きょうは野良ネコ対策のお話。そのポイントになるのが、”飼いネコ””野良ネコ”そして、”地域ネコ”という区別。”野良ネコ”を、”地域ネコ”にすることが、野良ネコ対策に効果的なのだそう。”地域ネコ”ってなに?という方もいるかもしれません。さらにその地域ネコ活動にスマホアプリを導入した!という話も。
ということで、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日11月16日(水)は、レポーター近堂かおりが『野良ネコ対策の”地域ネコ”。地域ネコアプリも。』をテーマに取材しました!
★地域ネコってなに?
まず、地域ネコって何なのか?野良ネコとはどう違うのか?地域ネコに詳しい国立科学博物館・館長の林良博さんに教えていただきました。
- 林良博さん
- 「地域ネコという言葉は、そこの住民たちが共同で世話をしている猫なんだという意味です。地域ネコは人によって名前が違うかもしれない。みきちゃんと言っていたのが隣の家では別。ただ、それが野良ネコと違うところです。野良ネコは名前を持たないのが一般的です。本当にお世話する人が共同でやっているところでは、名前は1つですよね。そして、地域ネコの場合は、多くは子供を増やさないように、1回捕まえて、去勢・避妊手術をして元の場所に戻して、ちゃんとえさをあげるけども、後を片付ける。それくらい特定多数の人が、親密になっていると、本格的な地域ネコです。」
地域ネコは元々野良で個人の飼い主はおらず、地域の特定多数の人が世話をしているネコ。野良ネコは、泣き声や糞の始末など、近隣住民トラブルに(裁判沙汰もある)なることも多く、対策として保護して飼い主を探したり、殺処分されたりしています。しかし、最近は犬や猫の殺処分ゼロを掲げる自治体も増えてきており、都知事も公約を掲げました。(猫は、去年全国で年間7万匹が殺処分されました。)ネコは、多い場合、一度に12匹の子猫を産むこともあるそうで野良ネコのままだと、増え続けてしまい殺処分が途切れなくなってしまう。そこで、野良ネコを地域ネコにして、餌やりやトイレの支度などに加えて、不妊・去勢手術を行い、ネコが増えるのを止めようとしているのです。地域ネコ運動に取り組む地域は増えています。
その地域ネコ活動にスマホアプリを導入した自治体があります。
★地域ネコアプリ”ニャンだぁ!らんど”ってなに?
千葉県浦安市は、今月から「ニャンだぁ!らんど」というアプリを配信し始めました。どんなものなのか?浦安市環境衛生課、課長補佐の奥山孝夫さんのお話です。
- 奥山孝夫さん
- 「ネコの写真と、毛色と種類と、あとオス・メスとかその年齢を書き込んだ台帳がありまして、それをデータベース化して作ったものです。今回このアプリを開発した経緯は、市民ボランティアの方たちが登録する際に紙ベースで文書のやりとりをしていたものを、電子化して、ネコ情報をアプリに登録した上で、メールで写真とか送ってもらって、それを私たちがアプリにアップするという手軽に扱えるようにということで、今のアプリでは500匹近くが登録されているんですけど、実数は把握しきれていないので、このネコのっていないようだから、参加して、面倒みようかなってくれればいいのかなと。」
このアプリは、いままで市役所が管理していた”ネコ台帳”を電子化したもの。ネコの名前や性別、生息地、不妊去勢手術の有無などがわかる、地域ネコの一覧表。アプリになったことで、地域ネコの『登録』がしやすくなりました。以前は地域ネコを登録するとき、役所に出向いて書類で申請、と手間がかかったのですが、アプリを使うことでネコのプロフィールや写真をメールで送って申請するなど、手軽に簡単に登録できますからね。さらに、これまで登録したネコ情報の”ネコ台帳”は、市役所で保管していたが、アプリでこれを『公開』。これにより、ふと見かけたネコが地域ネコかどうか、の確認ができるようになりました。野良ネコの割り出しにも一役買いそうですよね!
浦安市では今、”地域ネコ”活動をする『愛護員』=ボランティアさんが160人程いるのですが、その方々にアプリについて聞きました。
- 浦安市地域ネコ愛護員さん
- 「かわいそうだからと思ってご飯をあげている方たちが捕まえる方法がわからないから手術ができなかったという方も多くて、そういう方たちとノウハウを知っている接点、きっかけになってくれたら嬉しいですね。」
- 浦安市地域ネコ愛護員さん
- 「私たち自主的に、仲間作り、ネットワーク作りをしているんですが、全員の所在がわからないので、そういう意味では、自分が登録している地域があるわけですよね。その地域に、他にも活動してらっしゃる方がいることが分かってよかったです。」
これまで顔が見えなかった他のボランティアの人と、人同士の出会いのツールとして役立つ、ということなのですね!去勢・不妊手術が必要だと思っても、かわいそうだからえさをあげる人もいる。それが、トラブルやネコにとって不幸の原因になることもあるので、そういう人とも、アプリを通じて繋がることで、理解や協力を得られれば嬉しい、とのことでした。ただ、そうしたアプリのつながりに、アプリ配信以降、新たに心配な点も出てきているそうです。再び、浦安市役所の奥山さんのお話です。
★不特定多数への公開の課題
- 奥山孝夫さん
- 「今回そのネコの居場所・生息場所はここですよという風に浦安市が小さい地域ではありますけど、それでもネコの居場所を知らせることが、実際に活動していない人にまで、そういった情報を与えるのがいいのか悪いのかというご意見はいただいています、ネコをいじめてやろう、もっと悪質な事件につながるということが懸念されています。ただ私たちとしては、ある程度の人たちが、地域ネコ活動を理解していただいて、市民一人ひとりが監視しているんだという気持ちでネコを見守って頂けると、悪質ないたずらをする人の抑止にはなるのかなと考えています。」
特定多数で見守る地域ネコが、不特定多数に知れ渡ってしまうことはどうなのか、という不安の声があるのです。しかし、アプリで地域ネコを公開し、その後ろに市民の人たちの存在も示すことができるので、抑止としての役割にもなるのでは?と考えていらっしゃいました。そういったことも含め、細かい表示内容など、市役所と市民とこれからも相談して、ますます使いやすい有益な便利ツールになっていくといいですね。
みなさんの周りには地域ネコ、いますか?