JR東日本の新幹線や特急の多くで【車内販売】が廃止されることが、先月発表されましたが、いよいよ3月15日(土)で終了。16日からお弁当や軽食(サンドウィッチなど)、デザート、お土産などが車内で買えなくなります。JR東日本のほかにも、JR北海道、四国、九州でも新幹線などで車内販売が終了。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!3月12日(火)は、レポーターの近堂かおりが『車内販売、買わないから廃止。では新たな魅力づくりは?』をテーマに取材をしてきました。
★新幹線の神アイス!?
車内販売がなくなるということで、インターネットで大いに話題になったものがあるんです。それは、小さいお子さんをもつお母さんたちに大人気のアイス。
もう新幹線で買えなくなるの? と多くの方が気をもむアイスってどんなもの?製造元にお聞きしました。スジャータめいらくグループ・広報室の瀧麻由美さんのお話。
- 瀧麻由美さん
- 「商品名は【スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム バニラ】といいます。SNS上では、固いので食べるのに時間がかかるためお子様がアイスクリームに夢中になって静かにしてくださるということで、話題になっているようです。よくSNSの写真などでもスプーンが刺さった状態でアップされていたりするんですけどれも、よりよいおいしいものを追求した結果、原料の密度が高くなったということもありますし、ドライアイスで温度管理をしていただいているため固くなったという、2つの理由がございます。」
新幹線の中で子供が騒ぐと困るけど、このアイスがあれば大人しくしている、というのです!だからお母さんたちの間では【神アイス】と呼ばれているとか。
お母さんだけでなくこのアイスのファンはたくさんいて、別名【シンカンセン スゴイ カタイ アイス】と呼ばれ、スマホで写真を撮ってツイッターやインスタにあげる人がたくさんいます。1個290円。
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コチラが、『スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム・バニラ』またの名を『シンカンセン スゴイ カタイ アイス』!
カタイだけじゃありません!このアイスは、乳脂肪分は15.5%!!牧場しぼりの生乳と生クリームを使って、フレッシュで濃厚に仕上げてあるそうです。濃厚でしっかりとした食感にするためにアイスの中の空気の含有量を少なく抑えて原料の密度を高めているため、一般的な製品よりも溶けにくくなっている、ということです。
新幹線の車内販売にふさわしい最高級品質のアイスを!とこだわって開発されたアイスクリームなのです!!
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濃厚でリッチな味わい!で、すごくおいしい!でも、確かにカタイ(笑)!
★神アイスが買えなくなっちゃうの?
では、3月16日以降、このアイスはどうなるのか? 先ほどの瀧さんにお聞きしました。
- 瀧麻由美さん
- 「東京から博多までの東海・山陽新幹線では一部の車両を除き今まで通り車内販売を継続していただきます。東京以北の東日本の路線でもグランクラスサービスと北陸新幹線の「かがやき」「はくたか」などの一部の車両では車内販売を継続させていただきます。」
グランクラスサービス、というのは、新幹線の指定席の中で最高級グレード席のこと(飛行機のファーストクラス的なもの)ただ、そのほかに埼玉県の鉄道博物館などでも買えるそうですし、新幹線のホームの売店の中には、このアイスを引き続き買えるところもある。ちなみに東京駅の18番・19番ホームの売店でも買えますよ!
★車内販売終了は残念・・・ではない??
インターネットでは、このアイスのほかにもお弁当などの車内販売の終了を残念がる声はとても多いのですが・・・街で、聞いてみると、車内販売はなくなっても残念ではない、という人がたくさんいらっしゃいました。
- ●「あんまり利用したことないので、どっちでもいいかな。」
- ●「困らないと思う。待っていても来ないときがあるので、いらないかなと思って。」
- ●「弁当だったら、東京駅だったらデパ地下で買ったほうがおいしそうだし、品川だったらエキュート(エキナカのこと)があるから車内販売が必要だとは思わない。」
- ●「最近乗らないもんね。もうバスですよね、旅行は。観光バス。バイキングが予約されていて、食べて、またすぐバスに乗って次へ。そんなのが多くなっちゃったね。自分で電車乗って、乗り換えてっていうより。」
このように、車内販売は利用していないからいらないという声もたくさん聞かれました。エキナカの充実などで、電車に乗る前に好きなものを買っておく、という人が増えたのは確かです。しかし、お話を聞いていると、若い方は車や飛行機、年配の方は観光バスをよく利用している。・・・つまり、これは車内販売が人気がないというより、列車の旅が人気がないのでは?という気がしてきます。
★誰も買わないからやめます、でいいのだろうか。
同じように指摘する方がいらっしゃます。千葉県・房総半島を走るローカル線の、いすみ鉄道の元社長・鳥塚亮さん。毎年赤字だったいすみ鉄道に公募で社長に就任して、いろいろアイデアを凝らし、地域ブランドの大変人気のローカル線へと変身させた方。その鳥塚さんは、今回のJR各社の車内販売廃止についてこう言っています。
- 鳥塚亮さん
- 「誰も買わないからやめますというような考え方がどうなんでしょうねというのが私の疑問です。その証拠に特急列車自体がお客さんが乗らなくなってきています。特急列車は国鉄時代は8両とか9両とか長いのは十数両でいっぱい乗っていたんです。今、北海道とか四国、九州へ行ったら特急は2両ですよ。それでぱらぱらとしかお客が乗っていない。こういう現状は何なんだろうなということを考えたときに、これは車内販売を廃止するという問題ではないんじゃないかというのが私の考えるところです。」
特急や新幹線の魅力がアップするようなテコ入れがないまま、コストを削減するやり方はどうか、と鳥塚さんは言います。街で伺った時に、
- ●「車内販売って、大急ぎで列車に飛び乗っても中で買える、という安心感につながりますよね。」
といった方がいらっしゃいましたが、鳥塚さんも、車内販売はホスピタリティとして考えると、列車の魅力にもなりうる、とおっしゃっていました。
★車内販売じゃなくて、車内サービスで!!
実は鳥塚さん、いすみ鉄道でいちばんお客さんがすくない冬の時期をねらって車内でお弁当を出していたんです。それはJRとは違うやり方でした。
- 鳥塚亮さん
- 「売ろうと思うから売れないのであって、だったら売ろうと思わなきゃいいわけです。配っちゃえと。列車限定、昭和の車両を使った急行列車に指定席を作りまして、指定券300円。1両なので指定席といってもせいぜい20人ぐらいなんですけど。その300円で機内食っぽいもの、ボックスに入って、ゼリー、パックのジュース、ロールパンにバター、ジャム、あとお菓子。こんなのを作って、社内販売じゃないんです、【サービスです】って言って指定席のお客さんにどうぞって配ったんです。そうしたら1月、2月のいちばん観光としては弱い時期にだいたい毎回満席。もしJRのような大きい会社でやったら一日あたり何人お客が増えるんだと。」
実際、車内サービスをした、朝の一番列車は、普段ならガラガラだったのに、ほぼ満員。300円の指定券はお弁当に代わってしまいましたが、運賃が確実に増えたわけです。車内販売の稼ぎでなんとかならいないのなら、運賃にプラスされる、特急料金やグリーン車料金からコーヒーをサービスで出すなど、何か工夫ができるのではと鳥塚さん。飛行機やバスとは違う楽しみをつくることも大事!列車の旅の魅力を新たに作ってほしいですね。
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。