夏になってひんやり冷たい食べ物を食べたくなる時期ですが、最近「本来なら冬にアツアツで食べた方が美味しいんじゃないか」「わざわざ暑い夏にそれも冷やすか」という冷やしグルメが、いま大手企業から続々と登場しています。なぜ冷やしたのか?その狙いを7月3日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、取り上げました。
まずは、カップ麺でお馴染みのマルちゃんが7月1日に発売したばかりの新作から。東洋水産の岩野路夫さんに聞きました。
★東洋水産「マルちゃん 冷やしぶっかけたぬきそば」
- 東洋水産の岩野路夫さん
- 「マルちゃんの東洋水産では一昨日の7月1日から「マルちゃん冷やしぶっかけたぬきそば」を発売しました。お湯で4分戻した麺を湯切りした後に冷たい水で3回冷やしてつゆをかけていただく商品です。」
- ディレクター
- 「なぜ冷やしですか?」
- 東洋水産の岩野路夫さん
- 「緑のたぬきは1980年発売で来年40周年を迎えるんですが、今まで汁アリの商品しかなかったんですが、暑い夏に手軽に冷たいそばを楽しんでもらいたいと、今回初めての汁なし+冷たい麺という事で初の試みで開発しました。」
- ディレクター
- 「社内で冷やし反対はなかったんですか?」
- 東洋水産の岩野路夫さん
- 「やはり1回湯きるというところまではお客様はやきそばで慣れてると思うんですけれど、その後に水を入れて3回冷やすことには大丈夫かと意見がありました。」
- ディレクター
- 「温かい緑のたぬきを冷やせばいいと思うのですがそれではダメ?」
- 東洋水産の岩野路夫さん
- 「今回の麺は冷やし専用の麺ですので、緑のたぬきそばを同じように冷やしても同じものにはなりません。パッケージも冷やしぶっかけたぬきそばは明るい緑色にし識別を図っています」
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東洋水産の岩野路夫さんと「マルちゃん冷やしぶっかけたぬきそば」
温かいカップのそばでご存知の緑のたぬきは39年の歴史があるマルちゃんの看板商品ですが、初めて冷やしシリーズを出したんです。税別193円。
これ、温かい緑のたぬきを冷やしてもダメ。冷たい専用の麺を使っていて、別物だそうです。
岩野さんによりますと、2年半前から構想があって1年前に実際に売ろうと着手。社内で冷やす手間はどうかという心配の声もあったけど冷やす時間等のデータを集め社内を説得し販売にこぎつけたそう。
続いては、あのかまぼこで有名な小田原の企業がこの時期に送り出している冷やしグルメです。どんな商品なのか。鈴廣かまぼこの小川典江さんのお話です。
★鈴廣かまぼこの小川典江さん
- 鈴廣かまぼこの小川典江さん
- 「鈴廣かまぼこでは、今年冷やしおでんを6月より新発売しました。この冷やしおでんはこくうま煮干醤油と言う商品と、さっぱり鯛だしの2種類があるんですが、おでんに欠かせないかまぼこエビ卵など9種類の具が入っています。おでん汁はジュレにしているのでとても食べやすいんですよ。実は10年以上前に発売していましたけどその時は和風イタリアン中華の3種類だったんですが、その和のお味見が人気だったので、その和のお味見だけで今回発売しました。」
- ディレクター
- 「おでんてあったかいほうがおいしいと思うんですけど何で冷やしなんですか?」
- 鈴廣かまぼこの小川典江さん
- 「おでんと言えばおっしゃるように寒い冬に食べるものと言うことで代表的ですが、おでんと言えばかまぼこも入っていますし、そういった中で私どもとしては皆さんにかまぼこをより多く長くいつでも食べてもらいたい。じゃぁ夏にかまぼこを食べるときにはどうしたらいいのかどういった時にこの冷やしおでんで、冬はかまぼこで1年間ずっと通じてかまぼこを召し上がっていただきたいそんな思いも込めています」
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鈴廣かまぼこの小川典江さん、背後にずらりと冷やしおでんが!
この冷やしおでんは、税別580円で、8月末までの限定発売。鈴廣さんは10年以上前からこの冷やしおでんをやっているそうで、今年リニューアルしたそう。
なぜ冷やしおでんなのかというと、鈴廣さんといえば、かまぼこが主力で、そのかまぼこって、どうしても年末年始の冬に売れるそうで、夏にも食べて貰うためにどうしたら良いか考えたときに、冷やしおでんだ、という発想だったそうです。
そして、この冷やしおでんと同じように何十年も前から冷やしが支持されている商品があるんです。
森永製菓の林茂実さんに聞きました。
★森永製菓の林茂実さん
- 森永製菓の林茂実さん
- 「森永製菓では、2000年から甘酒を冷やして夏場に飲むと言うのを商品として開発。冷やし甘酒です。売り上げは甘酒市場ではナンバーワンを森永製菓では維持しています。」
- ディレクター
- 「なんで冷やしをやろうと思ったんですか?」
- 森永製菓の林茂実さん
- 「やはり甘酒は神社とかお寺とかであっためて、あったかいものを飲む形だったんですが、どうしても夏場になると甘酒が飲まれないというのがあって、夏場に甘酒を飲んでいただきたいと言うことで甘酒に塩分を出して夏場でも栄養補給ができるすっきりした甘酒を作った経緯です。文献をひもとくと、甘酒が江戸時代には夏の季語。になっているんです。甘酒を飲んで夏を乗り切ろうと言うのが昔からあった。それをある開発者が気づいて、北海道は昔から甘酒を飲まれる地域なので北海道でやってみようよと言う形で広めていったと言う形です。暖かいのは赤で冷やして飲んでも構わないのですが、アウェイ感の方が塩分が入っていますので酒粕とか米麹の風味がより引き立つ味わいにしてます」
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森永製菓の林茂実さん。この青缶が「冷やし用」の甘酒です
そもそも甘酒は冬に飲まれていたんですということで、19年前に甘酒が飲まれている北海道で、夏場に塩分補給になる塩をプラスした冷やし甘酒のテスト販売を始め、それが好調で全国に広がっていったという人気商品なんです。税別115円。
温かいのは赤の缶で、冷たい冷やしが青の缶。青い缶には塩が入っているので熱中症対策とか、この夏にもってこいなんですという話でした。
ここまでは、なぜ冷やした?という冷やしグルメの話でしたが、最後に街の皆さんはどんな冷やしグルメが好きなのか聞いてみました。
★街の声「好きな冷やしグルメ、ラーメンにお茶漬け」
- 「冷麺とかですかね。冷やしってついたら麺以外の選択肢ないと思うんですけれども。 お腹弱いんで。そんな冷やし系好んで食べない。コーヒーも比較的ホットを飲んでいるんで」
- 「麺類が好きだから冷やしラーメン、冷やしたぬきそば。そばはあったかいのより冷たい方がおいしいです」
- 「麺は冷やしですね。ご飯も冷たいお茶漬けにしたりします夏は食が進むと思います」
- 「冷やしお茶漬けを食べました。あつい時は汁ものでと思って」
圧倒的に多いのは麺類で、冷麺からラーメンそして冷やしたぬきそばという方もいましたが、その一方でご飯で意外と多かったのが、冷やしお茶漬け。
夏場の疲れている時期にかき込みやすいと人気でした。
冬の定番でも、夏仕様に工夫する事で、食べやすかったり、ヒットに繋がる事もある・・・。