この一年、通勤や通学を始め在宅で、が増えて、外出が大きく減りました。コロナ禍で病院への受診を控えている、という話をよく耳にします。そうなると、影響があるのが病院の処方箋を受けてお薬を出す、調剤薬局。実際に、処方箋の枚数は減っていて、困っている薬局も。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日5月24日(月)は、『もはや死語?調剤薬局、変革の時。』というテーマで取材しました。
★ワクチンの希釈と分注作業をしています!
しかし一方で、ワクチン接種の場面で、薬剤師さんたちは活躍しているのです。調剤薬局の変革についての著書もあり、多くの調剤薬局を支援しているクラスAネットワーク会長の橋本薫さんに聞きました。
- 橋本薫さん
- 「コロナワクチンの接種に関しての支援、それは具体的にワクチンの希釈と分注という作業なんですね、あの希釈、要はワクチンを、特にファイザー製のワクチンなんですけども、生理食塩水で薄めるんですね。そして、注射器に分けるという。言うなれば、下作業ですね、そういった作業というのは、薬剤師さんが、現場でかなり活躍していらっしゃいますね。かなり手がかかりますよね。もちろん、正確にやらないとですね、ちょっと、いち時期、生理食塩水を打ってしまっただとか、薄いものを打ってしまったなんていう、そういう話もありますけれども、そういった非常に正確にしっかりとやらないといけないような作業ですね。」
国からの要請で、それぞれの自治体が、その地区の薬剤師会へ依頼してくる。ニュースなどでは、いざ腕に注射するところしか見ませんが、見えないところで、細かな、そして重要な作業をしてくれていたのです。調剤薬局によっては、お薬手帳を持って接種会場に行くように促したり、ワクチン接種に関する不安に応えたり(この薬を飲んでるけど大丈夫?とか)、ワクチン接種の予約の取り方が分からない高齢者と一緒に予約を取ったり、していることもあるそうです。
★「調剤薬局」というのは死語!?
処方箋を持って行って薬をもらう所、なはずなのに・・・と思ったのですが、実は、コロナ以前から、調剤薬局は大きな転機を迎えていた、と橋本さん。
- 橋本薫さん
- 「調剤薬局というのは、厚労省が、平成14年に産業分類にしたんですよ。ただ、すでに、考え方としては「調剤薬局」というのは死語だというように、関係者からは言われているところがあります。厚労省は直接は言ってませんけれども、もう、こういったような調剤専科という薬局じゃだめだ、ということは言ってますね。処方箋を持ってきてもらえれば、あとは調剤するだけで、医薬分業という制度の中では良かったんですけれども、これからのやはり薬局薬剤師の活動というのはそれだけじゃすまない、と。ええ、もう変わらなくちゃいけない、という風に思いますし、国民医療費というのは、非常に超高齢社会で膨れ上がってますから、なかなかやはり調剤報酬というものは厳しくなっていく方向にありますので、その上で、じゃあこれから調剤薬局はどうあるべきなのか、というようなことは、いま、非常に大きなテーマになってますね。」
「調剤薬局」というのは死語!?ちょっとビックリしました。しかし、その現実の中では、処方箋を受け付けているだけでは成り立たない。新しい調剤薬局の在り方を探っていかなければ、淘汰されてしまう、ということなのです。そこで橋本さんたちは、多くの調剤薬局を調査し、どう変わっていけばいいか、ということに取り組んでいます。
★調剤薬局から、ヘルスケアプロショップへ!
それにしても、国が制度を作って、たくさん増えた調剤薬局なのに、急に、制度に頼って、調剤専科じゃだめ、と言われるのは、気の毒です。しかし、橋本さんは、たくさんあることを活かした変化を提案しています。
- 橋本薫さん
- 「コンビニよりも多い、と揶揄されることもあるんですけれども、逆にコンビニよりも多いからできることがあるんだ、という考え方ですよね。ちょっと心配があれば、薬剤師に相談していただき、というようなことが、これからの薬局の役割でしょうね。まああの、大きく変わりますから、我々は「調剤薬局」という言葉でなくて、「ヘルスケアプロショップ」というような名前で、業態自身を変えていくようなことをおすすめしています。そして、これが、5万9千、6万というような薬局がありますのでね、そうですね、ちょうど日本の治安というものが交番が守っているようにですね、調剤薬局が、ヘルスケアプロショップが、国民の健康を守る、ということにも繋がっていくんじゃないかな、という風に考えています。」
調剤薬局って、6万もあるんですね!確かにすごい数!
しかし、逆にその多さを活かして、病院に行くその手前の、ちょっとした健康の不安を気軽に相談できる場所として、近所の「かかりつけ薬剤師」という存在感を、ということ。超高齢化社会と言われる中、国民の健康を支援が大事、と言っても、病院以外でそういった機関は無いですから。その部分を調剤薬局が担い、支援できるのでは、ということなのです。飲んでいる、使っている薬を把握している薬剤師さん、というのは、確かに安心して相談できる相手ですよね。しかし同時に、それらの支援やサービスが、調剤薬局にとってのしっかりとした収入になるのかどうか、ここが大事なポイントになりそうですね。