夏休みも残りわずか。私などは図書館に行って夏休みの宿題をやっていた思い出もありますが、今日はちょっとユニークな図書館のお話です。たくさんの人に来てもらうために色々と工夫しているそうのです。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!8月21日(水)は、レポーターの近堂かおりが『書き込みOK!そして預金通帳?変わる図書館』というテーマで取材をしました。
★蔵書に書き込みができる図書館!?
まずは大分県にある私設図書館・栗茶庵の宇野大介さんに聞きました。
- 宇野大介さん
- 「私設図書館になりまして、小説とか政治経済とか歴史書とかエッセイとかそういったものを揃えております。約3000冊の蔵書があります。特徴はですね、本に書き込みができるという特徴があります。普通の図書館だとあまりちょっと面白くないなと思いましたので、昔、自分が教科書とかにパラパラ漫画とか書いてたんですが、人が書いたのとか自分が書いたのとかを見て楽しんでたので、そういうものをたくさん集めた図書館ができたらなって最初に思っていました。意外とプロが書いた文章の中に私たち素人が突っ込みを入れるようなところで、しかもそれが結構、的を射てるような突っ込みがあって。こういう見方もあるのかっていうものも見られますので、ただインプットするだけじゃなくて、アウトプットするような読み方が楽しめるかなっていう風に思いました。」
こちらの『栗茶庵』は私設図書館。利用は有料。料金は最初の1時間は400円、以降30分ごとに150円。
本を読んだり、休憩したり、本の持ち込みも大丈夫。コーヒー、水など無料。
そして、蔵書に書き込みがオーケー!(すごいですよね。一瞬耳を疑いました。)
『読んでいる瞬間の気持ちを書き込むことで、読み手の人生の一部に触れることができる』ということで、ここでは書き込みのある本の方が価値がある。
みなさん、書き込みOKを面白がって、評判は上々。
ただやはり自分が書き込むことに抵抗がある人もいるそうで、意外と皆さん書き込まないんですが、ぜひ気軽に書き込みしてみてください!と宇野さん。
一人で本を読んでいても、誰かと意見を言いながら読んでいるような感覚になりそうで、非常に興味が湧きました。
★通帳のある図書館!?
続いては、全国の図書館で広まってきている、ちょっと面白い取り組みです。春日部市立中央図書館・館長の山本茂樹さんのお話です。
- 山本茂樹さん
- 「銀行の通帳と同じような形をしていまして、大きさも同じぐらいなんですけれども春日部市・読書通帳という形で発行しておりまして、そこにですね銀行の預金高が出るような形で図書館で借りた本の履歴が印字される通帳です。春日部市ではですね平成28年からスタートしてるんですけれども、小学生を対象にスタートして、おかげさまで先月までで合わせて5000人ほどのですね、児童を中心にした利用者が登録をしてくれてます。子供たちから評判が良くてですね、大人の方あるいは幼児のお母さんから私たちにも欲しいというようなご要望があって、今年の1月から全利用者に発行するようにしています。知ることの蓄積が履歴となって残るということで大人の方もやはりそれが欲しいということだと思います。」
いま全国のいろいろな図書館で読書通帳を導入する動きが広まってきています。借りた本の名前、著者、貸出日などを銀行の預金通帳のように印字し記録することができるもの。
ある図書館では本の定価も印字してるとか。総額が分かるのも、読んだ実感がありそうですね~!
春日部市立中央図書館では、もともとこども達の読書意欲を高める目的で、導入されましたが、これが大好評!大人からもどうしても欲しいとの要望が多く、今年の一月から大人にも解禁しました。
銀行でも最近は通帳廃止、という話が聞かれる中、そもそもこども達は、通帳が銀行で使うもの、と思っているか分かりませんが、楽しんで読書の貯金をしているそうで、これまで400人近くが一冊使い切って新しい通帳に更新をしているということです。
★世の中には無いものだったので・・・
大好評で広がりつつあるこの新しい機械、読書通帳ですが、最初に始めたころは苦労があったそうなのです。開発元の株式会社・内田洋行のユビキタスライブラリー部・部長の坂東紀典さんのお話です。
- 坂東紀典さん
- 「世の中にそれまでなかったものだったので、なかなか受け入れてもらえなかったというのは正直ありますね。導入された図書館だと新聞なんかにも出たりして、注目をいただくことが増えたので、図書館の皆さんからお問い合わせをいただくことが増えましたね。そうですね全国で40の自治体で、約180台ご利用頂いてます。ただ、当社が最初にこういうものを出して、やはり類似のものも出てきたので、お客様からすると選択肢は増えたんでしょうけど、競争も出てきてるかなと。注目されてるという証拠にはなるかなと思います。」
そもそも図書館の貸し出し記録は個人情報の観点から、残してはいけないものなのです。その点で導入までの苦労がありました。
そこで、”個人所有で”、”個人的に”履歴を利用する、という形にした。(借りている本を印字する。返してしまった後では、遡って印字はできない。)
どこの図書館でも、貸し出し履歴を知りたいという要望は多くあるのだそう『二か月前に自分が借りた本のタイトルを知りたい!』など。そういったニーズに応えられるものとして人気なわけです。
類似の製品も出てきているということで、注目の度合いを感じますよね!また、この秋以降の導入に向けての問い合わせも多くあるそうですから、地域の図書館でも読書通帳が始まるかもしれませんよ。(私もぜひ作りたい!!)
★通帳といえば【読書通帳】になるかも!?
最後に、各図書館では読書通帳をきっかけに、こんな仕掛けもしているそうで・・・。内田洋行の坂東さんのお話です。
- 坂東紀典さん
- 「まず図書館さんの方では、一冊の通帳で216冊の本が印字できるんですね。いっぱいになったらちょっとしたプレゼントをあげたり、あるいは表彰状を渡してあげたりあるいはいっぱい本読んだよっていうのをアピールできるような缶バッチを渡してあげたりっていうようなイベントを企画されてる図書館があるようですね。それぞれオリジナルの通帳のデザイン地元のゆるキャラをされたりその通帳のためにわざわざデザインを起こしたり、自分の故郷の図書館の通帳だよっていうのを楽しんでもらってるというふうに思います。今どんどん世の中デジタルになっているのに、なんでわざわざ手で触る紙の通帳なのというのはあると思うんですけど、でもかえってデジタルの社会だからこそアナログの良さ親しみ
やすさというがあって、これはこれで図書館で文化として残っていければなという風に思ってます。」
【貯蓄】の成果をイベントにしたり、通帳のデザインを地元オリジナルにして特徴を出したり・・・。楽しそうですね!
通帳のデザインはどれもカラフルで、可愛くて、凝っています。なんだかご当地マンホールみたい!
坂東さんに『銀行の通帳が無くなってきている時代ですから、こども達にとっては、【通帳といえば読書通帳!】となるんじゃないですか?』と伝えたところ、『そうなったら嬉しいですね~!』とおっしゃっていました。
いろいろな新しいことが始まっている図書館。楽しみ方もいろいろ、ですね!みなさんの地域にはどんな図書館がありますか?