7月4日に投開票が行われる、20201年 東京都議会議員選挙。争点として、コロナ対策や、東京オリンピック・パラリンピックの開催のの問題などが目立っていますが、重要なテーマは他にもあります。そこで、投開票を3日後に控えた今日は、都議選のいくつかの争点について、どう考えるのか?考える手がかりはないのか?7月1日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まず、一つ目は、羽田空港の新飛行ルートについてです。この問題に取り組む「羽田問題解決プロジェクト」代表の、大村 究さんのお話です。
★争点①「羽田の新ルート、どう考える?」
- 「羽田問題解決プロジェクト」代表 大村 究さん
- 「我々としては、多くの人たちが、羽田問題に対する賛否を投票行動に繋げて欲しいと考えている。国際線を増強する為に新ルートがいるということで、去年の3月29日から運用された。ただ、東京の密集地で離発着するのは無理がある。多くの皆さんが感じているのは騒音と威圧感。だから今回、「そもそも、羽田新ルート政策をどう考えるか」とアンケートフォームを作り、予定候補の段階でアンケートを取った。」
東京湾の上空を通って海側から離着陸していた従来のルートに加え、新宿区、渋谷区、品川区などの都心上空を低空飛行する新ルートは、南風が吹く日の、午後3~7時に限定して運用されています。
インバウンドのために羽田の発着を増やすのに有効だ、というのが賛成派の意見でしたが・・・
一方で、飛行機が随分低く飛んでいるなと思うことも増え、騒音や、落下物の危険性から、ルートの見直しを求める声も出て、意見が対立している争点。
そこで大村さんは、23区の都議選立候補予定者へのアンケートを実施しました。中には、「国際競争力の観点から、新ルートの必要性を認めつつ、国に安全の確保を求めていく」という意見や、「新ルートの廃止を求める」と明確に反対した意見もあり、全体としては4割が反対だったそうです。
大村さん達は反対の立場の団体ですが、候補者からの回答は、賛成意見も反対意見も全て、「羽田問題解決プロジェクト」のホームページに公開しているので、参考にしてくださいということでした→
https://haneda-project.jimdofree.com/2021都議選直前アンケート
★争点②「同性パートナーシップ制度の、早期実現の可能性は?」
続いて、2021年都議選 2つ目の争点は、性的マイノリティに関する姿勢です。「東京都にパートナーシップ制度を求める会」の代表、山本よそかさんのお話。
- 「東京都にパートナーシップ制度を求める会」代表 山本そよかさん
- 「「パートナーシップ制度を早期に実現していただけるかどうか」が争点。東京都という、自治体で行える最大限の配慮で、同性のカップルでも、家族として自治体が認め、証明書を発行してあげる制度。前回の都議会定例会で、知事が「導入を検討する」という答弁した中で、大半の議員は応援してくれているが、「自分の周りにはいない」、「皆の理解が進んでから」など、勉強不足で反対している人もいますね。」
パートナーシップ制度は、LGBTなど、性的マイノリティのカップルを「公的に」認める制度です。地方自治体が独自の証明書を発行することで、クレジットカードの家族カードが発行できたり、公営住宅への入居資格が得られたり、行政や民間のサービスが受けやすくなります。
現在は、渋谷区・世田谷区を始め、都内12の自治体で導入されたり、茨城県や群馬県など都道府県単位での導入も広がり、これまで1500組以上のカップルが、制度を利用しています。
ただし、法的拘束力はないので、入院手続きや相続ができるとは限りませんが、当事者の山本さんは、「公的に認めてもらうことが希望に繋がる」として、制度の創設を求めるインターネット署名と要望書を、小池都知事に提出。この山本さんたちの請願は、先月、都議会で採択されたばかりで、東京都は今後、制度の導入について検討を進めることにしています。
これを「大きな前進」と評価する人もいる一方、パートナーシップ制度を公約に掲げていない政党や、さらに議論が必要だ、という慎重派の意見もあります。候補者の中に、女性や障害者などのマイノリティが少ないことも課題といえそうですが、各党が、どんな候補者を立てているのか、そこに多様性はあるのか、という部分も、観点の一つかもしれません。
各党の立場はコチラに整理されています→
https://news.yahoo.co.jp/articles/efff67c5bb894e7de362e5b683b17585838955d2?page=1
★争点③「若者の味方の政党はどこ?」
今年の都議選、最後の争点は、「若者に関する政策」です。若者の声を、政治に反映させることを目指した超党派の団体、「日本若者協議会」関東支部の代表理事、室橋祐貴さんのお話。
- 「日本若者協議会」関東支部・代表理事 室橋祐貴さん
- 「コロナ禍で増えている「若者の自殺対策」や、最近話題の「ヤングケアラー対策」など、そういったところへの支援を、提言として訴えてきた。ただ、逆に言うと、政府や東京都が全く何もやっていない訳ではなく、今年大きな話題となった「生理の貧困」は、実際に都立の学校に、今年9月から、女子トイレに生理用品が置かれることが決まった。問題として政治家に認知されれば、意外と政治家は動くので、実際に要望を届けていくことも重要。やっぱり政治家って、選挙前になると顔出ししたり、PRしたりするが、「何もこの4年間やってなかったな」と思ったらちゃんと落としてあげることも、日本社会にとっても非常に重要。」
各党のホームページを見たり、街頭演説に1分でも立ち止まってみて、その人が一番伝えたいことはなんなのか、そこに自分の大事にするテーマは出てくるのか、聞き比べて欲しいということです。
こちらでは、主要政党の政策がひと目で比較できる一覧表を作成し、ヤフーニュースで配信しています→
https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20210625-00244630
また、選挙が終わった後も大切で、公約が「言ったもの勝ち」になっていないかチェックしていくことも、我々有権者に問われているということでした。