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リオ五輪 ”藻の緑色プール”は薬品誤投入が原因? 事故もあるプール消毒


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森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

 

リオデジャネイロオリンピックの水泳、飛び込み用と水球・シンクロ用のプールに一夜にして藻が大量に発生して、緑色になってしまった・・・。あれ、大丈夫なのでしょうか?いろいろ気になることが多いので、今日はこの話題を調べてみました。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

今日8月16日(火)は、レポーター近堂かおりが『リオ五輪”藻発生プール”は薬品誤投入が原因? 実は事故もあるプール消毒』をテーマに取材しました!

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現場にアタック(近堂かおり)

現場にアタックレポーターの近堂かおり

まず、あのプールはその後どうなっているのか。現地リオに行っているTBSラジオの志田ディレクターが、競技の取材の合間に例のプールを見るチャンスがあったというので、その様子を聞いてみました。

★ずいぶん改善されました!

志田ディレクター
「結構プールって緑色なんだなって、思いました。意外ときれいな緑色で、湖とかの汚い緑色という風ではなくて、ちょっと薄いメロンソーダみたいな感じです。飛び込み台のプールの周辺に掃除機みたいな機材や工事の重機みたいなものがごちゃごちゃしていて、そこにいたスタッフはその緑がかったプールを指差して「お手上げだよ」みたいなポーズでにこにこして、お気楽というか、あまり問題視していないのではないかと思います」

このレポートはリオデジャネイロの時間で8月14日(日)の状況なのですが、志田ディレクターからその後、最新の写真が送られてきました。こちらが現地時間15日(月)お昼のプールの様子。

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放送7時間前のプールの写真

放送7時間前のプールの写真

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二日前の様子

2日前の様子

飛び込み用もシンクロ用もどちらのプールもかなりきれいになっています・・・かね?!

大会組織委員会の説明では、本来は消毒用に塩素を入れるところ、業者が誤って過酸化水素を投入したため、結果的に藻が発生したのではないかというのですが・・・。

すでに塩素が入ったプールの水に過酸化水素を入れるとどんなことが起こるのか? そしてたった一夜で水が緑に変わってしまうほど藻が発生したのは、薬品を間違えて入れてしまったからなのか? 化学実験を一般向けにやさしく紹介する本をお書きになっている埼玉県立坂戸高校の化学の先生、山田暢司さんに教えていただきました。

★塩素+過酸化水素で藻は増える?

山田暢司さん
「藻が発生しないようにするために次亜塩素酸ナトリウム、いわゆる塩素系漂白剤のような殺菌消毒剤を加えるはずだったところに、比較的弱い作用の過酸化水素を加えることによって、「酸化還元反応」というんですが、塩素系の漂白作用を弱めてしまうんです。でも、それにしても一日で真緑になっちゃうというのは、尋常ではないなという気がしますけど。藻が一夜にしてどーんと増えちゃう直接的な原因は、元々その水質が、有機物が大量に含まれているとか、藻の発生を促すようなイオンが一定の量あるとか、条件が整っていたというのが前提になると思います」

過酸化水素にも殺菌作用はあるのですが、塩素が入った水に過酸化水素を入れると、「酸化還元反応」という化学反応の結果、それぞれの殺菌効果が弱まってしまう。つまり藻の発生を抑える力が弱まってしまうから、藻が発生する一因としては考えられる。とはいえ一夜であの大きなプールが緑色になるぐらい発生したのは、薬を間違えて入れる以前に、ほかにも藻が発生しやすい条件がいろいろ揃っていたのではないか? とのことでした。

★過酸化水素は何に使うの??

ここでもうひとつ気になったのは、塩素と混ぜると殺菌効果を弱めてしまう過酸化水素をなぜプールに入れてしまったのか? そもそも過酸化水素はプールの消毒に使うのか?

その点について、プールの”ろ過装置”などを造っているメーカーに伺いました。トースイ株式会社の三塚秀勝さんのお話。

三塚秀勝さん
「消毒には使うんですけど、レジオネラ属菌の消毒に使うのが過酸化水素なんです。身近なものだと、オキシドールが過酸化水素です。よく病院に昔あった傷口を消毒する薬。ただ普通、プール運営中には使う薬じゃないんです。年に一回程度、休館日の時にでもやりなさいというものなんです」

過酸化水素は、レジオネラ菌の消毒のほか、人の皮脂や油脂といった汚れを水槽や配管から取り除く薬品だが、毎日は使わない。よく公衆浴場の循環式浴槽や配管の消毒などに使われる。リオのオリンピック会場が実際どうであるかは情報がないのだが、考えられるのは、大会後の清掃で使うために用意した過酸化水素を誤って入れてしまったとか・・・?

でも、塩素剤と過酸化水素を間違えて混ぜてしまった場合、危険ではないのか? リオの水球の選手は「目が痛い」って言っていたという報道もありました・・・。混ぜて危険はないのか、サイエンスライターの柳田理科雄さんにお聞きすると、

塩素剤と過酸化水素をまぜると化学反応によって、薄い塩酸と水と酸素ができるのですが、この時できる塩酸は濃度が低いので、人体を傷つけるほどの危険はない。ただプールの水の中に塩酸が増えた分、刺激性が強くなったということは考えられる、とのこと。

選手たちの身に危険はないというのでよかったですが、実は、プールを塩素消毒するときに、間違ってほかの薬品を混ぜてしまうことは時々あるらしく、これが思わぬ事故につながることがあるというんです。再びトースイの三塚さんのお話。

★薬によっては、藻ではなく有毒ガスが!

三塚秀勝さん
「塩素剤に何か別の薬品を混ぜてしまうと、有毒ガスが発生して大変なことになるんです。ろ過装置というのは3種類、砂ろ過、カートリッジフィルター、珪藻土式ろ過機とあって、砂ろ過の場合ですともう一つ薬品を使うんです。ポリ塩化アルミニウム、透明度を高めるための薬を使うんですけど、それを混ぜてしまうと有毒ガスが発生してしまう。日本でも年に数件、あるんじゃないかと思うですけどね」

実はつい最近、8月2日、長野県安曇野市の小学校でこのような事故があった。学校の職員がプールの水を消毒する作業を行っていたときに、本当は塩素剤を入れるタンクに、間違えて、水の濁りを取り除くポリ塩化アルミニウムを入れてしまって、塩素ガスが発生。職員3人がめまいや吐き気、しびれなどで病院に運ばれました。付近に子供たちがいなかったのは幸いでした。

リオのプールは”業者の間違え”ということで、プロでも間違えてしまうこともあったわけですが、学校などのプールは業者以外の教員や職員が消毒作業することもあるので、十分気をつけなければ! ですね。
リオのプールも他人事ではないし、笑ってばかりもいられません!!


TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」は月~金6:30-8:30放送中。
AM954kHz、FM90.5MHz。
パソコンやスマートフォンでは「 radiko 」でも
お聞きいただけます!


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