最近、年月の早さを感じた、ニュースがありました。『電動アシスト自転車登場から、25年』もうそんなに経つんですね!その25年を迎える”電動アシスト自転車市場”がとても賑やかになっているというのです。そこで・・・。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!12月13日(水)は、レポーター近堂かおりが『登場から25年!電動アシスト自転車市場が活況!』を
テーマに取材しました!
★バラエティに富んだラインナップ!
まずは最近新車を発表したヤマハ発動機広報担当の千賀由利子さんのお話です。
- 千賀由利子さん
- 「先月28日に発表したモデルはパスウィズという商品で、いわゆるママチャリタイプの自転車なんですけれども、フレームのデザインを一新するのが、6年ぶりになりまして、25年前、1993年に登場した電動アシスト自転車というのは、重たい自転車というイメージが強かったと思うんですけど、今は25年経って、軽量化していることと、長く走ることができるバッテリーになっています。初めての方やシニアの方向けに機能を「シンプル」に作ったりですとか、「ファッション」性にこだわる若い女性に向けたものだとか、男性の方も使いやすいような「スポーティー」なタイプの電動アシストも出しています。」
ヤマハ発動機が、世界で初めて電動アシスト自動車を世に出してから、来年で25年。普段乗っている人には、当たり前かもしれませんが、実に多種多様になっています。
ヤマハ発動機が、今回6年ぶりに一新したのは、フレーム(自転車の骨組み)。これまで他社のフレームを使っていましたが、今回は独自で開発し、「デザイン」にこだわったそうです。
加えて、25年でもっとも進化したのが『バッテリー(電池)』。かつては鉛だったものが、リチウムイオンとなり、軽量化。その電池の持ちも伸びています。電池の持ちが延びるということは、走行距離も延びる、ということで、最近の電動アシスト自転車は、一度の充電で50キロから70キロほど走れる、ということです。
そういった進化を受けてか、人気も右肩上がり。自転車産業振興協会によると、去年の電動アシスト自転車の出荷はおよそ54万台。ここ10年間で、2倍以上伸びているのです。
★客層の拡がりがすごい!
そこまで順調に、電動アシスト自転車市場が拡大しているのはなぜなのか?最近の社会変化も関係あるようだ、という話もありました。東京・代官山にある電動アシスト自転車の専門店『モトベロ』代表取締役社長、里吉晃さんのお話です。
- 里吉晃さん
- 「いくつかはあったと思うんですが、都心を中心に会社で通勤時間を自由に設定している会社さんもありますので、満員電車の通勤から離れて、自転車を使われるとか。あと、社会現象的なご年配の方の免許返上をさせたいというお子様世代が自分の親に対して電動自転車をプレゼントする、というのも非常に増えているといのが特徴かなと。」
都心を中心として働き方の変化、そして免許返上への働きかけ・・・そんな社会的背景も関係していることを、里吉さんはお店で実感しているそうです。
今、電動アシスト自転車の大体の価格は、ママチャリタイプが15万円ほど、スポーツタイプだと20万円程。自動車をやめて、自転車に乗り換える人は、値段に対してびっくりしない・・・というお話も聞きますが、私などはもう少し手ごろなお値段になったらいいな~、と思ってしまいます。
★海外製電動アシスト自転車=イーバイク!
日本国内市場をけん引するのは、パナソニック・ブリジストン・ヤマハの3社ですが、いま、海外の自転車ブランドの目も、日本を見ているのです。ベスビージャパン 代表取締役社長の澤山俊明さんのお話です。
- 澤山俊明さん
- 「欧州を中心に拡大傾向で、電動アシスト自転車=海外ではイーバイクは、200万台くらいが欧州のマーケットですね。特に山を走ったり、森を抜けたりマウンテンバイクが非常に人気です。うちの商品は、もともと電動アシストのみを作るブランドで、4年前にヨーロッパでスタート。特にバッテリーの製造技術をもって、それぞれのモデルに合わせて、作っていくので、仕上がっていくデザインも、どこにバッテリーがあるかわからない高いデザイン性ができているかなと。」
ヨーロッパの電動アシスト自転車は、10数年前から拡大し、現在200万台という市場と言われます。(自転車全体の市場規模は2000万台とか・・・)日本はおよそ60万台なので、ほぼ3倍の大きさです。ちなみに日本の一般的な自転車市場は700万台ということで、ヨーロッパのように1割が電動アシスト自転車の市場になると考えれば、現状の60万台から、まだまだ”のびしろ”ありと考えられています。
このベスビー、という会社は、バッテリーの技術に自信がある会社ということで、どこにバッテリーがあるか分からないという”デザイン性”が売り。日本で2年前から少しずつ売り始め、今年から本格市場参入したということです。きのう専門店で、試乗させていただきましたが、まさに、どこにバッテリーがあるのか分からない!!しかもとってもオシャレ。
他にも世界2位のトレック、イタリアのビアンキなどが続々日本市場進出、まさに黒船来襲です。
★ママチャリ!かアクティビティか!?成長過程の違い!
そんな海外ブランドは、電動アシスト自転車の成り立ちの違いから、日本市場に期待している部分があるそうなのです。ベスビージャパンの澤山俊明さんのお話。
- 澤山俊明さん
- 「海外の人と仕事をして、日本最近どう?て話する時、『ママチャリ』という単語が出てくる。今までの電動アシスト自転車は、自転車の延長線上として今までの自転車がより楽に乗れる。実用性をもった子供乗せだったり、買い物用は、海外にはない。海外ではよりスポーツを楽しむためにイーバイクなので、スタート地点がもともと違います。日本にはデザイン性の高い自転車が今まで無かったので、どうせ買うなら人とはちがう物、性能が良いものが人気が出ると思っています。」
電動アシスト自転車市場の成長過程が、日本とヨーロッパでは異なったのです。ヨーロッパではスポーツや趣味を楽しむためのもの。日本では、日常で子供を乗せたり、ご近所へ買い物に行くときに使いやすいもの。そうした成長過程の違いから、今までとは違った日本の需要を、新たに掘り起こすことが出来るのでは?と期待しているのです。
★電動アシスト自転車のルール
ただ、そうした海外からすると日本は魅力的な市場なのですが、一点、法律の面で難しいところがあるのです。電動アシスト自転車専門店『モトベロ』の里吉さんのお話です。
- 里吉晃さん
- 「おいしい市場である一方で、非常に特殊な市場という風にみられていると思いますね。日本の電動アシスト自転車のルールは、①スピードは時速24キロになったら、アシストを完全に切らなくてはいけない。そして、②人力「1」に対して電力「2」までしか出してはいけないという法律になっています。微妙なブレで電力が「2.2」とか出た時点でアウトなんです。そのため、メーカーは厳密にいうと「1.7」くらいで守っているんです。」
日本の道路事情から、電動アシストをしていいのは、時速24キロまで。そのルールにそって、繊細で高度なアシスト力が求められてきたのが、日本の電動アシスト自転車です。ママチャリであるからこそ、安心で安全な乗り物である必要性が、とても高かったのですね。
一方、趣味や、スポーツを楽しむアクティビティとして、成長した欧州のイーバイクは、そうした規制とは無縁でした。そのため、日本に参入するなら、そのルールをクリアしてから、というハードルはひとつ課せられることになるんですね!現在入ってきているものは、そうしたハードルを超えたものとなっているということでした。
こうした海外勢の苦労もありますが、来年、誕生から25年を迎える春には、日本国内の新車、そして、海外メーカー各社の新車が、続々店頭に並ぶそうです!