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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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あ〜と払い?カシエ?広がるアート支援!

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画家というと、なかなか売れない、生活が苦しい、というイメージがありますが、そうした、まだ作品だけでは食べていけない画家を応援するサービスが、いま、広がってきています。1月23日(水)TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」「現場にアタック」で近堂かおりが取材報告しました。

広がるアート支援!http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190123073206

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★【家賃あ~と払い】で応援!

まずは石川県金沢市でアーティスト支援を行っている、不動産業のシナジーコンサルティング代表の河上伸之輔さんのお話。

河上伸之輔さん
「名前がですね【家賃あ~と払い】と言いまして、大家業で家を貸してるんですけど、普通お金で家賃を払うんですけど、その家賃をアート作品で作家さんに払ってもらおうというサービスです。1室2万5千円とかそれくらいの部屋です。今のところ、値付けも、どれくらい時間かかって作っているのとか、だったら1ヶ月にこれくらい持ってきてねとか、2ヶ月に1回持ってきてねとか、アーティストと相談している感じですね。結構ゆるめに決めていて、スランプの時に持ってこなくてもいいと言っているんですけど、作品を作りたい子たちなので、これも差し上げたいですという感じで、どんどん、これをもらってほしいんですという感じで描いてきてくれますね。」

家賃をお金ではなく、アート作品で払える!不思議な仕組みですよね。河上さんの持つ、およそ160室の賃貸物件などでは、どうしても埋まりにくい部屋があるそうです。

そこで、「どうせ空いているなら、役に立つ方法はないか」と考えていたところ、「絵の具を買うか、米を買うか」ギリギリの生活で創作している画家と出会い、お金がないなら、作品で家賃を払えるようにすれば、創作に集中できるのでは?と思いついたということ。

こうして、応援するつもりで始めたのが【あ~と払い】。賃貸契約では2年契約で、毎月家賃分の作品を納品する事になっているそうですが、画家がスランプに陥ったら【家賃=アートの滞納】も認めるという優しい大家さんでした。

家賃としてもらった作品については、河上さんの会社などでギャラリーのように展示したり、積極的に売り込んだりもするということ。

こうした活動が話題となって、金沢というと遠いイメージですが、関東から九州まで、全国から画家が集まっています。今はまだ4部屋ということですが、河上さんは、今後は不動産仲間で部屋数を増やし、100人くらい画家を集めて、金沢をアートの街にしたいという構想もあるそうです。

★【カシエ】絵を貸して応援!

【あ~と払い】は、経営者が画家を支えるパトロン方式とも言えますが、一方で、私たち一般の市民が画家を応援できる仕組みを始めた人もいます。株式会社カシエの社長・藤本翔さんのお話です。

藤本翔さん
「絵を貸す、絵を貸すので【カシエ】という会社名です。仕組みは結構シンプルで、画家から作品の原画をお預かりして、それをユーザーに届けるというサービスです。僕らのサービスは若手の国内で頑張っているアーティストに、少額かもしれないけど、報酬を毎月毎月お支払いするということにこだわっていて、アーティストへの負担は極力なしにしたいので、全く保管料も何も取らずに、レンタル料金の35%を毎月、その絵を描いた画家に報酬としてお支払いさせてもらってます。」

画家から、世界に一つの現物、作品の原画を預かって貸すサービスで、絵を貸すから【カシエ】。なにしろ原画を預かるわけですから、作品が痛まないように、湿度や光などの管理が大変なのですが、保管料など画家の負担はゼロ。作品を借りる人からはレンタル料をもらって、その一部を画家に渡す、という仕組みです。画家としては負担ゼロなので、気軽に参加して、収入につながる、というわけです。

レンタル料は、作品の大きさ(サイズ)によって、月額1980円、2980円、5300円(こちらは法人が対象)。最大で毎月、違う絵を借りられるそうです。絵画には興味があるけれど、いきなり買うのはハードルが高い、という方が、お手軽に試せるようになっています。もちろん、気に入ったら、買い上げることもできます。

casie(カシエ)の公式サイトから

これが話題となり、現在340名の画家が、合計3600点、作品を預けているそうです。借りる側も、企業が応接室に、病院が待合室に、飲食店がフロアに飾りたい、るほか、個人のお宅での利用も急激に伸びているとか。確かに、美術展などでは行列ができる国ですから、アート好きな人は多いのかもしれませんね!

