今日は、このところ新聞でもたびたび取り上げられている、クルマのヘッドライトの”ハイビーム/ロービーム”問題。夜間の対人交通事故の96%がヘッドライトが下向き、つまりロービームだったので、『事故を減らすために夜はハイビームで走りましょう』というお話。警察庁は来年3月から、『交通の方法に関する教則』に『交通量の多い市街地を除いてハイビームを使うべき』という内容を明記するという。つまり夜は原則、ハイビームに。しかし、これにちょっと違和感を覚えた方も多いのでは?都心を走るドライバーはハイビームを使う機会は少ない。夜もかなり明るいですものね。でもちょっと待って。それって本当に都心のドライバーだけなのでしょうか??そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日10月25日(火)は、レポーター近堂かおりが『緊急実態調査ハイ&ロー 夜間運転あなたのヘッドライト上向き?下向き?』をテーマに取材しました!
都心から離れたらハイビームのクルマが多くなる、という話も聞きますが、実際のところどうなの?それを今回、調べてみました。まずは主に東京や横浜などを走っているドライバーの方に、普段はハイビームかロービームかを伺いました。
★都心はやはりロービーム派!
- ●「ローですね、普通は。あんまりハイビームにしてはないですね。基本的にローです。」
- ●「普段ロービームですね。普段、ハイビームで照らされるのが僕も嫌いなので。ミラーをバッと後続車から照らされるのがすごく気になる時もあるので、ローが多いですね。」
こういう方が多いと思います。
★都心から20キロ、浦和はハイかローか?!
では比較的東京に近い、埼玉県さいたま市の浦和(都心から直線距離で20キロほど)から調査開始。昨日、夜8時に実際に行ってみた印象は、都心と比べると道路やその周辺はやや暗い感じ。
そんな浦和のドライバーは普段、ハイビームか? ロービームか?
- ●「普通にロービームで行ってます。あんまりハイビームは使わないです。やっぱり対向車とかに迷惑をかけちゃうからというところはありますよね。」
- ●「対向車がいなければずっとハイビーム。タクシーとかも結構、ハイビームで走ってるので。浦和も結構、暗いですね。クルマの量が多ければ割と明るいほうですけど、ちょっと橋を渡っちゃうともう街灯がなくなっちゃうんで。高校生とか自転車を無灯火で普通に走るので、やっぱりハイビームにしちゃいますね。」
浦和は意見が分かれました。はじめは都心と変わらずみんなロービームと予想していたのですが、予想に反して浦和で早くもハイビーム派が現れました。駅周辺は明るいのですが、暗い道も結構多いのだとか。
★都心から60キロ、羽生はハイかローか?!
では、さらに東京から離れるとどうなるか。浦和から北上して、埼玉県の北端、羽生。都心からは60キロ弱。夜9時すぎの羽生は、かなり暗い。
一般道のカーブでは私は思わずハイビームを使いたくなるほどでした。ここでハイビームがどっと増えるのか?
羽生のドライバーはハイビームか、ロービームか?
- ●「ロービームです。あまりハイにはしないです。クルマが多いとやっぱりまぶしいので、あと自分が(ハイビームを)されたらちょっといやなので。それでロー。(でもこのへん結構、暗くないですか?)いや、たぶん慣れちゃったんでしょうね。(私、東京からずっと運転してきたんですけど、ちょっと暗くなってきたかなと…)ああ、そうですね。都内に比べたら全然、暗いんでしょうけど、このへんはまだセーフじゃないかなと。西日でまぶしくて目が開けられないで運転するぐらいだったら暗いほうがいい。それと一緒かなと。」
羽生のドライバーはハイビームではありませんでした!かなり暗い道でしたが、羽生の方は暗さには慣れていると言って、ロービーム。暗さよりも、ハイビームで一瞬、視界を失うことに不安を持っている方が多かったです。
★利根川越えて群馬県。館林はハイかローか?!
では、もっと北上して利根川を超え、群馬県に突入。都心から65キロ離れた館林市。
夜9時半の館林の国道は「真っ暗」という表現がぴったり。そうなるとハイビームが増えるのか?
館林のドライバーのヘッドライトはハイか、ローか?
- 「通常、走る時にはあんまりハイにはしないですね。やっぱ田んぼ道とかもあるのでそういうところはハイにするんですけど、やっぱし国道とかは明るいのでハイビームにしたいというのはさほどないですかね。(この道が明るい?)比較的、ほかから来たら明るいんじゃないですかねえ。結構、ライト同士でかぶさった時って見えなくなる視界があるので、そのところがやっぱり怖いかなあと。」
館林のドライバーもロービーム。やはり暗さよりハイビームのまぶしさが心配なのです。また、車を持つ人が多い県という事もあり、交通量は多いので、ローとハイをそのつど切り替える作業を面倒に感じる人も多かった。
その点については、すでにもう、対向車や前のクルマの状況をセンサーで読み取って、自動でロー/ハイを切り替えてくれるシステムも開発され、普及し始めています(トヨタや日産)。
★眩しくないハイビーム!!
実は、今はさらにそこから一歩進んで、『対向車がまぶしくないハイビーム』も開発されているというのです!自動車ライターの萩原文博さんのお話です。
- 萩原文博さん
- 「すでにもっと進んだメーカーのものもありまして、マツダですとライトがLEDのランプが4つに分かれているんです。4つのブロックになっていて、それがセンサーによって反応して、対向車がまぶしいと感じるところだけ消してそこだけ暗くして、あとはハイビームのままという機能になっています。アウディはさらにすごくて、両方のライトで50個ついていて「マトリックスLEDヘッドライト」といって、電子制御ですごくはやい速度でつけたり消したりできるんです。自動運転技術に関しても、カメラで見るところにすごくサポートになるので、(明るさというのは)必需の条件になんです。なのでどんどん採用されていくと思います。」
この眩しくないハイビームが普及するなら、「原則ハイビーム」と書かずに今までのままでいいのでは??と思って、萩原さんに聞いてみたところ、今回、警察庁が原則ハイビームと言うのは、まぶしくないハイビームを普及させるために、メーカーにけしかける狙いもあるのかも?と話していました。もちろん、事故防止は大切です。しかし、対人事故の原因がロービームだけなのか、ハイビームにすることで別の危険がふくらまないか、そこもよく考える必要があるのではないでしょうか。
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