フードロスへの対策はさまざま広がってきていますが、今回は、最近、話題になっている取り組みを2つ取材。 6 月30日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で報告しました。
まずは、果物のフードロスをなくすために起業した15歳の高校生、薄井華香さんのお話しです。
★フルーツ大福でフードロス削減!
- 「凜々堂 経堂店」薄井華香さん
- 「 あのスーパーでは売れないような形が少し変なったりみたいな、そういう感じの果物って切ったら別にわからないじゃないですか。そういうものを使って大福を作ったり。来月頃からは大福には使えなさそうだなって思うものをスムージーにしたり、加工食品にして販売していきたいなっていうのを考えています。実家が野菜の仲卸の仕事をしていて、例えば少し傷がついたものとかちょっと傷んでるものでも全然まだ食べれるってものでもたくさん捨てられてきたのをずっと目にしてきて、それがまだ食べれるのになとか、世の中食べれてない人もいるのに、こんなにしてちゃうのっていいのかなっていう思いがあって、自分ができることがあれば何とかしたいなっていう思いがあって、起業しようと思ったのがきっかけですね。 」
薄井さんは自分の会社「Soffione」を企業。そして、故郷、金沢が拠点のフルーツ大福店「凜々堂」とフランチャイズ契約を結び、「凜々堂 経堂店」をオープンしました。
現在は、いちごの他、りんご、みかん、キウイ、メロン、パインそして期間限定でマンゴーの7種類のフルーツ大福があって、1個500円前後。
実家の仲卸では「食べられるのに捨てられてしまう」ものも少なくなかったようですが、これからは、そうした青果を仕入れて、スムージーなどにして販売したいということでした。
★冷凍パン!?
続いては、全国から注目が集まっているという「パン」のフードロス対策。島根県松江市で「パンタグラフ」というベーカリーを営む島貫宏次さん。
- 「パンタグラフ」 島貫宏次さん
- 「 パンを冷凍して、それを15個程度ダンボールに箱詰めして発送するという形で、昨年から「パン密セット」ということで、全国に販売させていただいております。当店では1日1000個ぐらいパンを作ってるんですが、そちらがどうしても、雨の日だったり、パンが残ってしまうことがよくありまして、100個とか余るときありますね。以前はそのまま廃棄だったりしたものもあったんですね。それを包装して冷凍することで、お客様のもとに届けることができるということで、大変喜んでおります。 」
こちら大変人気で話題を呼んでいる「パン密セット」。およそ15種類のパンが1つの箱にギュッと密に詰まっているので「パン密セット」。送料別で税込み1620円。もともとは、余ったパンを次の日に半額で売ったりしていたのですが、夏などは品質的な危なさもあり、限界を感じていた。そこで、特殊な冷凍をすることで、美味しさを逃さず、3週間ほど日持ちするパンとして、全国販売をはじめました。始めてまだ半年ほどですが全国から300件ほどの注文が入り好評だそうです。でも、冷凍するとなると焼きたてのパンの鮮度が落ちそうだなと思ったのですが・・そこにはコロナの禍が転じて出てきた発見があったそうです。
★コロナ禍で生じたメリット
- 「パンタグラフ」島貫宏次さん
- 「 焼きたてのパンというのが私どもの強みだったと思うんですけども、それがこのコロナでガラリと変わって、コロナで袋に入れなきゃいけないという衛生面のところで、逆にそれがパンがしっとり長持ちするというところにメリットが生じて、残ってしまっても、すぐ冷凍できる体制になってるっていうところをですね。一番の良いところはですね、よくお客様から夕方にあの来店したときにパンがほとんどないっていう声がありまして、夕方にたくさんパンを作っても、もしそれが残っても、そういう「パン密」という受け皿があれば、なるべくフードロスになりづらいというところが一番大きかったんじゃないかなと思っております。 」
以前は焼き立ての香りの良いパンを並べて売っていたのですが、コロナの衛生対策で、今はパンを個包装にしなければならなくなった。これを逆手に取って始めてみたら、美味しく冷凍できたそう。今では、この「パン密セット」をみた、他のパン屋さんはもちろん、ケーキ屋さんや和菓子屋さんからも「うちもやってみたい」と言う声が出ているそうで、島貫さんは「食品業界全体でフードロスへの意識が高まれば嬉しい」と。