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無資格でも通訳ガイドが出来る!法改正で何が変わるの?

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が一気に増えていますが、そこで問題となっているのが外国人観光客を案内できる「通訳ガイド」の不足です。その問題を解決すべく、今年に入ってある法律が変わったそうなんです。3月15日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

まずは、法律がどう変わったのか?日本文化体験交流塾の理事長・米原亮三さんに伺いました。

★通訳案内士法の改正で、無資格でもガイド可能に

日本文化体験交流塾・理事長 米原亮三さん
『通訳案内士法』という法律があって、外国人に“有料で”旅行の案内をするのは『通訳案内士』という資格を持つ人でなければならなかった。それ以外の人が有料で行うと法律で罰せられた。
それが、去年5月の国会の審議で法改正になり、今年1月4日から、通訳案内士以外の人でも有料で外国人に旅行の案内をして良いことに変わった。これが一番大きなポイントですね。
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森本毅郎スタンバイ!

通訳ガイド、無資格でも有償で行えるようになりました

これまで、有料で通訳ガイドが出来るのは、国家資格を持った「通訳案内士」のみでしたが、今回の法改正で、資格を持たなくても有料でガイドが出来るようになりました。現在、通訳案内士は全国に約2万2000人いますが、2016年の訪日観光客の数は2404万人。こうして数字を比較してみると、通訳案内士はかなり少ない印象です。また、訪日観光客が多く訪れる首都圏には多くの有資格ガイドがいますが、地方の観光地では極端に不足していたようで、このことも規制緩和のきっかけとなったようです。

★規制緩和をチャンスに!旅行業界の動き

そして早速、この規制緩和を受けて旅行業界では新たな動きが出てきました。株式会社エイチ・アイ・エス「Travee(トラビー)」事業担当の、松本直美さんのお話です。

株式会社エイチ・アイ・エス「Travee(トラビー)」担当 松本直美さん
エイチ・アイ・エスでは、今年1月4日から、トラビーというガイドマッチングサイトのサービスを始めました。簡単にいうと、海外からの旅行者と、日本に住んでいるガイドとのマッチングサイトです。今のところ日本全国で1400名くらいのガイドさんにご登録いただいています。訪日外国人は個人旅行者が非常に伸びている状況で、ガイドとしてのニーズがあるのは把握していたので、マッチングサイトを提供することにより、地域や人々の国際交流の気持ちに貢献できるかなと考えております。また、日本を訪れる旅行者にとってはガイドさんによって日本の印象が変わったりすることもあるので、より良いガイド育成にも力を入れていきたいと考えております。
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森本毅郎スタンバイ!

H.I.S.「Travee(トラビー)」http://travee.co/

旅行業界は、今回の規制緩和をチャンスと捉えているようです。エイチ・アイ・エスでは「Travee(トラビー)」というガイドと観光客のマッチングサービスを始めました。全国の、地元を知り尽くしたガイドを探せるようになることで、旅行業界としては従来の旅のプランに加えて、通訳ガイドも有効なコンテンツとして発信したい考えです。海外駐在経験のある方や、国際交流に興味のある大学生など様々な方がガイドとして登録していて、現在8割が無資格者、2割が有資格者だそうです。

★一方で懸念されるのが「質の低下」

このように、今回の規制緩和で通訳ガイドの不足は徐々に解消されつつあるようですが、一方で、日本文化体験交流塾の米原さんは、こんな懸念もあるとお話してくれました。

日本文化体験交流塾・理事長 米原亮三さん
プライドのあるきちっとした職業なのに、その人たちが就労できない。その人たちの仕事を、ちゃんとした知識を持っていない人たちに奪われていくことはとても危険ですね。それから無資格で、例えば話が面白いけどとてもデタラメな人たちが京都や大阪で活躍されれば、私たちの国が正しく伝わらない。これが一番大きなリスクですね。例えば酷い話ですが、都庁に太田道灌の銅像がありますよね。これをある中国の方は『徳川家康』と言うんです。楠木正成も『徳川家康』。もうなんでも良いんです。そういう方がたくさんいる。それだと日本を正く理解されないじゃないですか。日本の文化を正しく伝えるためにも、通訳案内士が必要なんです。

ご紹介いただいたのは一部の極端な例にはなりますが、やはり厳しい試験をクリアした通訳案内士であれば一定以上の質は担保されますが、無資格のガイドが可能となると、こういった問題も出てこないとも限らないという懸念はあるようです。

また、通訳案内士がトレーニングする機会としての簡単な仕事(ホテルや空港への送迎業務など)が、無資格ガイドに奪われてしまう恐れもあると仰っていました。

★通訳案内士で「食べていける」人を増やすには

最後に、米原さんは、通訳ガイドを増やすためには法改正だけでは十分でないと指摘しています。

日本文化体験交流塾・理事長 米原亮三さん
一番大きいのは、仕事の波を平準化して欲しいということ。オフ期に通訳案内士に仕事をあげる仕組み。例えば僕たちのところだと、4月にガイド派遣したのは700人を超えます。その代わり1月になると100人しか仕事がない。7倍ぐらい差があるわけです。でも、非常に優秀な方ですから、わざわざ通訳案内士を生業としなくてもいろんな職業につけますよね。なので、通訳案内士を生業として働いている人は非常に少ないわけです。オフ期にも仕事を平準化していくことで、観光業は成り立つ。そういう仕組み作りをすること自体が、通訳案内士を増やすことになります。

現状では、通訳案内士は年間の仕事量が安定しないため、実はこれだけで食べていける人は2割にも満たないという統計も出ています。国は法改正で通訳不測を解消しようとしていますが、そもそもこういった現状を解消しないと、今後通訳案内士の増加は見込めないということでした。

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田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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