深刻な宅配業者の再配達問題。その解消に大活躍しそうなものが現れました。12月3日から実証実験が始まるということなので、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずはどんな実験なのか、日本郵便の生田遼資さんのお話です。
★再配達の新たな解決策「OKIPPA」
- 日本郵便 郵便・物流業務総括部 生田遼資さん
- 「12月3日~12月31日まで、東京都杉並区内の戸建て住宅やアパートに住んでいる1000世帯に「OKIPPA(オキッパ)」という置き配バックを無料配布して、不在の時に配達を行う実証実験を行います。OKIPPAを活用すればスペースのない場所にも簡単に設置できて、再配達を削減する手段となるので、実証実験をすることになりました。」
簡単に言うと、玄関前に荷物を置いといてもらうシステムを作ろうという実験。それに使うのが「OKIPPA」という防犯機能のついたバッグです。玄関に設置したOKIPPAに、配達された荷物を入れてもらいます。このOKIPPAを杉並区1000世帯に配布して、どれだけ再配達を減らせるか。そして配送員側の使い勝手などを調べます。
★不在時でも宅配便を受け取れる
ではOKIPPAというバッグ、具体的にどんなものなのか。開発したイーパー株式会社の内山智晴さんのお話です。
- イーパー株式会社 内山智晴さん
- 「バッグの大きさは、吊り下げ時は手のひらサイズですが、展開すると120サイズ、通販サイトで買う大体のものは入ります。特に、重い水などは、一回で配達ができる。再配達がない、というのはメリットだと思います。すでに9月の中旬から一般販売を始めていて、全国で4000個ほど設置されています。」

「OKIPPA」。ドアノブなど、玄関口に結束バンドで固定しておく(この写真は固定していません)

荷物を運んできた宅配業者さんは、ワイヤーをスルスルーっと伸ばして…

チャックを開けて荷物を入れます。「宅配会社大箱32cmx46cmx29cm」の120サイズがすっぽりと入る大容量(写真の箱はもう少し小さいサイズ)

チャックに付いている南京錠でカチッと施錠

「ただいま~。あっ!荷物が届いてる!」

袋を持ったときの耐荷重は 13kg

意外と重要。簡単に綺麗にたためます
OKIPPAは畳むとコンパクトな手のひらサイズで、広げるとかなり大きい荷物も入ります。
南京錠が2つ付いていて、ひとつはドアノブなどに引っ掛けるところに。もうひとつは荷物を入れたあとファスナーに。布地は撥水加工で、配達員用の説明カード付き。独自の折り畳み構造で折り目がじゃばらになっているので、畳むのも一瞬です。価格は3980円で、イーパーのホームページで購入することができます。
★“置き配”肯定派多数!
では、「配達してもらった商品を玄関の前に置いておく」のはアリかナシか、街の人に聞いてみました。
- ●「僕はそれでも良いかなと思います。置いてもらった方が嬉しいです。仕事が夜遅いので、不在票が何回も入っていて、ほとんど家にいないので不便です。」
- ●「アリだと思います。拘束されないから。じーっと待ってなくていい、置いといてもらえるなら私はアリです。」
- ●「難しいね。生協とかはアリだから多分アリだと思う。ただ、金額による。何千円以内ならアリ。1万円を超えると盗まれるから、金額による。子供なんかボールペン1本アマゾン頼んでる。それならアリかもね。」
現在でも、生協や牛乳の配達は玄関前に置いてありますし、高いものでなければアリと言う人がほとんどでした。
★「置き配保険」の加入で宅配物を守ります
ただ、みなさん気になっていたのは「盗まれないの?」という不安。そこに関して、再びイーパー株式会社の内山さんに聞いてみました。
- イーパー株式会社 内山智晴さん
- 「OKIPPAは布なので、カッターなど刃物で切られてしまう可能性があります。その時に、OKIPPAという専用アプリがありまして、アプリと併用していただければ「置き配保険」というものを作っていてバックから物が盗難にあった時に、それを保証できるサービスです。」
「置き配保険」とは、東京海上日動火災保険と始めたもので、OKIPPAに荷物が入ってから24時間以内なら購入物を保証してくれる有料保険(年980円)。専用のアプリが必要となりますが、いまのところ、盗難被害が発生した事例はないそうです。
ちなみにアプリ自体も、アマゾンや楽天など大手ショッピングサイトで買ったものであれば、配送状況を地追跡し、OKIPPAに荷物が入った時に通知してくれる便利な機能もあります。
★受け取り方法の多様化を目指す、ベンチャーの挑戦
今回の実験で保険の適用はあるのか、そして再配達削減が実現するのかどうか。今月いっぱいの実験が終わった後、結果が出てきますが、OKIPPAが目指すのは、受け取り方法の多様化だとイーパーの内山さんは話してくれました。
- イーパー株式会社 内山智晴さん
- 「今、通販サイトで買う商品はいろいろ多様化している。でも受け取り方法が「自宅受け取り」と「コンビニ受け取り」しかない。新しい配送のスタイルを作れると思う。OKIPPAは無料で再配達がなくなるという配送方法を目指している。高価なものは従来通り対面で受け取る。待つ必要がないものは「OKIPPA受け取り」。待たなくても荷物を受け取れる方法を普及させていきたい。」

イーパー株式会社 内山智晴さん
アメリカでは「アマゾンキー」という、不在でも配達員が家の中に入って荷物を置いてくれるサービスが始まっています。ただ日本で「配達員が家の中に入る」というのはなかなか敷居が高い…。でも、「玄関前に置いておく」という方法なら受け取る側にストレスはありません。そして配送する側の労力も減らすことができれば、OKIPPAは一気に広がるかもしれません。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!