いま都内の鉄道の駅などには、この春から電車通勤デビューした(通勤ラッシュデビューした)新社会人に向けて電車のマナーを改めて呼びかけるポスターが掲示されています。『ドア付近はいったんホームへお降りください』『駆け込み乗車するべからず』など。そこで特に新社会人のみなさんに向けて・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!4月10日(火)は、レポーター近堂かおりが『新社会人ご用心 長距離電車の乗り越し難民!!』をテーマに取材してきました。
★新ダイヤで大改正!これに注意!!
通勤時間の電車利用に慣れていない人へ車内マナーを知らせるのは大事です。でも、私が注意を呼びかけたいのは『電車の乗り越し』。社会人になると、行動範囲も広がり、慣れない路線に乗らなければならないことも多いと思います。特にこの春のダイヤ改正で大きな変更があった路線は要注意です。それはどこなのか?鉄道ライターの杉山淳一さん にお聞きしました。
- 杉山淳一さん
- 「大きく変わったのは小田急線。複々線化に伴って快速急行とか急行とか準急といった運行系統が変わったり、停車駅が変わったりしているんです。今までは急行が停まっていたのに、その時間帯の列車が「通勤急行」という新しい種別の電車に変わって、通過するようになったとか、反対に、今まで通過していたけど今度は停まるようになったとか。それだけ変わるとみなさん気を付けて見ていらっしゃると思うんですけど、毎日使う人よりも、たまに使う人のほうがちょっと危ないですね。」
小田急線はずっと複々線化を進めていて、平日朝の通勤時間帯の混雑緩和と時間短縮を目指した新ダイヤになりました。停車駅の少ない(駅をどんどん飛ばす)『通勤急行』や『通勤準急』が新設されたり、『快速急行』や『準急』の停まる駅が変わったりしたのです。街で聞いてみたところ、普段から小田急線を使っているけれど、電車を間違えて乗り越してしまった!停まるはずなのに停まらなかった!という方がいました。
★帰宅時も、乗り過ごし注意!!
小田急線のように大きなダイヤ改正がない路線でも油断してはいけません。帰宅時間、これから新入社員の歓迎会が開かれる時期ですから、つい飲みすぎて帰りに電車を乗り越してしまった…ということはよくあるのです。街で先輩社会人のみなさんに聞いてみました。
- ●「先週ありました。京浜東北線の新橋で乗って秋葉原で降りる予定でしたが、疲れていたんでしょうね。お酒を飲んで、もう11時半とか12時。でも田端だったのでなんとかなりました。」
- ●「渋谷で乗って品川で降りる予定だったんですけど、山手線で3周ぐらいして、死にそうになりながら品川で京急に乗って、絶対に寝ないと思いながら上大岡で降りました。」
- ●「京王線で調布から新宿に戻ってくるときに、友だちと飲んだ帰りだったんですけど、気づいたら折り返して南大沢というところまで行ってました。」
中には、お酒を飲んで帰宅したつもりが真夜中の小さな旅になったというツワモノもいました。
- ●「品川駅で飲んでいい気分で帰ったんだけど、八千代台まで、総武線の快速で、順調にいけば船橋で乗り換えて(京成線へ)というのが普通のコースなんですけど、それがなぜか八日市場っていう、銚子のちょっと手前。で、八日市場の駅長に『どこから来たんですか』と聞かれて『品川から』と答えたら、『それはあり得ない』って言われたの。『この電車は千葉からの電車です』と。びっくりした。本当に自分がどこかで乗り換えたのかどうか分かってないんだけど、そう思うしかないね。」
無意識のうちに電車を乗り換えて銚子の手前まで行っちゃいました!!ご自宅のある八千代台は船橋の東。でも目覚めたときには
ご自身も分からないけれど、外房沿いの八日市場の駅だったそうです。戻る電車は無かったので、宿を教えてもらってお泊りをしたそうですが、玉砂利の敷かれたアプローチもある、12畳ほどの広々したお部屋だったとか。乗り過ごして、まさに小旅行!出費もイタイですよね。
★一次会終わり、という危険な時間帯!!
いま首都圏のJR・私鉄各線は相互乗り入れで長距離化しているので、寝ぼけて乗り換えなくても、はるか遠くまで運ばれてしまうのです。鉄道ライターの杉山さんにJRの長距離電車の例を教えていただきました。
- 杉山淳一さん
- 「上野東京ラインというのができましたので、品川から東北本線の黒磯という、これはもう関東と東北の境目のようなところですが、そこに行っちゃう電車もあります。品川を20時40分に出ますと、黒磯に23時39分に着くので、乗車時間は3時間です。距離が長いので東京都内を出たときはまだ終電じゃないんです。だから近所に帰る人がうっかり乗っちゃって…ということが大いにあり得るので、危ない時間ですね。」
いまJRだと、山手線の駅から栃木の黒磯や宇都宮、群馬の高崎までずっとつながる上野東京ラインや湘南新宿ラインが、午後9時台から10時台に結構あるのです。つまり、飲み会の1次会が終わって帰るような時間帯に比較的多いのです。慣れない新生活の疲れと歓迎会のお酒で眠気を感じた新社会人にとっては、魔の時間帯。
また、時間帯は少し遅くなりますが、中央線だと高尾駅を通り越して山梨の大月まで行く電車もあるので、どの方面も注意が必要。ほかにも杉山さんによると、私鉄でも例えば、渋谷駅から副都心線で帰るつもりが、うっかり寝過ごすと西武線へつながって埼玉の飯能へ。また渋谷からの副都心線は東武線方面ともつながっているので、こちらだと、埼玉の森林公園駅へ・・・というケースも。
どの路線も、乗り換えなしで便利になっている分、長距離電車なのです!!
★乗り越し防止策!!
それでも長距離電車に乗らなければならないときは、先輩社会人のこんな乗り越し防止策を。
- ●「座らないようにしてる、飲んであぶないときは。席が空いていても立って、つり革にぶら下がってるから、ぐりんぐりん回るのね。そうすると混んでいても周りが空くの。時々ひざが抜けながら、でも立つようにしてる。たぶんぐるんぐるん回ってると思う。」
この気持ち、ものすごーーく分かります!!座ったら終わりだ!と思うんですよね!でも、あんまりぐるんぐるん回るのも周りに迷惑なので、ひとつ便利アイテムを。スマートフォンに乗り越し防止のアプリを入れておくといいそうです。このアプリ、降りる駅が近づくとGPSで感知してアラームで教えてくれます。目覚ましをかけておけば大丈夫では、とも思いますが、終電などは、時間通りに進まず、早めに起こされて、二度寝!という心配もありますから。このアプリなら、時間ではなく位置なので、バッチリ直前に起こしてくれます!ただし、地下だとGPS情報が取得できないので、その点はご注意を!!
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-%20content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが
「現場にアタック」で取材リポートしました。