きょうはクリスマス。令和最初の今年のクリスマスは面白いものが売れたようです。ヒット商品から世相が見える?!12月25日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは「食事」。今年のクリスマスはいつもと違うということを見越した商品がヒットしていました。それは、献立セット。自宅で簡単に料理が作れるセットで、料理に必要な野菜やお肉や調味料が必要な分だけセットになって送られてくるものですが、このジャンルで有名な「オイシックス」を展開するオイシックス・ラ・大地株式会社にお話を伺いました。広報の丸尾幸子さんのお話。
★増税後初のクリスマスは“おうちでごはん”
- オイシックス・ラ・大地株式会社 広報 丸尾幸子さん
- 「昨年と比較して、クリスマスの食卓にかける金額を、増税の影響もあって、節約しようというお声をたくさんいただいていた。また、クリスマスイブが平日ということもあり、外食を控えてお家でクリスマスをお祝いしたいというお声もたくさんいただいていたので、私たちは、クリスマスと平日3日分の夕食ができる〝献立セット〟の 「『ちゃんとOisix』クリスマス」という商品を販売しました。レシピ通りに作ればクリスマスメニュー1日分と平日メニュー3日分、合計4日分の晩ごはんのメニューを作ることができます。2人前で6,317円(税抜)。1日分が1,000円いかない位。限定3,000セットで用意していたんですけど、予想を上回る反響をいただき、かなり早い段階で完売しました。」
オイシックスには、普段のごはん用の3~5日分の献立セット「ちゃんとOisix」というラインナップがあるんですが、この内の1日分をクリスマス用のスペシャルメニューにしたら、見事当たったということです。クリスマスメニューの内容は、生クリームを使った鶏の煮込み料理「チキンフリカッセ」、ベビーリーフと生ハムを組み合わせてクリスマスリースのような形にする「生ハムの彩りリースサラダ」、そして「えびとブロッコリーのアヒージョ」。平日用には豚汁やしらすごはんのあんかけオムライスなどが取り揃えられています。
また、今年のクリスマスは、消費増税による節約志向に加え、30年ぶりに23日〜25日の3日間のすべてが平日ということで、みんな外食を控えるだろうといわれていました。
そこでオイシックスのほかにも、ピザのチェーン店や出前系のお店が、あの手この手で「中食クリスマス」に引き込もうとしていました。また、スーパーのイオンも自宅組を当て込んで、サーモン推し。フランスではサーモン料理がクリスマスの定番なんだそうです。
★クリスマス直前に「紙袋」が大量に売れる謎
では次に、「クリスマスプレゼント」の動きはどうか。ビジネス系のネットメディア「ITmedeliaビジネスONLiNE」の記者でユニークな取材をしている服部良祐さんにお聞きしました。
- 「ITmedeliaビジネスONLiNE」記者 服部良祐さん
- 「クリスマスの売れるもの・売れないものというので取材を進めていたら、個別の、例えばどのブランドがとか、どのジャンルがという話よりも、ちょっと意外な事実が浮かび上がってきました。なんでもフリマアプリでクリスマス直前になると「紙袋」が売れているそうです。これはフリマアプリを運営しているメルカリに独自データをもらって取材したんですが、アプリ上では「ショップ袋」というカテゴリーで、例えばルイヴィトンとかシャネル、エルメスのようなブランド物の紙袋や空き箱ですね。12月に入ると、ほかの月のだいたい2倍ぐらいの売れ行きを示すそうです。正直、もうちょっと具体的な流行りものがヒットするんじゃないかと思っていたので、なぜあんまり役に立たないような紙袋が売れるのか、かなり意外でした。」
ブランド品を買ったときに商品を入れる、手さげの紙袋「ショップ袋」が売れているそう。捨てるのがもったいないので家にとっておいている人も多いと思いますが、お小遣いになるからというので、メルカリをはじめ、ほかのフリマアプリにもたくさん出品されているんです。服部さんがメルカリのデータを調べたところ、それがクリスマス直前の16日〜17日にものすごい勢いで売れていたことが分かったそうです。
★プレゼントの中身も紙袋もメルカリで購入している?
これはどういうことのなのか?これもやはり今年の世相が透けて見えるんです。再び服部さんのお話です。
- ITメディア・ビジネス・オンライン 服部良祐さん
- 「おそらく背景としては中古市場が非常にいま広がっていて、データからの推測ですが、中古品に対する抵抗感が比較薄まっているのではないかというのがひとつ。もうひとつは、日本は長らくデフレが続いていたので、プレゼントとはいえ、できるだけ少しでも安くすませたいという消費者心理がひょっとしたら働いているのかもしれません。一方で、中古品ですと袋や箱が付いていない場合が非常に多いと思いますので、やっぱりそこで新品に見せたいのか、それとも中古品や新古品(未使用のもの)も袋を付けて新品に近い形でせっかくのプレゼントを渡したいという消費者心理が働いているのかもしれません。」
ブランド品の紙袋を買って、その中に中古のブランド品を入れてプレゼント!メルカリとは別のあるフリマアプリの運営会社が利用者にアンケートしたところ、クリスマスプレゼントをフリマアプリで買うのは「アリ」という人が2割もいました。さらに「中古はだめだけど、新品同様の新古品ならアリ」という人も合わせると6割がOK。
★若い世代は、中古品に対する抵抗感が少ない
ただ、フリマアプリ利用者にとったアンケートなのでこの数字になるのではないかと思ったので、町で若い方たちに聞いてみました。
- ●「(男子大学院生)アリだと思います、あげるのも、もらうのも。ぼくがメルカリをやっているので。今日も中古品を発送してきたので。だから全然、いいかな。」
- ●「(女子大生)私はナシです。クリスマスって1年間頑張った自分へのご褒美なので、ずっとほしかった新品がほしいです。」
- ●「(男性会社員)ナシだと思います。恋人にあげるんだったら絶対そんなのは…って思います。」
- ●「(20代女性)ナシ。あげるなら新品ものを人にあげたいから。」
- ●「(30代男性)中古はナシ。人にあげるんだったら新品。(もらうんだったらどう?)まあ、自分が知らなきゃ。知らぬが仏って言うじゃないですか。」
- ●「(30代男性会社員)もらう側に関しては気づかないからねえ。」
街の皆さんに聞いてみたら「人に贈るものに中古品を買う」という人はほとんどいませんでした(「贈るのももらうのも問題ない」という人は一人だけ)。
一方、「中古品をプレゼントされたら?」と質問すると、これは「分からないから大丈夫」という方が多かったです。服部さんの言うように、中古品に対する抵抗感は、若い方たちは確かに薄れていると感じました。来年のクリスマスプレゼントはどうなることやら…。