子供たちの体力が落ち、運動機能が低下しています!「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で、レポーター阿部真澄が「ロコモティブシンドローム」について取材しました。
★運動能力は向上!しかし、握力は・・・
先週スポーツ庁が、小学5年生と中学2年生を対象にした今年の「全国体力調査」の結果を公表しました。その結果、女子は小5・中2ともに運動能力の点数が過去最高になったといいます。一方で、小中学生の男女いずれも大きく低下したのが「握力」です。なぜ、子どもの握力が低下しているのか?目白大学名誉教授 谷田貝公昭さんのお話です。
- 谷田貝公昭さん
- 「今、全体的に手の力が弱くなってきているんですよ。例えば物を絞ることもしなくなってきている。タオルとか、ハンカチとかを絞らなくなった。それから両手で水をすくうという動作がかなりできなくなってきている。食事の前にテーブルを拭くという動作もやらせてないので、握力が低下している。一番いいのは家事に引きずり込むことです。食事の準備をさせたり、新聞持ってくるとか。家の中で決まった仕事をやらせないからダメなんですね。」
小学校では「生活」という教科で、家事などを取り入れた授業をしているところもありますが、谷田貝先生によると、最近、親が過保護になり、子供が手を使うことをしなくなっているため、握力が落ちてきたのではないかということでした。
★骨折しやすい子供が増えている!ロコモティブシンドロームとは?
握力以外にも、最近一部の小・中学生に、ある別の問題も起こっていることがわかりました。何が起こっているのか、NTT東日本・関東病院 大江隆史先生のお話です。
- 大江隆史先生
- 「昔だったら、子どもではあり得なかったような、関節の硬さ、体の硬さ、バランスの悪い子どもが現れていてそれが目立つようになってきている、というのが最近の子どものロコモティブシンドロームと言われる状態。例えば、すぐ転んで体の柔軟性がないばかりに骨折をしてしまう子どもや、体が硬くて普通にしゃがみ込めないという報告が出てきている。運動の機会が極端に減っている子どもがいて、運動する子供と全くしない子供、状況が二極化している。」
しゃがめなかったり、バランスが取れなくてすぐに転んでしまうというような子どもが増えています。こうしたこと状態は、子どもの“ロコモティブシンドローム”(通称:ロコモ)と一部で言われています。そもそもロコモティブシンドロームとは、年配の人の筋肉や骨、関節などに障害が出て、「立つ」「歩く」といった運動の機能が低下している状態をさす言葉だったのですが、その症状が子どもにも起こっているという報告が、病院の先生から相次いでいるのです。
例えば、跳び箱で手をついたときに手首を骨折したり、滑り台で着地の際に足首を骨折するといった事例があります。こうした、子どもがロコモになる一番の原因は、運動不足ということでした。
★子供に運動させていますか?お母さん達の声
子供がいるお母さん達に、子供に運動をさせているかどうか聞いてみました。
- 「休みの日はなるべく外に出して、風邪をひかないように、外遊びは雨が降ってなければしている。でも家にいる時は携帯とかを見たがるので、1時間だけ見せちゃっているけれど。」
- 「必ず1日1回は外に出て遊ばせるようにしていす。意識的に運動させている。田舎から引っ越してきたが、東京の子供は走るのが苦手だなぁと思いますね。ヨーイドンって走ってもすぐ走るのをやめちゃったり。」
- 「今も体操教室に行ってきました。体を鍛えるとか意運動不足解消のために。好きな子は(運動が)増えるし、苦手な子はしない。クラスに入院している子がいる。足の骨折で。」
- 「とにかく走らす。電車の時は階段とか。骨折は昔より増えていると思う。うちの子じゃないですけれど、本当に些細なことですね、足首のちっちゃい骨をちょっと骨折とか、親指の先を骨折とか。」
意識的に運動をさせているというお母さんも多かったのですが、昔よりも子供が骨折したり、体力が落ちていると感じている方も多かったです。
★大人も要注意!ロコモ度チェック!
では、ロコモティブシンドロームになっているかどうか、見分ける方法はあるか?再びNTT東日本・関東病院 大江隆史先生に聞きました。
- 大江隆史先生
- 「椅子から立ち上がるというテストがあり、どれくらいの高さから立ち上がれるかという立ち上がりテスト。ロコモ度1、ここからロコモだというのは、40センチの高さから片足で立ち上がれるか。40センチとは例えば、トイレの温水便座はほぼ40センチ、電車の椅子はもう少し低くて37〜38センチ。そこから片足で自分の体重持ち上げられるかというのを調べていて、それができなければロコモ度1。」
実は、ロコモティブシンドロームは、子供だけでなく、大人にも当てはまります。40センチの高さのイスから片足で立てなかったら、運動機能が低下している可能性があるということなんです。
- 大江隆史先生
- 「子どものロコモと言いますけど、子どもだけじゃなくて大人になるまでずっと考えないといけない、ずっと繋がっているという話です。この便利な日本の社会では、子どもだけに起こってきていることだけではない。十分に体を曲げるようなことがないと、当然体の柔軟性は保てないし、十分に骨に力が加わらなければ骨の発達も悪くなる。常に刺激を与えるということが必要。」
子どもだけじゃなくて大人も常に身体を動かすことを心がけ、筋肉や骨を刺激してほしいということでした。
(取材・レポート:阿部真澄)
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