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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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運命に翻弄される桜、ソメイヨシノ。代打は娘・ジンダイアケボノ!?

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桜が満開ですね!今週が見頃で、きょうも、青空の下で桜が見られそう!桜といえばソメイヨシノ、とすぐ思いつくと思いますが、ここのところ毎年この時期になると、”そろそろソメイヨシノは寿命だ”とか”植え替えが必要だ”といったニュースを目にしますが、本当にいま、ソメイヨシノはピンチなのです!そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日4月5日(水)は、レポーター近堂かおりが『運命に翻弄される桜、ソメイヨシノ。代打は娘・ジンダイアケボノ!?』をテーマに取材しました!
まずは、桜の苗木を生産している、日本花の会 研究員の西山正大さんのお話です。

★もうソメイヨシノの苗木は生産していません!!

西山正大さん
「うちの農場では、ソメイヨシノの苗木は、生産はしていないです。ソメイヨシノ自体は、桜類「テング巣病」と言う病気で、これは伝染病なんですけど、その病気にかかってしまうと、本来花を咲かせる時期に花を咲かせず、そこに葉っぱが展開してくる。同じクローンであると同じ病気にかかりやすい。一度病気が発生すると蔓延しやすい桜なので、ソメイヨシノらしい景観を残しつつ、テング巣病を広めないために、似たような種類で「神代曙」ていうのをソメイヨシノの代替品種として進めていこうということをやっています。そんなに遜色は無い。開花の時期も1日2日くらいしか代わりません。花を咲かした後に葉を展開するので、ソメイヨシノとほとんど同じように見られると思います。」

苗木の生産をしていない!?とびっくりしましたが、それくらい大変なのが、この病気、”てんぐ巣病”。この病気にかかってしまうと、細か~く枝分かれしてしまい、花が咲かずに葉っぱが出て、最終的には枯れてします。その細い枝がぐしゃぐしゃ!となる見た目が、天狗の巣に似ていることから”てんぐ巣病”という名前がついたそうです。全国のソメイヨシノは、枝分けをして増やした、つまり同じ遺伝子=DNAを持つクローンなので、病気が出ると伝染し蔓延しやすい。

この病気の気持ち悪さは、原因がよくわからないところ。病気の原因となる菌の胞子が葉っぱの裏側から出ているのは分かっていますが、実験的にその胞子を正常な樹につけてみても、伝染しない、など、どうやって伝染するのかがわからないので、今のところ、防ぎようがないという・・・とても厄介な病気。

★代打!ジンダイアケボノ!?

そんな病気に悩まされるソメイヨシノの代わりとして、出てきたのが”ジンダイアケボノ”という桜ですが、この桜、どこからやって来たのか?再び日本花の会 西山さんです。

西山正大さん
「もともとワシントンに送られたソメイヨシノがありまして、ワシントンでソメイヨシノの種をとって、それを育てた桜で、アケボノとアメリカで呼ばれた種類の桜があるんです。それが日本に導入されて、神代植物公園という所で、植えられたんですど、そのうちの1本が、アケボノとちょっと違う花を咲かせたってことで、神代植物公園で生まれた、アケボノという種類ってことで、ジンダイアケボノ、という名前がつけられています。母親はソメイヨシノ、父親はどこの誰だか分からない。波乱万丈な人生かわからないですけど、そういう桜ですね。」

東京都調布市にある神代植物公園。ここは、元々、東京都の街路樹などの苗木を育てるための畑だった場所。そこに、アメリカから逆輸入で、ソメイヨシノアメリカ版のアケボノが、やってきた。そして神代植物公園で、違う桜と交配したことで、うまれたソメイヨシノの血を引く桜。お母さんのソメイヨシノに比べ、ピンク色の濃い、ジンダイアケボノが誕生しました。神代植物公園の神代に、曙でジンダイアケボノ=神代曙。(ちなみに1991年、新しい品種として認定)
ジンダイアケボノは、開花の時期もほぼ同じ(1~2日早いくらい)で、花が咲いた後に葉っぱが出る、というところもソメイヨシノと同じ。ソメイヨシノと比べると少し小ぶりの木ですが、確かによく似ている・・・。替わりに植えるには良さそう!
サクラ

★ジンダイアケボノ、大好評!!