★レンタルで35%、購入で60%

そして、気になる【画家の収入】ですが、レンタルの場合、代金の35%、画家に入ります。また、借りた人が気に入って買い上げた場合は、売り上げの60%が画家に入る仕組みになっています。

では、この取り分は、画家にとって多いの?少ないの?カシエの藤本さんに率直に聞いてみました。

藤本翔さん
「一般的に、百貨店さんとか、画廊さんとかですと、売れても、画家の取り分は半分とかないですから、多いと思います。月額のレンタル報酬で行くと、まだまだ僕らの力不足で数万円レベルというアーティストさんが多いんですけど、販売に繋がったりするケースがあると、単月で80万円ぐらい、一人のアーティストさんにお支払いしたりとか、というケースもあります。」

ギャラリーなどで売れた場合の取り分は、よくて半分(もっと低いことも・・)ということですから、相場よりいい条件で応援している、ということでした!

★カシエでやる気でます!!!

では、実際に、カシエに作品を預けている画家はどう思っているのか。カシエに作品を預けているNAOさんに伺いました。

NAOさん
「今まで作品は描いてたら、ほとんどですね、展示会に使ったり、商業用に使われたら、家に保管したままだったんですね。60点ほど。作っても、お客様に届けるっていうところまで担うのが苦手だったんですね、営業というか。でも、今は、ほとんどカシエに預けてしまっているので、ああやってレンタルで回るとすごく嬉しいですね。10点から20点ぐらいの間で回っていると思います。そうやってレンタルで、今、何件、出回っているとかも、管理画面で見られますので、どれだけ自分の描いたものが活躍しているか把握できるので、やる気でますね。」

 

NAOさんの作品

NAOさんは、武蔵野美術大学を卒業後、数々の賞を受賞した実力派の画家。主にアクリル絵の具を使って、花や動物を描く作品で人気ですが、カシエに出会う前は「営業」が苦手で、作品は部屋にあるだけで、今のように出回ることはなかったそうです。

こちらもNAOさんの作品

(NAOさんの作品はこちらのサイトにも→ https://www.behance.net/nao_works )

それが現在では、苦手な部分をカシエが担ってくれているので、とてもうれしい!自分の作品が人の目に触れるところで飾られていると思うと、やる気出ます!と弾んだ声で話してくださいました。

★見てもらって初めて作品はアートになるんです!

カシエの藤本さんによれば、実はこうした画家がほとんどだということでした。

藤本翔さん
「僕の父親も画家だったんですけど、やっぱり創作活動に全エネルギーを注ぎ込むので、そこからの販売とかセールスやマーケティングみたいな事は、アーティストさんにはとても難易度が高い。そういうアート作品って、画家の自宅に保管されている状態、というのがすごく多くて、自宅にあるだけではただの作品なんですけど、沢山の人に見てもらって初めて作品はアートに変身すると思っているので、そういう場づくりをしていきたいなと思っています。」

お父さんは35歳の若さで亡くなられたそうですが、藤本さんはその35歳の時、サラリーマンを辞めて、画家の応援を始めたということでした。こうした活動が実ってか、カシエに参加している画家の中から「バイトをやめて絵画一本でやってみよう」という方が、少しずつ、出始めているそうです。

パトロン方式か?市民参加型か?【家賃あ~と払い】の河上さんも、【カシエ】の藤本さんも、それぞれの方法で、作品と画家を熱心に売り込んで、ファンを増やし、生計が立てられるように!と動いています。アート支援の輪、広がり始めています。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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