★ハリとお灸が世界的人気に!
日本のお灸が海外で人気となっているようなんです。どういうことなのか。東京衛生学園専門学校の波田康さんのお話です。
- 東京衛生学園専門学校 波田康さん
- 「去年の11月に世界鍼灸学会連合会が学術大会を開いたんですが、日本で開催されました。参加者は、中国をはじめ東洋、フランス、アメリカ、南米、レバノンなどの31の国と地域です。本当に色んな国から、過去最大級の参加者になっています。」
去年の11月、つくばで行われた世界的な学術大会で、過去最多の国から人が集まり、日本のお灸の研究結果や新しい試みが多く発表されたんです。
★お灸が「結核」治療に効果を発揮!
そしてその大会の中で、お灸に関して、今までにない新しい取り組みも発表されました。再び波田さんのお話です。
- 東京衛生学園専門学校 波田康さん
- 「大会では、日本や世界で行われている研究の発表が行われました。例えば、『モクサアフリカ』というイギリスの団体が、アフリカで蔓延している結核に対してお灸で治療をしようというプロジェクトなどです。」
イギリスの「モクサアフリカ」という団体の活動により、アフリカでお灸が広がっているようです。実は、この団体にはアメリカでお灸の研究をしてきた日本人の女性も参加しています。現在はイギリスに住んでいる、伊田屋幸子さんに、どんなプロジェクトなのかお話を伺いました。
- モクサアフリカ 伊田屋幸子さん
- 「モクサアフリカは、2008年にイギリスで出来たチャリティー団体で、日本のお灸を使って免疫がどれだけ上がるかという研究をしています。ウガンダと南アフリカでも、活動しています。医療が行き届かない発展途上国では、薬が届いても免疫が落ちていると効きが悪い。そこでお灸をして、安くて安全に身体の調子が良くなることが分かっています。」
結核自体を治療するために使われているわけではなく、薬の効果をあげるためにお灸を使うという取り組みを行っている団体が「モクサアフリカ」。ちなみに「モクサ」とは、お灸の原料になるヨモギの葉っぱのウラから採れる繊維「モグサ」からきています。
この団体では、お灸を広める活動の他、ウガンダのマケレレ大学と共同でお灸の効果を科学的に研究しており、関節痛や食欲不振など薬の副作用を抑える効果があるという研究結果も発表しています。現在はウガンダ、南アフリカの他に、ケニアやタンザニアでもお灸が使われていて、現地ではお灸をしながら井戸端会議をしているようです。日本のお灸が遠く離れたアフリカで広まっているとは、不思議です…。
★“OKYU”海外では抵抗感も試してみると・・
とはいえ、日本のお灸がすんなりとアフリカに浸透したわけではなく、最初はすごく大変だったそうです。再び伊田屋さんのお話です。
- モクサアフリカ 伊田屋幸子さん
- 「みなさんお灸のことなんて何にも知らないので、最初は半信半疑で始めたんです。『ナニコレ?!』『ちょっと燃やすくらいで何が変わるの?』と言うので、とりあえず信じて続けて下さいと説き伏せて。続けてくれた人たちは『やるのとやらないのとでは全然違う』と言います。ウガンダや南アフリカでやってる人たちに“お灸”と言うと、あぁと言うんです。ちょっと熱いけど蚊に刺されたようなもんだとみんな言いますね。」
今では、現地でも「OKYU(お灸)」(一部では「モクサ」)と呼ばれているそうですが、最初はみんな半信半疑。伊田屋さん自身も、以前メキシコでお灸を教えてきた経験もあるそうで、ゼロから浸透させる難しさを語ってくれました。ただ、実際に使用してみると効果を実感してくれるようで、メキシコやアフリカでも少しずつ浸透していった、ということでした。
今後はもっと広がるように活動していくとのことですが、次の目標を聞いてみると、こんなお話をしてくれました。
★目標はモグサを現地生産すること!
- モクサアフリカ 伊田屋幸子さん
- 「今の段階では、モグサは日本から持っていってます。ただ、世界でどこにでも生えているものなので、南アフリカとウガンダで生育できるかを確認してみたんですが、現地のモグサで代用すればいいという結論になっています。あとは、モグサを作る過程を技術提供できれば良いなと思ってます。それが私達の次の課題です。」
アフリカにもお灸の元になるモグサはあるので、現地で加工する技術を提供し、さらに普及させていくことが次の目標だそうです。モクサアフリカは、寄付金で活動しているので、資金が集まり次第動き出すとお話してくれました。
(現在も寄付金を募集しています。詳しくは、ホームページやfacebookで確認できます)