でも実際に見る分にはどうか?すでに都内でも植えられているというので、”ジンダイアケボノ”の木の下で聞いてきました。

●「千鳥ヶ淵からきましたけど、ここ最高ですよ。(なんというサクラかご存知?)種類?ソメイヨシノの中の種類が何かあるのかしら、ちょっとわかんないですけど、華やかですね。」
●「ピンクの色が違いますよね。ソメイヨシノは若干白っぽいじゃないですか。ここのはピンクが、思い描くイメージ通りの桜の感じがしませんか。去年くらいから来るんですよ。」
●「すごいです、綺麗ですね。これあれでしょ、駿河小町・・・ハズレ?河津桜とは違うし。綺麗です。今ね、靖国神社から千鳥ヶ淵通って、このまま東京駅のほうまで歩いていこうと思ったら、向こうから見てこのサクラが綺麗だなーって思って信号渡ってきた。わざわざ会社休んで来た甲斐があった。」
ジンダイアケボノはこんなサクラです!

ジンダイアケボノはこんなサクラです!

ジンダイアケボノ 花ごとにピンクのグラデーションが違います!きれい!!

ジンダイアケボノ 花ごとにピンクのグラデーションが違います!きれい!!

東京メトロ半蔵門線の半蔵門駅からすぐの国立劇場の正面付近にあるんですが、昨日は、そこだけ人だかりができていました。遠目から見ると、周囲の別の種類の桜と比べて、ピンクの濃さが違うので、目を引きます。まさに、ピンクの桜の絵を思い描いたときにイメージする通りの色で、花もそれぞれ濃淡があり、木全体がピンクのグラデーション!!すばらしく美しいです!みなさん”ジンダイアケボノ”の名前は初耳だったようですが、大好評!これからも注目を集めそうでした。

★運命に翻弄されるソメイヨシノ!?

しかし・・・。『こうなってくると、お母さんのソメイヨシノのことがかわいそうになってしまいますね?』と西山さんに問いかけると、『ソメイヨシノには、病気の他にも、辛い環境が待ち受けているんです』とおっしゃるのです。

西山正大さん
「今桜が植えられるとことは狭い所が増えているので、ソメイヨシノが大きくなってしまうという性質があるので、木が大きくなるってことは、それだけ枝が横に張るので、通行の障害になることもありますし、枝が張って上に伸びていくと同じ分だけ道路の下で根っこで伸びている。それが太ってくると、どうしても地面が凸凹になって歩くのに障害になる。最近ではバリアフリー、ユニバーサルデザインが求められている時代なので、実際今、都市に植えられている環境自体が、外に外に伸びることができない環境にあるため、衰退が進んでいくのが現状かと・・・。」

ソメイヨシノは、ジンダイアケボノなどと比べると、大きく育つ品種。当初、ソメイヨシノは綺麗!と人気を博し、クローンで殖やされ、至る所に植えられてきました・・・。でも、社会が、大きく育つソメイヨシノを、許してくれなくなってきているのです。『道が凸凹になると不便だから、次に植えるのはソメイヨシノはやめてくださる?』という人もいるとか。

ソメイヨシノの寿命は60年とも言われますが、60年目以降も、少しずつだけど実は成長を続けている、つまり生きているのだそう。だけど、人に危険だからとか、迷惑になるからとか、病気が治らないから・・・ということで”寿命だ”と人に判断され、切られてしまう運命のものもあるのです。ソメイヨシノは人間の都合に翻弄される運命・・・なのでしょうか。そう考えると、気の毒なような、申し訳ないような、そんな気持ちになりました。
今年のお花見は、いつも以上に心から愛でたいですね!

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170405073205

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)


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