夏休み中ということで、毎日のように各地で「盆踊り」が行われていますが、実は今、日本の「盆踊り」が「BON DANCE」へと進化しているそうです。8月6日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
その名の通り、ボンダンスは盆踊りの英語版。実は今、日本の盆踊りが世界でブームとなっています。株式会社クールジャパン エンターテイメントの孝藤右近さんのお話です。
★BON DANCE!
- 株式会社クールジャパン エンターテイメント 孝藤右近さん
- 「トーキョー ボン。ローマ字つづりで「Tokyo Bon」で、「Tokyo Bonodori 2020」という曲で、おととしの年末にリリースして公開して、1週間で100万再生、現在は7000万再生いってます。色々な意見はありましたけど、受け入れやすく、みんなが楽しめるのはポップだと思い、振り付けもポップに、ネコのフリとかを入れて、それが世界で評価されました。」
この「Tokyo Bonodori 2020」です。我々のイメージする盆踊りの曲とは全然違い、かなりポップ。歌詞も英語が多いんです。
この曲が世界中の若者(主に女子高生)の間で大人気で、この曲を「踊ってみた」という「BON DANCE動画」が世界中でアップされています。
特にフランスでヒットしていて、タクシーの中でも流れているみたいです。人気すぎて今月、第2弾となる「BON for Africa」を作り、発表されます。
★洋楽、JPOP、アニメソングまで!?
ポップな曲調が盆踊りの曲として世界で人気となっていますが、そんな流れが、日本の盆踊りの曲にもあらわれています。盆踊りに詳しい、日本民謡 鳳蝶流 家元師範で日本盆踊り協会 顧問の鳳蝶 美成さんのお話です。
- 日本盆踊り協会顧問 鳳蝶美成さん
- 「昔の盆踊りは民謡舞踊で、基本的には民謡でしか踊っていませんでした。ところが最近は民謡舞踊から離れて、JPOPやアニメソングなど民謡以外のものがかかっています。ここ4〜5年くらいで増えてきたと思います。」
洋楽やJPOP、アニメソングを盆踊り用にアレンジして踊る場合もありますし、原曲そのままで踊る場合もあります。
先週末に行われた「渋谷 盆踊り大会」でも、多くのポップな曲で使われていて、知ってる曲で踊れる、ということがウケて、多くの若者が盆踊りに参加していました。
もはや盆踊りの風景はずいぶん変わってしまって、お父さんお母さんは付いてこられないかもしれませんが・・・
ただし、同じく先週末に行われた築地本願寺の「納涼盆踊り大会」。こちらの盆踊りでは、少し事情が違いました。築地本願寺の石川 勝徳さんのお話です。
★伝統的な盆踊りも!
- 築地本願寺 石川勝徳さん
- 「築地の盆踊りは、いわゆる商業的なイベントではなく地域の盆踊りなので、例年踊りを楽しむメンバーの方もいるので、ポップなところでウケを狙わず、コンスタントにずっと同じ曲を流しているんですよ。」
全部が全部ポップな曲を取り入れているわけではなく、毎年変わらず昔ながらの民謡を使っている盆踊りもあります。新しい曲を使わないので、新しく振り付けを覚える必要もない硬派な盆踊り。それでも外国人はたくさん来ていて、今年も日本語・英語・中国語で案内がかかれていました。
海外では「BON DANCE」が人気となり、国内ではJPOPで踊る盆踊りと、伝統的な曲しか使わない盆踊り・・・。
★両輪のバランス
色々と種類が出てきている盆踊りの現状。これをどうとらえれば良いのか、再び、日本盆踊り協会 顧問の鳳蝶さんのお話です。
- 日本盆踊り協会顧問 鳳蝶美成さん
- 「若者が参加することで活気が一段と出てくるというのが大きい。伝統的なものもポップなものも、元は同じで歌ったり踊ったりするのは変わらない。それで喜ぶ人が多くなればそれで良いというのがひとつの考え方で、昔のものは昔のもので何百年と続いていますし、その両輪のバランスが取れてきて人気が上がっていると思っています。」
取材をしてみてもわかりましたが、商業的な人を集めたいイベントとしての盆踊りはポップな曲、地域のお祭りとしての盆踊りは昔ながらの民謡が使われる、そんな住み分けができてきています。
そして来年のこの時期はちょうどオリンピック期間中。昔ながらの盆踊りを楽しみたい人、JPOPで踊りたい人に加え、「BON DANCE」を楽しみたい外国人もたくさん日本に来ます。来年は今年よりもさらに、バリエーション豊富な盆踊りが開催されそうです。