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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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文化庁の調査で【憮然】誤答6割 この調査は何が言いたいの?

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文化庁が毎年行っている『国語に関する世論調査』。2018年度の結果が発表されました。調査の中身は、言葉への関心や、読書の習慣についてなど、いろいろあるんですが、よく取り上げられるのが慣用句の意味、正しく使えているかどうかの調査。 そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!10月30日(水)は、『文化庁の調査で【憮然】誤答6割 この調査は何が言いたいの?』というテーマで近堂かおりが取材をしました。

 

文化庁の調査で【憮然】誤答6割 この調査は何が言いたいの?http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191030073128

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★【憮然として立ち去る】ってどういう意味?

今回の調査では、【憮然】【御の字】【砂をかむような】の3つが聞かれました。結果は、どれも6割の人が間違えていました。私も勘違いしていたのがありましたが、みなさんはいかがでしょう?調査は5つの選択肢から選ぶことになっているのですが、街の皆さんには、【憮然として立ち去る】の意味を、選択肢なしでお聞きしました。

●「機嫌悪いほうの感じ。”はあ!?”みたいな顔。」
●「ぷいっと怒ってその場を立ち去るみたいな使い方をしてますね。」
●「しれっと…みたいな。」
●「無意識というか、何も考えず立ち去る…みたいな感じですか?」
●「分かるんだけど、説明しろっていうのは難しいね。ムッとしたというか、無表情というか。(失望してぼんやりとしている様子のことを言います)ええ!?そんな冷静じゃないよね。ええ? そうなの?」

文化庁の調査では、【憮然】の意味は、選択肢は5つ。(ア):失望してぼんやりとしている様子。これが正しい。正解率28%。(イ):腹を立てている様子。こちらを選んだ人が半数以上(56%)。(ウ):(ア)と(イ)の両方(6%)、(エ):(ア)(イ)とは別の答え(1%)、(オ):分からない(7%)という結果でした。

★【砂をかむような】の意味は?

もうひとつ、【砂をかむような】という慣用句。こちらはみなさんどうでしょう?これも街の皆さんに選択肢なしで聞きました。

●「言葉は聞くけど使ったことないな。じゃりじゃりした感じだから、ちょっと嫌な感じ。不本意な思いをしたんだろうねっていう感じ。」
●「悔しいとか、やるせない。」
●「よっぽど苦い思いをしたというイメージはありますけどね。でも砂って歯応えがないから辛くはないかもしれないですね。」
●「アサリの身を食べたときに”ガリッ、ああ!”っていうあの感じ。違和感。」
●「砂をかむような…よくないよね? 悔しいんでしょう。くやしさが滲み出てる。(特に悔しくはないそうです)えっ、なんで!? ええ??」

【砂をかむような】は、無味乾燥でつまらない様子。文化庁の調査では正解率3割。半数以上の人が、【悔しくてたまらないようす】を選んでいます。街の皆さんはほとんどの方が【悔しい】。

★この調査結果をどう活かしていくのか?

こうした結果を受けて、今日のテレビのワイドショーなとではクイズっぽく紹介するのではないかと思うのですが、私はこの調査結果を見て、「それで何なの?」と思ったんです。というのも、この結果についての考察とか今後の課題が書かれていない。そこで専門家にこの調査結果をどう考えるか、うかがいました。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』など、言葉についての本を多数お書きになっている、大東文化大学文学部の准教授・山口謠司さんのお話です。

山口謠司さん
「こういうふうに意味を取り違えられているということは、日本語がどんどん変わっているのだろうなという感じもします。ただ、毎年この調査を見ておりまして、国語力が低下しているというようなことが言われるんですけども、国語力低下をこの調査が変えていこうとする意志があるのかどうかというところが問題だと思います。つまり、これだけの人が間違えているということを調査して結果を出していくだけでなく、国語力をアップさせるような方策を文科省がやっているのかどうかということです。正しい言葉を身につけさせるような教育がいま行われていない。とにかくいい点数を取るためにはたくさんのものを黙読、黙読ということで読んでいくようになっていきましたので、音読を通してもっと本当の言葉を知ること。そういうところからやっていかないと国語力はどんどん落ちていくばかりだと思います。」

この調査の目的として文化庁は、【国民の国語に関する興味関心を喚起する】ことと【国語施策の立案に資する】と書いている。山口さんは、毎年この調査結果を国語力アップのための方策につなげているの?と疑問を呈していらっしゃいました。試験を効率的に解くための読み方に偏っていないか、と。ゆっくり考えて読むことも大事。そのために山口さんは、もっと”音読”を見直そうと言っている。たしかに、音読する方が、分からない言葉に気づきやすいですよね。

★語彙力だけでなく理解力にも。

ゆっくり考えて読むということは、単に、語彙力の問題だけでなく、人の話を理解する力にも関係する、と山口さんはおっしゃいます。

山口謠司さん
「ゆっくり文章を読んだり本を読んだりしないのと同じように、ゆっくり人の言っていることを聞くということもだんだんなくなってきました。結果だけを聞いてすぐに判断してしまう。しかも、その判断の仕方が、白黒つけるというような、安易な判断の仕方をするようになってそのことがよけい人を不安にさせると言いますか、聞いた言葉に対してすぐに反応しないといけない。良い悪いということで反応していかないといけないというようなことになってしまって、かえってあおっているんじゃないかなと思いますけどね。」

SNSなどの、一つの言葉で炎上していまう、ということや、政治家や有名人の発言が炎上する、ということが増えているように感じますが、語彙力だけではなく、前後の文脈から理解する、という私たちの【国語力】によって、変わってくるのかもしれませんね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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