このコーナーで何度か注目している夜盲症に悩む方たちの問題。暗いところでも明るく見えるウェアラブル眼鏡、HOYAの「MW10 HiKARI」で生活が改善できるかもしれない、ということで、この「MW10」のプレゼント企画を6月に放送しましたが、ついに当選者が決定!先日、プレゼント体験会を開催しました。
その様子、8月5日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
HOYAの「MW10 HiKARI(エムダブリューテン ヒカリ)」は、夜や暗いところで目が見えなくなる「夜盲症」の方を助けるゴーグル型メガネ。表側にカメラが付いていて、内側(目の前)にディスプレイが浮かび、そこに外の景色が夜でも明るく映されるというハイテクなメガネなんです。
6月に新型機が出たと報告した際「番組から2台プレゼントします」と告知し、その後、厳選な抽選で当選者が決定。当選されたのはこの皆さんでした。
★夜盲症で苦労する当選者の方々
- 新堀さん
- ●「新堀です。生活には家の中でも困ってたし、大型スーパーだと商品を探すのは不可能に近くて、近所の小さなスーパーでは、決まったものに三つ見つけてとか。」
- 小国さん
- ●「小国です。会社員で、書類を見たり、プロジェクターで部屋を暗くしたり、不便を感じながら。」
- 高見さん
- ●「高見直宏です。大学で彫刻や立体造形を教えてます。最近、自分が、木にデッサンした線が見えづらくなってきてる。」
- 袖山さん
- ●「袖山信です、特別支援学校、中学1年生です。」
- はるかさん
- ●「はるかと言います。生まれつきストローの穴から覗いているような、そのくらいでしか見えてなかったので、広い範囲が見えるんだったら見てみたいなとは思いました。」
- さやかさん
- ●「さやかと言います。曲がり角とか、そこでぶつかったりするのが多くて。」
- 牧野さん
- ●「牧野講平です。子供も5歳になって、暗い所で様子が見れない、奥さんが結局僕と子供を二人を見る状態で。」
2名なのにこんなにたくさん??
実は2名様にプレゼントの予定でしたが、応募が想像以上に多く、病気に悩む方80名以上からのご応募がありました。そこで急きょ、番組と、この「MW10 HiKARI」でおなじみのHOYAの石塚隆之さんで相談し、当初の3倍の6台のプレゼントに拡大!姉妹ひと組を含め、6組の当選者にお集まりいただきました。
その言葉から感じていただけたと思いますが、みなさん、苦労されているんです。
夜盲症というとその名前の響きから、夜、目が見えなくなり、外を歩けない、というイメージの方もいるかもしれません。しかし実際は、部屋の中で蛍光灯がついていても、かなり見えにくい、また視野も狭くて白杖なしでは歩けない方も多いんです。お話にもありました通り、スーパーで買い物をすることもできないということで、生活の苦労、そして将来への不安が伝わってきました。
★「MW10」で「見える!」驚き
では、夜盲症を助ける「MW10」をかけたらどうだったのか、聞いてみました。
- 小国さん
- 「見えます見えます、すごいよく見えます(笑)」
- 高見さん
- 「あ、はいはいはいはい、あ!そうですね、はいはい見えます見えます。すごい本当だ見える。はい、すごい見えます(笑)」
というわけで、かけた瞬間、驚きと喜び、そして笑いがこぼれた小国さんと高見さんのお二人でした。特に2番目の高見さんは、芸術関係の仕事をされている方で「色がすごい!」と、感動していました。
そして別のもう1人、新堀さんとはこんな実験をしました。HOYAの石塚さんとのやりとりです。
- HOYA石塚さん
- 「私、見えてますか?」
- 新堀さん
- 「メガネとかは分かりますネクタイも見えた、お顔の位置とか、こっちから光があたってるのは分かります。ネクタイは斜めの縞模様かな、青と紺かなんか。絨毯の感じもなんか分かった、一色じゃなくてちょっと混ざってる。腕時計も見えた。」
- HOYA石塚さん
- 「ちょっとMW10を外してみましょう(MW10を外す)。こんな暗さです」
- 新堀さん
- 「えー、全く、人がいるのもわかんない。すごいね、やっぱりね。」
MW10をかけると、細かいネクタイの柄まで見えるのに、外すと人がいることもわからない!普段見えないところでも、これをかければ、またお仕事ができるのではと、希望を持たれていました。
★家族の未来も変える
体験会が終わった後、TBSラジオのスタジオへ移動してみなさんにお話を伺いましたが、最初に「見えた!」と喜んでいた女性、小国さんは、こう話してくれました。
- 小国さん
