このコーナーでもたびたび取り上げている「駅前の駐輪場が足りない」という問題。駐輪場を予約するための抽選になかなか受からなくて困っているという声も聞きますし、放置自転車も度々見かけます。
そんな中、神奈川県藤沢市が新たな解決策に取り組み始めました。4月25日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★みんちゅうSHARE-LINとは!?
- 藤沢市 道路河川総務課 久保淳さん
- 「藤沢市の中でも藤沢駅周辺は、どうしても駐輪場は設置しているけどなかなか足りない状況にあります。例えば一番利用の便がいい所では2年間駐輪場をお待ちになっている方もいらっしゃるので、民間の敷地の中でちょっとずつの土地をオーナーさんが提供することで小規模な駐輪場を作っていけるという「みんちゅうSHARE-LIN」というサービスがあるということで、そちらを取り入れて、少しずつでも駐輪場を増やしていきたいと。」
「みんちゅうSHARE-LIN」は、スマートフォンのアプリで利用できるサービスです。自転車を停めたい地域を検索すると、地図上に自転車のアイコンと、利用料金が表示されます。そして停めたい場所をクリックして、必要事項を入力しウェブ上で決済すると利用できる仕組みです。
今は提携を結んでいる自治体が中心で、都内では台東区、神奈川県の大和市、そして今回の藤沢市。まだ始まったばかりで2か所なのですが、お隣の大和市では1年ほど前から導入されていて、20か所、およそ140台分が稼働しています。
★こんなスキマに駐輪場!?
そんな「みんちゅうSHARE-LIN」、一体どういう所に駐輪所が設けられているのか。実際に見てきました。
- 竹内リポート
- 「私は今、大和市の中央林間駅に着きました。この駅のすぐ近くにパチンコ店があるということで、そのパチンコ店の横にみんちゅうの駐輪場があるということなので、今向かっています。…え?あ、パチンコ店のパチンコ店の間にとても狭い砂利道があるんですけれども、1mない位の本当に狭いスペースに、2台自転車が停まっています。こんな所に駐輪場作っちゃうんですね。」
1台につき縦2m、横50センチのスペースが確保できれば貸し出しOKということです。他には家の裏の草が生えている場所の草を抜いて駐輪場にしてしまうという事例もあります。
オーナーとして自分の土地を貸し出す場合も、アプリ上で簡単にできて、料金設定も自分で決められます。(ちょっとしたお小遣い稼ぎになりそう?)
★特別な設備がなくても不正駐輪防止に効果あり!?
みんちゅうの駐輪場は、貼り紙の案内と地面がテープで区切られているだけ。勝手に停めちゃう人が出てこないのか?みんちゅうSHARE-LINを運営する、アイキューソフィア株式会社社長、中野里美さんのお話です。
- アイキューソフィア株式会社社長 中野里美さん
- 「私たちのものが機械設置型ではなくて、簡単に路面にシールとかテープを貼るだけで「ここが駐輪場ですよ」って分かるようにするんですけど結構逆の発想というか、今までだと「停めないで」と言ってたものを、「停めていいよ、だけど予約専用で有料だよ」という表示にします。そうすると面白いことに誰も停めなくなって。」
そもそも、このサービスが生まれたきっかけは、アイキューソフィアが車のコインパーキングを運営している中で、少しの隙間に自転車を勝手に停められて困っていた。そこで「予約専用有料駐輪場」と貼り紙をして、黄色いテープで地面を囲うと不法駐輪は減ったということなんです。
また、ちゃんと予約した自転車かどうかを写真と自転車防犯登録番号で照会できるようになっていて、もし不法駐輪があった場合、オーナーだけでなく一般の利用者も通報できる機能が備わっています。報酬としてアプリ上で使えるコインももらえるそうです。
★設備投資のコストが億から0円に!?
さらに、みんちゅうSHARE-LINのメリットについて、藤沢市の久保さんはこのように語っています。
- 藤沢市 道路河川総務課 久保淳さん
- 「市の方ですと路上の駐輪場作りますと100万円ですとか1000万円の単位で整備がかかってきます。建物形式で作ってしまうとそれこそ億の単位でお金がかかってしまう。スピードも含めた確保を考えると全然違いますね。敷地さえあれば、初期費用もかからず、かつすぐに設置できるという点では遅れはとりますね、市の方はね。」
貼り紙も、地面にテープを貼るのも大した費用はかかりません。そして不法駐輪対策との効果も期待できる「みんちゅうSHARE-LIN」アイキューソフィア株式会社には、他にもこんな要望が届いているそうです。
★提携自治体を増やしたい
- アイキューソフィア株式会社社長 中野里美さん
- 「結構いろんな身近な人とかから、特にママチャリを停める場所が無いんだとか、マンションの中に駐輪場スペースが全然足りてなくて、自転車、子供もいて3台位買いたいのに買えないとか、そういう声がありますね。今は協定を結んでいる地域を優先してやっているので、要望があった方がおざなりになってしまったり、時間が後回しになってしまったりということがあるので、そういった点からもどんどん協定は結んでいきたいなと思ってますね。」
ゆくゆくは全国に「みんちゅうSHARE-LIN」を広げていきたいということです。現在は3自治体が中心ですが、他にも色々な自治体が興味をもってくれると良いですね。