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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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東京新聞紙面連動企画『顔の見えない五輪組織委員会』

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「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。今日から、毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。1年ぶりの復活です。初回の今日は6月12日の朝刊一面、『顔の見えない五輪組織委員会』という記事に注目しました。

 

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210628073818

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★理事会は非公開。どんな意見が出たかも見えない。

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会。森前会長の女性蔑視発言をきっかけに、女性理事を増やして、会長が橋本聖子さんに変わり、今年の3月に再スタートを切りました。このニュースは記憶にあるかもしれませんが・・・。

五輪の開催やコロナ対策について組織委員会の意見が報じられ、単語としては聞きますが、肝心の組織委員会の実態がよくわからない。確かに、顔が見えないです。そこで・・・。

組織委員会の理事会はどういう所なのか?どんな議論があるのか?、大会組織委員会の取材を続けている、東京新聞、社会部記者の原田遼さんにお話を聞きました。

原田遼記者
「理事会が終わった後に、組織委員会の武藤事務総長が『今回は理事からこういう意見が出ました』というのを紹介するというような形なので、どういう意見が出たか、っていうのは、ある意味武藤さんの裁量で、しゃべったり隠したりもできる余地はあるって感じですね。記者からの『中止や延期に対する質問はあったのか?』という質問に対してですね、武藤さんは『そういう質問は一切なかった』と断言して。40人も参加して、これだけ開催できるのかというのが国民的な話題になっているにもかかわらず、誰からもそういう話が出ないというのは不自然ですよね。やはり、閉鎖的っていうのは、まさにその通りで、意思決定が閉鎖的だからこそ、国民がこれで安心安全なのかっていう不信感を抱いてですね、世論の批判が高まっている、っていうのはすごくあると思いますね。」

理事会が終わった後、武藤事務総長が代表して記者会見をするだけなので、誰がどんな発言をして、どんな議論が行われたのか、全く知ることができない。森前会長の女性蔑視発言の際に、組織の閉鎖性も問題となりましたが、一向に、開かれた理事会にはなっていないようです。

世論調査で、7割が中止・延期を望む、となっている中で、「そういう質問はなかった」と言われても、不自然としか思えない。理事会は45名で、この取材時は40名ほどが参加したようですが、「その中で、中止・延期の質問がゼロというのは、確率的にもおかしい」、「議論を尽くした上で開催というのならわかるが、それもない」と原田記者。

一応、「議事録」と称するものは公表されていますが、紙1枚程度のもので、議題の箇条書きが並ぶだけ。発言内容もはっきりせず、議論の中身はわからない。これって議事録ですか?という代物だとか。

しかも、かつては、会議後わらわら出てくる理事に、記者が直接話しかけての取材ができたのですが、森前会長の問題以降は、理事も口が固くなり、記者が入れない地下の駐車場から帰ることが多く、「誰がいて、いつ帰ったかもわからない」・・・閉鎖性が増してしまっている状況です。

★直接話が聞ければ、見えてくる

しかし、原田さんは、なんとか会議直後の理事の一人に直接話が聞けたそうです。

原田遼記者
「登別アシリの会という、アイヌ民族の文化を広める団体の代表の芳賀美津枝さんという方が、会場の外でたまたま出くわすことが出来てですね、まあ本音のところで、やはり今の状況で大会を開催するのは、本当に大変なことだ、と率直な話をしてましたね。あとは、45人も居て、話題はほとんどコロナ対策になるので、なかなか私の方から、民族問題について意見を言えなかった、というようなことを少し残念がっていましたね。理事の中にも開催が大変だという認識を持っていること、あともう一つ、民族というテーマに対してなかなか議論が深まる余裕が無いと言う事実が分かったので、大変参考になりましたね。これが、45人分、こういう話が聞けるんだったら、もっと議論は深まるんだろうな、とは思いますけどもね。」

たった一人、直接話が聞けただけでも、会議の様子はうっすら見えてきました。森会長の女性蔑視発言の反省から、理事会は、女性など新しい理事を入れて、多様性を確保したといいますが、多様な議論にはなっていないようです。原田記者も「何がどのくらい変わったのか、その効果は、はっきり言って見えない」と。

これが45人分集まれば・・・。私はこう思うからこういう意見を述べた、私はこう、私は・・・、そして議論の結果、こういう結論に達した、という話を、理事が直接話をすることは、当たり前のことに感じますが、そうできなくなっているんですね。

原田さんによれば、五輪延期前にある理事が海外メディアのインタビューに応えて「コロナの状況もあるので、東京五輪は1~2年延期してはどうだ」というようなことを発言したら、当時の森会長が、「一人の理事が、勝手にそういうことで喋るのはけしからんことだ」と怒って、その後その理事は何もしゃべらなくなってしまった、ということがあったそうで、「各理事がしゃべる機会が潰されていった、という歴史があり、問題点の一つだ。」と話していました。

★大会前の理事会は、すでに終わっていました!

何から何までびっくりするほど閉鎖的で不透明。しかし、さらにビックリすることがあるんです。

原田遼記者
「今月8日に、理事会が招集されてそれを取材したんですけども、橋本会長が冒頭の挨拶のところで「今回が大会前最後」ということを挨拶して、メディアの人間もそれで初めて「あ、今日が最後だったんだ」ということを知ることになったという感じですね。大会前に理事が集まって協議するという機会はもう無いということです。これから開催の可否ですとか、観客の上限の話とか、そういうことをいろいろ議論しなきゃいけないところだったんですけれども、なぜかまあ、一か月半前に終わってしまったというような形ですね。組織委員会の理事会というのは、報告会のようなイメージでですね、意思決定に強く関与する、っていうようなものではなかったんですよね。だから、その辺の存在意義があったのかどうかというのが、ここでちょっと滲み出たかなという所ですかね。」

大会前の理事会、もう終わっちゃいましたよ!我々のイメージでは、本番まであと一か月!という時期は、いよいよ追い込み。一番忙しくなるイメージですよね。それなのに・・・。

実は、理事会では、事前に組織委の事務局が決めたことを報告するスタイルで、意思決定に強く関与できないもの、と原田記者もとなると、おっしゃっていましたが、だとしたら、理事会はあるだけ??大会組織委員会とは何なのか?・・・と本当に分からなくなりました。

しかし、大会組織委員会の顔ぶれを見てみると、各界のトップが並び、我々の知る元スポーツ選手の名前もたくさん。そういう人たちの、考えが直接の言葉で、我々に向かって発信されることを切に願います。

原田さんも、これだけの人が集まっているのだから、もっと違う発信の仕方があるのでは?と、理事会の在り方を改めて問うていました。

「空気は、読まない」という「 東京新聞 」との紙面連動企画、来週も月曜日にお送りします。

 


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