ドラッグストアなどには今年もいろいろなマスクが並んでいますが、そのマスクにも使われている注目の新素材のお話。最近、『花粉を水に変えるマスク』というものを見つけました。(市川海老蔵さんがマスクをしているCMや電車の中吊り広告を見た方もいるかもしれませんね。)そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!3月13日(火)は、レポーター近堂かおりが『花粉マスクで注目の新素材”ハイドロ銀チタン”!』をテーマに取材してきました。
★花粉を水に変えるってどういうこと??
花粉を水に変えるってどういうことなのでしょう? 実はそこに新しい素材が関係しているのです。このマスクを販売している DR.C医薬株式会社の営業部長・金光大邦さんにお聞きしました。
- 金光大邦さん
- 「実際には、花粉の中に入っているたんぱく質を水に変えるというテクノロジー。『ハイドロ銀チタン』という物質が花粉の中のたんぱく質を分解して水と二酸化炭素に変えてしまうというテクノロジーなんですが、大本の技術は40年ほど前に開発されて運用もされている『光触媒』がベースです。光触媒の技術をさらに進化させて、紫外線の力があってもなくてもその効果を出すことができるというのがこのハイドロ銀チタンの最大の特長です。」
”ハイドロ銀チタン”というのが、その新しい素材。ハイドロ銀チタンの主成分は酸化チタン(ファンデーションに使われる)という物質で、これが光触媒の性質を持っており、紫外線を当てると活性酸素を発生して、花粉の中のたんぱく質を”水と二酸化炭素”に分解するのです。この酸化チタンに、微量の銀とハイドロキシアパタイトという物質(歯や骨の主成分)を混ぜて、光がなくてもたんぱく質を分解できるようにしたのが、新しい素材”ハイドロ銀チタン”というわけです。
★ハイドロ銀チタン開発のきっかけは・・・
実はこの新素材を開発したのはお医者さん。現在はDR.C医薬の代表を務めている 岡崎成実さん。新素材開発のきっかけを伺いました。
- 岡崎成実さん
- 「私が23年ぐらい前に救急医療をやっている時代にアフガニスタンとパキスタンの国境にあるベシャワールという難民都市に行ったときに、あまりにも不衛生な環境をきれいにできないかと思ったのが最初なんです。それで日本に帰ってきてたまたま光触媒を見つけたんです。抗菌タオルとか院内感染を止めるカーテンといったものを開発しようとしていて、あるとき感染症のウイルスを分解するマスクを作ったんです。するとあるドクターが『院長先生、これ花粉症がよくなる気がするんですけど、そんなことありますか?』という話になったんです。そんなことはないだろうと。でもそういう人が数人出てきて。それまでは細菌・ウイルスを分解するためのものだったんですが、ひょっとして花粉の中に入っているたんぱく質を分解して結果的に花粉症を起こしにくくしているんじゃないかということが分かったんです。」
はじめはウイルスや細菌を分解する衣服を作ろうということで取り組んでいたら、偶然、花粉症にも効果があることが分かった。
さらにいろいろ調べたら、大腸菌、レジオネラ菌、ダニ抗菌など、いろいろな細菌・ウイルス・アレルゲンを分解することも分かった。食中毒、ぜんそくなど幅広い疾患を軽減できる可能性がある。さらに、汗やニオイの成分となる脂肪酸も分解するので、消臭効果も期待される、ということなのです。こうなってくると、マスク以外にも使えそうですよね。そこで、この”ハイドロ銀チタン”がどんなことに役立てられるか、新たな使い道を考えるプロジェクトが始まっており、いろいろな企業が参加しています。例えば、スポーツ用品のミズノはハイドロ銀チタンシリーズのスポーツウェアや靴下などを作っています。ほかにもワコールがインナーの開発をしたり、様々なメーカーが、タオル、スーツ、シャツ、ハンカチ、枕、帽子など、ハイドロ銀チタンを使った製品に取り組んでいます。しかし、基本的には、ハイドロ銀チタンくっつけやすい繊維関係の会社がほとんど。
★コンクリート業界がハイドロ銀チタン!?
こうしたなか異彩を放っているのが、『ノスキッド仕上げ研究会』。これ、コンクリート関係の会社の集まり。なぜ、コンクリート業界がハイドロ銀チタンに注目したのでしょうか?研究会事務局の前川真季さんにお聞きしました。
- 前川真季さん
- 「コンクリートの表面にいろいろ機能を付けて高価値なコンクリートを作ろうという企画の最中だったので、ハイドロ銀チタンがコンクリにくっついたらうれしいなと思いまして。いちばん実験が進んでいるのはマンホールの壁とか災害用のトイレ。そういうものに塗ったり、U字溝のフタの裏にハイドロ銀チタンを塗るとニオイがなくなるんです。夏だと異臭がしたりするんですけど、東京オリンピックに向けて公共の場所の悪臭防止。あとは内装用のセメント板。マスクをしていなくてもまるでハイドロ銀チタンマスクの中で暮らすようなパーソナルスペースみたいなものがあるとうれしいと思いました。」
金属やプラスチック、ガラスには”ハイドロ銀チタン”がなかなか着かないそうなのですが、コンクリートは大丈夫。実は前川さん、コンクリート関連の会社の代表のほかに、知的財産の専門家である弁理士のお仕事もしていて、さきほどの岡崎さんの論文のお手伝いをしていたので、コンクリートへの応用を思いついたそう。光を当てる必要がない、その手軽さや、薬品を用いない環境への負荷の少なさが、とても魅力的だった、ともおっしゃっていました。すでにマンホールなどへの応用はかなり実験が進んでいるということでしたが、アイデアだけならまだまだ出ているそうです。再びノスキッド仕上げ研究会・事務局の前川さんのお話です。
- 前川真季さん
- 「インフルエンザでもものすごく効くようなので家畜の感染症対策、鳥インフルエンザなどで使えないかとか。あと核シェルターが最近はやりなんですけど、細菌兵器が来ても大丈夫な核シェルターとか。あと面白いところでは水虫。かきたいときにかけないと辛いんですけど、全然ひどくならずにかけるようなマイルドな、尖っていないようなコンクリの青竹踏みとか、かいても大丈夫な孫の手を作ってみようかという話が出ています。」
花粉症やほかの病気への予防対策で効果が上がれば、医療費の削減にもつながりそうですし、これから幅広い分野に応用されていくのかどうか、期待したいです!!

花粉を水に変えるマスク。ハイドロ銀チタンの濃度によって使い分けられます。
★花粉を水に変えるマスク。ハイドロ銀チタンの濃度別に、白い袋が3枚入り1000円(3日間使用可能)。青い袋のほうが高濃度で3枚入り2000円(5日間使用可能)。

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。