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本日4月21日(木)はレポーター田中ひとみが『学生服の値上がり』について取材しました!
![現場にアタック(田中ひとみ)](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_tanakahitomi-150x150.jpg)
現場にアタックレポーターの田中ひとみ
今日は学生服が値上がりしているというお話です。ちょうど入学式が終わったこの時期に何が起こっているのか、新宿区にある学生服販売店スクールプラザフジヤの梶谷二郎さんのお話です。
この春から泣く泣く値上げした、学生服販売店
- スクールプラザフジヤ 梶谷二郎さん
- 値上げというのは、一番は糸が1月1日から値上げということが正式決定になって、4%〜10%まで上がっているのが現状で、うちでも平均的な学生服で2万8000円くらいするところが1000円前後上がって、4月の第2週、入学式が終わったあとから上げてます。入学式までは昔の値段で売っていて、少しでも父兄の方に迷惑をかけないようにしようと思って。もう2年くらい前からいつ上がるんだろうとは思っていて、ウールがこんなに高くなるとは思わなかった。夏服が値上げになるので、今までは夏服は夏の時期に買いにきていましたが、入学の春に先買いをして、夏服も買っちゃっている。
羊の毛、ウールが値上がりしている影響で、このお店では先週から12年ぶりの値上げ。消費税が上がっても値上げをせずがんばってきたんですが、限界になってしまったそうなんです。これが普通のアパレル製品だと、ウールが上がると生地の割合を少し変えたりして調整はできるんです。でも学生服だとその割合がある程度決まってしまっているので、なかなか簡単には変えられないとのことでした。
今年は入学前に学校から「制服の値段があがります」というお知らせが届き、値上がり前に、冬服と一緒に夏服も購入する人がほとんどだったそうで、冬のセーターなども合わせると、全部で7〜8万円の出費になりかなり大変です。なんでこんなにウールの値段が上がっているのか、ヒツジに何が起こっているのか、羊毛繊維の専門商社、長尾商事株式会社の長尾和彦さんのお話です。
ヒツジの数がものすごく減っている!
- 長尾商事株式会社 長尾和彦さん
- 世界で飼育されている羊の数が、ずっと減ってきているんです。1990年代はオーストラリアに1億7千万頭おりました。それが現在ですと7千万頭。約1億頭減ったわけです。原因は、羊の飼育、牧羊よりも牛や鹿の飼育の方が農家にとって採算性が良い。そういったところからアパレルの製品をつくる糸の値段も上がってきた。スーツ、羊毛布団、絨毯、カーペットなどの値段も当然あがっていくということになります。
ヒツジの飼育で有名なのはオーストラリアやニュージーランドなんですが、ここ20年でオーストラリアでは1億頭、ニュージーランドでも6000万頭も減っていて、そのほとんどはより儲かる牛や鹿の飼育に変わってきているんです。というのも、牛の肉は世界中で、鹿の肉は欧米で人気。また、鹿のツノは漢方薬として売れるそうです。そんな中、羊毛(ウール)の8割を輸入に頼っている日本では、学生服のほか、スーツや敷き布団なども値段が上がってくるかもしれないと、なんとか少しでも多くのヒツジを輸入しようとしているんですが、最近では、輸入競争に勝てず他の国に取られているという話もあるんです。資源・食糧問題研究所の柴田明夫さんのお話です。
ヒツジ値上がりの背景に、中国の火鍋「爆食」が!
- 資源・食糧問題研究所 柴田明夫さん
- ヒツジの肉の価格はここ数年で50%くらい上がってるんです。背景には中国での羊肉の需要が拡大している。元々中国では羊肉を食べるんですが、自国で自給していたんですが、なかなか最近では火鍋ブームもあって自給ができなくなってきて輸入に依存。その結果国際的なヒツジの価格が、ここ2〜3年で伸びてるんです。
中国では「子羊の肉」を使った火鍋が大ブームになっているそうなんです。この「子羊の肉」というのが大きなポイントで、「子羊は生後半年ほどのヒツジ」と決まっているので、ウールを刈る前に食用としてお肉にされてしまうんです。そうなるとウールが欲しい日本にとっては、また輸入しにくい状況になってしまいます。たちの身近な学生服から世界中まで関係しているヒツジ問題ですが、今後のことを聞いてみると、意外な答えが返ってきました。再び長尾商事株式会社の長尾さんのお話です。
為替にも影響されるヒツジの価格
- 長尾商事株式会社 長尾和彦さん
- ただ、ここ半年は石油価格の暴落とか円高がありますので、輸入価格が若干下がってはきています。でも結局ヒツジの数はずっと減ってきています。急激に増えるということはない。一度に3倍4倍と増やすことはできない。このまま円高が続けば制服なんかも来年は安くなるかもしれませんけど、為替はわかりませんからね。
実はここ半年は石油価格と円高で輸入価格は下がっています。下がっているんですが、「ヒツジの数を増やす」という根本的な問題点が解決されたわけではないので、この先ウール製品がどうなるかはまだまだわからないんです。
(取材・レポート:田中ひとみ)
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