先日、日本生産性本部などが、新入社員を対象に「働くことの意識」について聞いた調査で、「働き方は人並みで十分」と答えた割合が6割以上と過去最高を更新。ただ、それを聞いて「人並みに働く」ってなんだろう?と疑問に思ったので、若いビジネスパーソンに徹底調査!「人並みに働く」ってなんなのか?志田ディレクターが7月11日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
1年目、2年目の若い方を中心に聞くと、いろいろな「人並み」が見えてきましたので、ご紹介します!まずは、数字で徹底的に定義づけている「人並み」はこちらです
★「人並み」を数字で定義づけている人たち
- 男性1
- 「僕のイメージは、9時に出社し、18時に帰って、残業なしで、基本給20万もらえるのが、人並みなのかなーって」
- 男性2
- 「定時には帰るってとこですかね?自分入って2年目なんで、なんとも言えないですが・・・残業なんてするべきものではないと思うので、定時に帰ります。いつも自分は、5時半ですね。9時~5時半なんで、きょうは1時間早く出てるんで、その分早く帰る。きょうは帰ります。。」
今回の調査は、渋谷・新宿・新橋で行いましたが、一番多く出てきた「人並みに働く」答えは、こうした声でした
- 出社時間は「9時~18時」 絶対残業なし!
- 給料は「月給20万円」 これが若い人たちの人並み理想像
ちなみに・・・厚生労働省の調査によりますと、大学卒の初任給の平均は、「20万6700円」となっていました。
次に、数字ではなく「制度」や「生活スタイル」で「人並みに働く」イメージを語ってくれた方たちがこちらです!。
★「人並み」は「飲み会なし」「育休産休」「プライベート重視」
女性
- 「飲み会とかは一切なく、すごい「トップとってやる」ということでもなく、安定志向なのかな、上昇志向ではないのかな・・・来月から産休と育休をいただくんですけど、産休を取るのも含めて、人並みになると思います。」
- 男性
- 「やっぱりプライベートの方が優先してるかな。そんなに仕事もしてないわけじゃないけど、遊ぶときは遊ぶとメリハリしっかりしてる。お金の面はあんまり正直ないですね。プライベートとしっかり両立できたらいいなと思う。」
今は、みなさん、飲み会よりはプライベート重視、だからお金は飲み会じゃなくて、プライベートに使うんだそうです。
ここまでで、数字の面と制度や、生活スタイルの面から「人並みに働く」イメージがつかめてきましたが・・・それでは、なんでみんな「人並み」を目指すのか?こんな疑問に入社1年目の方が詳しく答えてくれました。
★なぜみんな「人並み」を目指すのか・・・
- 「人と一緒は居心地が良いので、自分もそうなんですけど、すごく楽なんですよね。分だけじゃないっていうのは。安心できる、僕だけ低いわけじゃないから大丈夫とか、給料が君だけ低いわけじゃないぞとか、共存はキーワードだと思います。あとは、変化は怖いので、あの人いっぱいもらってる、悔しいよね、みたいな、いいな、うらやましいな、みたいなのは居心地が悪いです。自分を否定されている気がするので、でもこっちといたら、わかってくれるので安楽。
それで人並みだと思います。」
人よりも高いお給料をもらってしまうと、仲間などから「あいつはいいよな」と言われるのが怖いそうなんです。つまり、人よりも高いお給料をもらう「変化」は嫌だ、だから人並みがいい。今回の調査の「人並み」が過去最高だった理由には、こうした理由も一つ、あるのかもしれません・・・、
ここまでで、「人並みに働く」理由がかなり見えてきたと思ったんですが。実は、同じ「人並み」を望む若い人の中には、もうひとつ、深刻な理由もありました。それが次の女性の方の声です。
★同じ「人並み」でも地方の方にとっては憧れの「人並み」という事情
- 「「一人暮らし」ができるくらいの金額を稼ぐことだと思います。・私は20万円前後で探しています。仙台から来ました。「一人暮らし」ができるレベルのお給料がほしい。仙台だと、それすら難しいので・・・・私の前の職場もだいたい14万円くらいで生活できないんです。なので、東京の仕事だったら可能そうなので、東京で就職活動します。」
自分一人が食べていけるくらいは、稼ぎたいという切実な訴えでした。厚生労働省が、毎年、都道府県別の初任給格差を発表していて・・・仙台のある宮城県含む、東北地方は、全国でワースト2位に初任給が低いんです。東京を100としたときに、東北地方は、88%しかもらえていない現状がありました。これは全国平均よりも低い初任給で「人並み」以下という現状なので、そういう意味で、地方の人にとっての「人並み」は東京の「人並み」とは、まったく違う意味だったことが今回の取材で見えてきました。