けさは、ツイード生地のブランド「ハリスツイード」について、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)1月12日の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材しました。
★高級ツイードブランド「ハリスツイード」を使用した小物が大人気!
ハリスツイードは、スコットランド北西部のハリス&ルイス島でとれた羊毛をすべて手織りで織り上げた日本でもデパートでよく目にする生地(ファブリック)ですが、ここ最近、日本国内でのハリスツイード人気に変化が起きているようです。60年以上、ハリスツイードの輸入卸しをしているマルキシ株式会社の岸 秀明さんのお話です。
- マルキシ株式会社 岸 秀明さん
- 「ハリスツイードは、日本ではよく『世界で一番有名なツイード』と形容されますが、英国の法律によって商標とものづくり(作り方)が厳しく管理されている唯一無二のファブリック(生地)と言われています。日本では元々、知る人ぞ知る生地でハンドメイドだと最低でも何十万としてたものですが、最近爆発的に人気が出て来たのは、雑貨類。バックや小物などにハリスツイードを使うことが増えて来て、いまある低価格のもので数百円で販売されています。」
ハリスツイードの小物、サイフやポーチなどですが、安いものでなんと数百円。今ではイオンやしまむら、ダイソーでも売っていて、価格もかなり安くなっています。どうしてこんなことになっているのかというと、ハリスツイード協会設立100周年を迎えた2010年に、日本国内でも様々な新商品が出て人気となり、その後、より安いものということで、生地を使う面積の小さい小物などに人気が集まりました。
★ハリスツイードの小物は、ダイソーでも買えます
ただ誰でも作って良いのかというと、どのメーカーも勝手に作って良いというわけではないようです。ハリスツイードの小物を販売している、大創産業の広瀬 真吾さんのお話です。
- 株式会社大創産業 広瀬 真吾さん
- 「わたくしどもは昨年より商品を販売しておりますが、小物入れやサイフがメインでポーチなども販売しております。実際の商品の外観でハリスツイードが指定した生地が50%以上ないといけないというルールがありまして、協会の方に確認してルールにのっとって商品を企画、販売しております。」
さすが、英国を代表する生地メーカー。英国の法律で厳しく決められているだけあって、きちんと協会からガイドラインがアナウンスされていて、商品の外観の50%以上が指定の生地でないと販売できないという決まりがあります。
ダイソーでも様々な商品を出していますが、企画段階からハリスツイード協会とやり取りをして、きちんとガイドラインを守って販売しているとのことでした。
★中には、ガイドラインを守らない商品を販売する小売店も…
種類も豊富でかわいいので、人気になる理由も分かりますが、この人気すぎる状況を受けて、新たな問題も出てきてしまいました。再び、輸入卸しをしているマルキシ株式会社の岸 秀明さんのお話です。
- マルキシ株式会社 岸 秀明さん
- 「今まではジャケット、コート、スーツなど「着るもの」の生地が大前提で、部分的にしか使わないというのは想定されてなかったので、協会が日本向けに、雑貨類に関して表面の50%にハリスツイードの生地を使っているものだけ、ロゴを貼って良いというアナウンスを出したが、ほんの少ししかハリスツイードを使ってないのにロゴを大きく出して消費者を混乱させる商品が増えて来たというのが問題になってきている。」
ハリスツイードの小物は、海外ではほとんど販売されておらず日本だけのルールで、生地の「50%ルール」の他にも細かく決められています。
例えば、ハリスツイードは小物を作っているのではなくあくまでも生地のブランドなので、「『コラボレーション』と表記して売り出すことは禁止」と決められていたり、「ロゴはツイード生地の上にしか入れてはいけない」など決まっているんですが、残念ながら日本ではこのルールに従っていない商品や、禁止されている売り方も多く、せっかく作ったガイドラインが守られていない場面もあるようです。
★ついに動き出したハリスツイード協会
どうにもならないこの状況に、ついにスコットランドのハリスツイード協会が動き出しました。再び、岸さんのお話です。
- マルキシ株式会社 岸 秀明さん
- 「来月2月に、ハリスツイード協会会長のローナマコーレーさんが来日し、関係各所や、スコットランドの機関などと協議して、今後ガイドラインを徹底告知していくという話し合いをすると聞いています。日本国内に、ブランドアンバサダーのような、マーケティングをチェックするポジションの人を置くという風にお聞きしました。」
来月、ハリスツイードのトップであるマコーレー会長が来日し、販売している企業や小売店をチェックする機関を設置する他、違反した場合の罰則などについての話し合いが行われる予定です。会長は、「日本は非常に重要な市場であり、近年の誤った商標利用に対して措置を講じる必要がある」としていて、さらに厳しいルールが作られるかもしれません。
(取材・レポート:田中ひとみ)