きょうは、自宅に訪ねてきた事業者との間で起こる、新たな訪問トラブル「訪問購入」について、9月11日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
訪問トラブルと言うと、これまで、自宅に訪ねてきたセールスマンに布団などの高級商品を悪質に売りつけられる「訪問販売=押し売り」が一般的でしたが、最近では、逆に無理やり物品を買い取られる「訪問購入=押し買い」のトラブルが増えているそうなんです。どんなものなのか?詳しいお話を、国民生活センター・相談情報部の保足和之さんに伺いました。
★安値で買いたたく「訪問購入」トラブルが増加
- 国民生活センター・相談情報部 保足和之さん
- 「『訪問販売』の逆で、『訪問購入』は、自宅などで物品を買い取ってもらうもの。家に突然訪問して来るケースもあるが、多くは『不用品がありますか?』と電話がくる。そしていざ訪問して来ると、『貴金属はないか』と言って、強引に貴金属を買い取られた事例もある。2016年度の相談件数は8,000件超。そのうち60歳以上の高齢者からの相談が5,000件超。」
訪問販売トラブルが“押し売り”なら、訪問購入は“押し買い”とも言えそうです。
この、訪問購入のトラブルは2つのパターンがあります。
1つは、突然自宅に訪問してくるケース。突然訪ねてきて、貴金属を無理やり安値で買取るものです。
そして2つ目は、事前に電話があるケース。事前に電話で衣類や食器などの不用品を買取る約束だったにも関わらず、訪問時に約束になかった貴金属を要求され、無理やり安値で買取るというケースです。
強引に買い取られる、この法律に反した訪問購入トラブルについて、相談件数は年々増加傾向にあるようです。
2013年は7,000件ほどだったのが、2015年以降は毎年8,000件台のペースで相談が寄せられています。さらに、去年(2016年度)は60歳以上の人の相談が約7割。また、女性からの相談件数が多くの割合を占めています。
★まるで強盗…千円置いて持ち去られる事例も
中には、かなりたちの悪い相談事例もあるようです。再び保足さんのお話です。
- 国民生活センター・相談情報部 保足和之さん
- 「全国の消費生活センターにきた訪問購入の相談の中で、例えば、『相談者は貴金属を見せて、売ろうかどうか迷っていたが、その隙に千円札を置いて事業者が逃げ去った』という事例がある。相談者が言うには、それぞれ20万円と8万円のネックレスと、20万円のブレスレットだった。追いかけたが車で逃げたので、結局どこの事業者か分からないままになっている。」
他にも、「貴金属なんて持っていません!」と言ったら大声で怒鳴られたり、勝手に家に入られてタンスを漁られ怖い思いをした…などの相談もあるようですが、トラブルを起こした事業者の特定が難しいのが現状のようなんです。
★断捨離や終活ブームで、高齢者が標的に
そうした事もあり、国民生活センターは訪問購入についての注意喚起をしています。では、一般の人達は訪問購入トラブルを認知しているのか?おじいちゃんとおばあちゃんの原宿「巣鴨」の街で、被害相談が多いとされる女性の方々にお話を伺ってみました。
- ●「なんか買ってくださいって来る人?いま初めて知った。」
- ●「知らない。でも、最近家を処分するとか断捨離とかで、家にある物をお金に替えたい人は多いと思う。私は、家に業者を呼ぶ事はまずしないで、自分から店に出向くけど。」
- ●「よく電話がかかってくる。お宅にある着物でも貴金属でも、行くからどうですかって。」
訪問購入トラブルについては先週報道された事もあり、ニュースで見て知ったと言う人もいましたが、電話を実際に受けた経験がある人や、中には、「突然の訪問を受けた」と言う人もいらっしゃいました。
★「突然の訪問」は法律で禁じられています
- ●「実家に来た。『貴金属ありませんか?』って、何か売ってくださいみたいな。私は居なかったが、『偽物しかない!』と母が言ったら帰って行ったみたい。」
- ●「来る来る来る。でも絶対ダメって言われてるから断る。売るのはあるけど怖いもん、友達がやられたから。私の時は、なんか貴金属とかありませんかって突然来た。」
- ●「しょっちゅう、突然来る。ポンポンとノックして、『貴金属とかあるか?』と。家は貧乏だから無いよって断っちゃう。それが一番だと思う。」
先日聞いた中では、トラブルにあったと言う人はいませんでしたが、「突然の訪問」は多くの方が経験していました。
★入れない!見せない!触れさせない!
国民生活センターではトラブルを未然に防ぐため、啓発リーフレットを作成するなどの注意喚起をしています。最後に、被害に遭わない為の心得を、保足さんに教えていただきました。
- 国民生活センター・相談情報部 保足和之さん
- 「訪問購入においては、突然訪問してきて勧誘する事は禁止されているので、応対しないで下さい。また、消費者が勧誘を受け入れた物品以外について勧誘するのも禁止されているので、事前に承諾した物品以外は売らないで下さい。
事例を見ると貴金属が狙われるので、無暗に見せない・触れさせない事を覚えておいて欲しい。何かあったら『188』番の、消費者ホットラインに電話して下さい。」
「訪問購入心得」によると、以下の4点が大切とのことです。
- いきなり訪問してきた購入業者には対応しない
- 事前に買い取りを承諾した物品以外売らない
- 売却後、8日間は物品を引き渡さない
- むやみに貴金属を見せない、触らせない
国民生活センターでは、訪問購入などの消費者トラブルについて、9月14日(木)・15日(金)に電話相談窓口を設置します。
03-5793-4110
(受付時間は、いずれも午前10時~午後4時)