今朝は雨が降ってちょっと涼しめですが、今年の夏は記録的な暑さが続いています。8月7日(火)「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で、レポーター真野淑實(まの よしみ)が『実は熱中症の危険大!?今年の猛暑でプールが相次ぎ中止に。』をテーマに取材報告しました。
★夏休みの小学校でプールが中止に・・・
この猛暑で影響が出ているのが学校などのプールで、中止とする所が相次いでいます。実際にどういう状況なのか小学生の親子に聞きました。
- ●(お母さん)プールサイドが35度以上になったら学校の方で中止ということは何度かありました。
- ●(お母さん)うちの子が行ってる小学校も中止になってます。最初は水筒をプール内に持ち込む形を取ってたんですけど、あまりにも高温で8月頭まで毎日あったのが1~2回に。
- ●(娘さん)3年生。お母さんからメールが送られて、今日は学校のプールが中止ですって書いてあった。学校のプール嫌いなので、よかったと思いました。
- ●(娘さん)9歳。35度以上になっちゃってるから、それでプールに入れてないんだと思う。
- ●(お父さん)残念がってますね。けど暑いから入れればいいのにって思います。
自治体によって対応は異なりますが、例えば、東京都調布市や埼玉県戸田市では、屋内プールを除く全ての小学校のプールを、夏休み中は一切中止としています。また、新宿区では学校毎に判断していて、西新宿小学校の副校長によると、プール中止の判断をしたのは今年が初めてで、7回中4回中止したということです。寒い時だったらプールの温度が23℃以下だと中止という目安はあるけれど、暑い時の基準はなくちょっと困ったと言っていました。ただ、今は夏休みで、生徒たちはプールが終わったらすぐ帰ってしまうので、もし具合が悪くなった時のケアが難しいため、前日の予想最高気温や、環境省のHPの熱中症情報などを参考に慎重に対応しているようです。
★プールの中は熱中症を自覚しにくい
一方で「暑いからこそプールに入ればいいのに」という意見もありましたが、専門家の方に聞くとプールはより熱中症への注意が必要だといいます。桐蔭横浜大学准教授で中学の部活で水泳の指導も行う井口成明さんにお話を伺いました。
- 水泳という競技は、消費カロリーも非常に高い。ぬるま湯のお風呂の中で大騒ぎしているのと一緒。自らが高温のプールにいるという意識が、水の中にいるという安心感があって、常に水が頭上から垂れてくるので、それと大粒の汗が区別し難い。それから、ゴールしてすぐに、気化熱ですぐに冷やされるので、意外と最初のうちは大丈夫かなという安心感があるんですけれども、プール内で歩いている時の頭の温度を調べると50~53℃。非常に危険なんですが、水があるという安心感で気づかないというのが現状ですね。
かなり激しい運動をしているのに、水の中だから自覚しにくいとのこと。体形にもよりますが例えばクロール1時間当たりおよそ900~1300キロカロリー消費など水泳中の運動量はかなり高く、いっぱい汗をかいているのに、水の中にいることで熱中症の症状に気付きにくくなってしまうということです。井口先生によると、気温と水温の合計が65℃を超える場合は、プールは中止が望ましいということです。また、もし行う場合は10分~30分に1度休憩をとらせ、氷を常備して体を冷やしたり、スポーツドリンクで栄養をとらせたり。また、指導者と看視者をしっかり分けることも大事で、看視者は見学の生徒でも構わないと言っていました。
★30℃前後を目安に水温を管理
学校のプールで中止が相次ぐ一方、テーマパークのプールは今年特に利用者が増えています。練馬区のとしまえんでは、先週末の来場者が1万4000人。例年は1万人程度なのでかなり増えているということです。そんな中、熱中症を防ぐためにどういった対応をしているのか。としまえんのプールを担当している小田桐亮さんに聞きました。
- 水温管理に関しては、できるだけ30℃前後を目安に常時給水するようにしています。井戸水を給水して、あとは今使っている水は温度が高くなった場合に逆洗という、濾過タンクを洗って水を減らす。その分水を給水しますので、一応そういう風に、温度の低い水を入れています。
としまえんでは今年は特に水の入れ替えをこまめに行い、また1時間ごとに水温を測って園内に掲示して、熱中症が起こらないよう気を遣っていました。ちなみに昨日は午後1時頃に行きましたが、気温は31℃、水温は一番高いエリアで32℃。結構ギリギリでした。
★プールの更衣室は特に要注意!
水温の管理はもちろんなのですが、桐蔭横浜大学の井口准教授はプールの中で特に気を付けなければならない場所があると指摘しています。
- 鳥取大学医学部教授・浦上克哉さん
- 更衣室は特に要注意の場所と言えます。防犯上特に女子の更衣室は、窓も締め切り状態で、しかもその窓はすりガラス等で見えなくなっています。内部でどういう状態になっているかは指導者も全く分からない。締め切りの中でしかも気温が35度ぐらいになると、室温は45度以上になっています。ほとんど今倒れているのは更衣室で意識を失うという生徒が多いので、学校の関係者の方はぜひとも更衣室の中に扇風機やエアコンをすぐに設置して頂きたいと思っています。
まずは、暑い中で無理にプールの授業を行わないことが大事ですが、もし行うとしても万全の対策を取る事が大切ですね。