この一年、通勤や通学を始め在宅で、が増えて、外出が大きく減りました。その生活の中で「運動不足」を実感し、「座り過ぎだな」と、思っている方も多いと思います。私もその一人です。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日5月17日(月)は、『運動不足?いいえ、座り過ぎです!』というテーマで取材しました。
★思った以上に座っているんです!
その座りすぎですが、実は、私たちが感じている以上に座っているようです。早稲田大学スポーツ科学学術院・教授の岡浩一郎さんに聞きました。
- 岡浩一郎さん
- 「日本人の平均的な座ってる時間は8時間~9時間くらいと思いますので、結構座ってると思います。このコロナ禍になったせいで、今まで以上に座ってる時間が長くなってると、いうようなデータが出ました。コロナ前と比べて、自己報告によるデータで、40分です。で、だいたい座ってる時間については、かなり過小評価する、ということも言われてますので、私としては一時間くらいは増えていってるんじゃないかな、という風には思います。どの場面で、どのくらい座っていたか、というのはなかなか捉えるのは難しいと言われているんですね。あの、なんの気なしに、空気のように、そこに椅子があるから、そこにソファがあるから座ってるんで、それを正確に振り返ることっていうのは、なかなか難しいっていうのも仕方ないことなんですけども。我々が研究でやるのは、歩数計のようなものを身体に付けて、そうすると比較的正確に、客観的なデータが取れるんですけど、一日で言うと一時間半くらいギャップがあるんです。」
正確に測ると、自分で感じている以上に座っていて、なんと、8時間~9時間も座っているんです!
しかし、その長さもさることながら、座っている時間は、自分では少なく認識している、ということがポイント。まず、思った以上に、自分は座り過ぎているんだと知ることが大事なのです。
私たちの体は、足の筋肉を動かすことで、糖の代謝や脂肪を分解する機能が活発になる。しかし、座り過ぎて足を動かさないと、それらの機能が低下し、結果として血糖値が高くなったり、太りやすくなったり、血圧が高くなったりし、メタボに繋がり、ひいては心臓病や脳梗塞・癌にまで繋がってしまう可能性も。座り過ぎは、怖いんです。
★運動してるしな、とは思わないで!
というわけで、座り過ぎないように注意することが必要ですが、では、運動をすればいいのかというと、そこにも注意が必要だとか。再び岡先生お話です。
- 岡浩一郎さん
- 「「一日に30分ウォーキングに行きます」っていう人もいらっしゃると思うんです。そういう方でも「それ以外の時間は長時間に渡って座っている」ということになると、その人はやっぱり座り過ぎなんだと思うんですね。これが、運動の魔力というかですね、運動ってするとすごく気持ちいいですよね、すごく体にいいことしたっていう風に感じると思いますし、私もそう感じるんですよね。そうするとどうしても、自分は体にいいことしてるしっていう風に考えてしまいがちなので、まあ運動してるしなってあまりは思わないようにして欲しいと思っています。この座り過ぎの、様々な健康への悪影響というのは「運動をしていたとしても」、これが重要なとこなんです。で、30分、一日に少し動いているくらいでは、相殺されないっていうのが、世界中のデータから報告されているんですね。」
毎日30分のウォーキングをしてます、と聞いたら、私なら「エライ!」と思いますよ!でも、30分程度、運動するのでは、座り過ぎの悪影響は相殺されないんです!!週に1度はジムに行ってます、というのも同じ。
もちろん、何もしないよりは絶対に良いんです!しかし、「運動してるし」とつい思ってしまい、それ以外の時間で座り過ぎを積み重ねてしまうのは避けてほしい、ということなのです。
★運動不足ではなく、身体活動不足なのです!
というのも、岡先生によれば、実は、私たちは運動不足というわけではないそうです。では何不足なのでしょうか?
- 岡浩一郎さん
- 「運動っていうのは、「自分の意図を持ってやりに行く」というものを表していると思うんですけれども、一方で「身体活動」っていうのがあって、トイレに行くとかお茶を汲みに行くといったときに生じるもの。それって別に運動としてやってるわけじゃないと思うんですけれども、これが、どんどんと減少傾向にある。昔よりも運動習慣がある人が減っている、ということは無いんです。横ばい、あるいは少し増えているくらいなんですね。だけれども、一日の歩数のデータで見てみると、ここ20年間ずーっと減少しっぱなしなんですね。一日の歩数というのは、活動の強度を問わない日常の生活活動っていうんでしょうか。それらを含めた代表的な数字になると思いますので、運動習慣を持っている人は全然割合も変わってないのに、全体の一日に歩く歩数自体はどんどんと減少傾向にあると。そういったことから、日常の活動が減っていると。」
運動不足ではなく「身体活動不足」つまり、日々の生活の中の立ったり座ったりが減っているんです。確かに生活を思い返せば納得。テレビも電気もリモコンをピッ!と指一本で。洗濯機もピッ!掃除機なんてロボットが掃除してるのを座って見てませんか?さらに、最近では、声で指示をして「電気をつけて!」と頼み、指を動かすことさえやめようとしています。
こうして座り過ぎなっていたのに加えて、コロナでさらに座り過ぎに。(在宅ワークでは動きが減りますよね。トイレだって会社に比べると近いし、歩かなくなっている。)
座り過ぎを相殺するには、毎日60~75分のしっかりとした運動が必要、ということなので、運動の時間を増やすより、座り続けている時間を短くすることが必要。これには、長い時間座り続けるのを、一度ブレイクすることが一番の近道。
30分、長くても一時間に一回は、立ち上がり、足を動かす。職場では、近くにいる人でも、メールじゃなくて、席まで行って口頭で、と意識するだけでも座り過ぎ防止になるそうです。
もう今日から、いや、今からちょっと意識して、座り過ぎない生活を!!(現場にアタックの時間が来たら、立って聴く、というのはいかがでしょう?)