- 「子供が一歳半になって、駆け出すことができるようになって、ちょっと外に出て行くと、もう絶対見失うと思ってたので、正直これからどう過ごそうと思ってたんですけれど、もうそれこそちょっと暗いところとか、水族館とか映画館とかは、そもそも、考えてなかったんですけれども、色んな所に連れて行って、気楽に一緒に出歩けるといいなというのがまず一つと、あと仕事をしていて、どんどん見えづらくなっていて、この先、自分はいつまで仕事を続けていられるんだろう、っていう不安がよぎることもあったんですけれども、こういう技術の進歩ですとか、ほんと今回実感させてもらったので、頑張っていきたいなという風に思いました。」
同じく当選された牧野さんも、お子さんを見たいと応募されたそうですが、今は子供に手を引かれるけれど「MW10」があれば、自分が子供の手を引けると期待を膨らませていました。
MW10当選で、夜盲症に悩む患者さんの未来はもちろん、そのご家族の未来も大きく変わることになりそうです。
★すぐに「見える!」とならなかった方は
…と、ここまで順調に喜んでいた方々ですが、「MW10」をかけても、すぐ「見えた!」とならなず「ん?」という方もいました。それは、「ストローの穴の視野」と仰っていたはるかさんと、お母さんが申し込んだという盲学校の中学生、袖山信さん。なぜ苦戦したのか?そして最後まで見えなかったのか?聞きました。
- はるかさん
- 「視野が狭いからなのか、ディスプレイを見つけるのが、結構、時間がかかっちゃって、でも、5〜10分かけてたら、ここかってなって。そしたら本当に明るいなって。これつけたら出歩けるっていうのは一番実感しました。」
- 袖山信さん
- 「小1からメガネで、ぼんやりし始めたから、こういう風景見るのが久しぶりで、眩しかった。」
- 袖山信さんのお母さん
- 「ニコッて笑ったんですよね、多分、見えた時だと思うんですけど、ニコッて笑った顔がとても嬉しかったです。その一言。字も書けなくなり、読めなくなりって状態だったんですけど、眼鏡をつけて、ニコッてした時は、まだこの子全然見えるんじゃないって、嬉しかったです。」
かけた直後は「見える」という言葉が聞かれなかったお二人。特にはるかさんは、妹のさやかさんが、比較的すぐに「見える」となったのに、しばらく見えないままでした。果たしてMW10では見えないのか、と思っていたのですが、そうではなかったよで、慣れれば見えてきたようです。
HOYAの石塚さんによれば、目が順応するのに、かけてから10〜15分くらいはかかるということでした。
また、この「MW10」はメガネの上からかけられないので、お二人は、度付きのメガネを外して見ていたので、ピンとが合わずに苦労していました。ただ、そうした方には、「MW10」に度を入れられるということで、この体験会の後、メガネ屋さんで検査して、度を入れるところまで、HOYAからプレゼント頂きました。
★ハズレてしまった方には…
最後に、今回の応募とプレゼントを受けて、HOYAの石塚さんに感想を伺いました。
- HOYA 石塚隆之さん
- 「本当にたくさんの応募をいただきました。本当に心のこもった応募読ませて頂きました。やはり患者様の期待に応えるということでこれをやらせて頂きましたので、今回、プレゼントはできなかったんですけども、もし差し支えなければですけれども、短期ですけどお貸出しをさせて頂ければと考えております。星が見たい、お子さんの顔が見たいっていうご希望はですね、それで、まずは見て頂ければと思っています。」
今回、外れてしまった方でご希望の方には、HOYAから短期間無料レンタルしてくださるとのことです。これについては、応募された方それぞれに、後日番組スタッフからご連絡いたします。
★買うと高い器具ですが…
今回、プレゼント体験会を通してわかったのは、MW10の実力と可能性。みなさんの未来が変わる器具だと実感しました。
購入するとなると、およそ40万円という高額なのが辛いところですが、ただその状況も、少しずつ変わってきています。先月、熊本県の天草市で福祉用具(日常生活用具)として認可され、補助金が出るようになったんです。
こうした動きが、様々な自治体に、少しずつ広がり始めています。困っている人が手にしやすい環境が整うといいですね。
★盲学校の生徒のために
しかし、それまで待てない、そんな方もいらっしゃるかと思います。盲学校に通う生徒のみなさんにとっては、このMW10があるのか、ないのか、これによって、将来の進路も変わってくるかもしれません。そこでクラウドファンディングで支援しよう、という動きもあるようです。
「見えない」を「見える」に助けたい、という思いから始まったこのプロジェクト、広がりを見せています。