ向けに改良された、新しい菊の花。

近く市場にも出回る予定です。楽しみですね!!

★ビクトリーブーケに適した菊を開発!!

元々、夏に強く、色・形も色んなバリエーションが出てきた菊。さらに、菊にはこんな強みもあるのです!再び、矢野さんのお話です。

矢野志野布さん
「仏様を始め色々花を使う国ではあると思いますよ。だから、日本は夏に咲く菊の研究ではどこの国よりも、先んじていると思いますよ。うちは毎年5千種近くの品種を選んで、翌年までに数百種に落として、というのを繰り返している会社ですからね。そういう意味でも、やっぱり同じ花を作ってくださいよってお願いした時に作れる人達がたくさんいるというのは、一つのキーになると思うんですね。もし使ってもらえるんであればねブーケにね、みなさんがもって、手を掲げてほしいなと思って。本当に蒸し返すような暑さの中でも、ブーケが渡せるだけの生産技術をもった農家さんたちが花を出すことができるんですよ、ということをアピールできるんじゃないですかね。」

菊は、お供え用など、お盆の暑い時期に使われてきている経緯があるからこそ、高い生産技術を持つ作り手がたくさんいるのです。だから、夏の暑い東京五輪のビクトリーブーケとして、高い質の花を大量に用意することができるはず!・・・と話してくださいました。

東京オリンピック・パラリンピックの贈り物は、花業界のほかにも、陶磁器業界も、注目しているようです。メダルと何を渡すのか、組織員会の判断が気になるところですね。

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「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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