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★埼玉の事件に見る、いまなお起きる空き家問題
9月17日、埼玉県春日部市にある20年間も空き店舗だったという空き家で、白骨化した痛いが見つかりました。実はこうした「空き家をめぐる事件」が広がっているということ。そこで「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で田中ひとみが取材しました。
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事件のあった、元・ラーメン店。(裏の畑側から撮影)
★どんな事件?「廃店舗に白骨化した遺体」
今回の埼玉の空き家の事件、実は一部が報じているだけで、他のメディアは取り上げていません。まず、どんな事件なのか。空き家問題に詳しい空家・空地管理センターの上田真一代表理事に聞きました。
- 空家・空地管理センターの上田真一代表理事
- 「春日部で9月17日土曜日に、使われなくなった店舗で、白骨遺体が発見されたという事件がありました。1階2階と飲食店が経営されていたんですけどれも、20年位前に閉店したということで、そこで以前、死体をみたという方がいらっしゃったようで、それを確かめに行ったら、遺体があったという事件だったそうです。遺体は死後数年経過しているとみられているそうなので、これから詳しい原因とかは調べていかれるそうです。」
きのう私たちが春日部署に取材したところ、先週末の土曜日、埼玉の春日部で20年以上も営業していないとみられる2階建ての空き店舗(1階がラーメン店、2階が焼き肉店)で遺体がみつかりました。実は、この遺体を最初に見た人は「3~4年前に遺体らしきものをみた」ということで、最近、友人に話し、その友人が空き家に見に行ったところ、遺体があったということです。
いま、警察が、店舗の所有者や遺体の死因、身元を調べているそうなんですが、この遺体が放置されたままだとすると、近所の住民に怖い話ですよね。
ではどんな場所なのか、きのう見に行ってきたんですが…、大きな国道16号に面した場所で、周辺に住宅もあるのですが、警察がひとりで行くのは…注意が必要と言うほどの場所でした。
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春日部駅方面から歩いていくと…国道16号沿いに「森」のような一角が
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近付くと、木の奥に建物があるのが分かります
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看板もそのまま…。壁には大きな穴が。
一方、現場の近隣に住む住民は、今回の事件をどう思っているのでしょうか。
★遺体に気づかず生活していた近隣住民は
- ●「(この件についてご存知でした?)全く知らなかったです。(そこの空き店舗なんですが)ちょっと怖いですね。結構、身近なんで、近づきたくないですね。」
- ●「(近所でそういうことがあったことについて)たまたま俺も読んでてあれっ、そこじゃんと思っていたんですよ。20年位前まではラーメン屋としてやっていたんだけど、閉まってからは誰も寄りつかなくなって気づいたら廃墟になってたんで、お化け屋敷みたいだから行かない方が良いよって話でしたよね。誰かいたみたいな話は昔聞いたけど、まさか。」
- ●「(ご存知でした?)うん、警察に聞いたから4年くらい前から入っていたんじゃないかって。(どうですか近所でこうした事件が起きて?)気持ち悪いよね。そうやって入られるとね。」
きのうの時点では一部メディアだけが報じていたので、近所なのに事件を知らない人もいましたが、みなさん驚きと気持ち悪さを口にしていました。一方で、空き店舗になっていた事件現場は、地元の人の間では、お化け屋敷のようなところと評判の場所で、近寄らない方が良いと言っていたそうです。
また、この近くで飲食店を営む方からは、こんな声も聞かれました。
★近くの飲食店主は「私なら更地にする」というが・・・
- 近くの飲食店店主
- 「昔は16号の通りは前がおそば屋さんだったのよ。そこももうおそば屋さんがなくなって、いま空き家になってるの。そこも空き家。だから、みんなこう商売していても、次のものが入らなければ、空き家になって行くの。だから、何十年以上そのままにしておくのなら、私だったら人に売ってから出ていくね、更地にして、周りの人に迷惑かけちゃいけない。」
この方は、事件があったこの近くで長年飲食店を営む方で、20年以上前にラーメン店があったことも知っていた方だったのですが、今回の事件があった空き店舗と国道16号という道を隔てたところにも、昔はお店があってそこもいまは空き家になっているそうです。
実は、こうした空き家は、ニュースにもなっている通り増えていて、全国平均で7、8件に1件は空き家だというデータもあるそうです。空き家が増えている理由は、相続人でもめていて、誰が相続するのか決まっていなかったり、店舗の場合は、貸したいけど借り手がつかない、売りたいけど買い手がつかないなどあるようです。
気になるのは、まだ使うつもりなら仕方ないかもしれませんが、使うあてが無いのに、なぜ空家にしてしまうのか?実は、建物を壊して更地にすると、その土地の固定資産税があがるそうなんです。そこで、建物を壊さずに、放置して、空き家になってしまう・・・これが実態だそうです。
こうして空き家が増えると今回のような事件も増えてくるのではないかと思ったので、実際どうなのか、再び、空き家問題に詳しい空家・空地管理センターの上田さんに聞きました。
★「空き家から遺体」はあちこちで
- 空家・空地管理センターの上田真一代表理事
- 「やはり空き家を悪用したような犯罪というのは、色んなところでありまして、例えば、佐賀県では、今月、空き家の中から白骨化した遺体が発見されたというのと、今年の5月には小金井市でも同じように遺体が発見されています」
上田さんがすぐに思いつくだけでも、今回のものを含め半年で3件。東京、埼玉、佐賀で起きている、ということでした。見逃せない空家問題。ではどうしたらいいのか?再び、上田さんに伺いました。
★「空家対策特別措置法」で改善される?
- 空家・空地管理センターの上田真一代表理事
- 「こういった空き家をめぐった様々なトラブルを受けて、空き家対策特別措置法という新しい法律が施行されました。その法律では、所有者の方に空き家の適正管理を義務づけるとともに、空き家の適正管理ができていないものには罰金や税金が増額されたり、もしくは行政が所有者にかわって建物の解体などができるようになりました。なので、こういった事件に巻き込まれないためにも、所有者の方がしっかり管理して、そういったことを未然に防ぐというのが今後は重要になるかと思います。」
空き家をめぐっては、去年「空き家など対策の推進に関する特別措置法」という新しい法律が施行されて、罰則が強化されるなど、厳しくなってはいるそうですが、こうした事件を未然に防ぐためには、やはり所有者の管理が重要と話していました。
TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」は月〜金6:30-8:30放送中。
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