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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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ホテル不足で「ラブホテル」が「ビジネスホテル」化

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森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

★急増する外国人観光客でホテルが不足。解決のカギは「ラブホテル」?

夏休み中、旅行を計画したもののホテルの予約がなかなか取れなくて困った方、いらっしゃるのではないでしょうか?特にここ最近の外国人観光客の増加で問題となっているホテル不足。4年後には東京オリンピックも控えていますが、、この問題を解決するため、国が乗り出している“ある作戦”について、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で田中ひとみが取材しました。

まずは、国から説明を受けたという、一般社団法人 日本レジャーホテル協会副会長、柳川博一さんのお話です。

★ラブホテルを一般ホテル化!改装費用の融資で、国も後押し

一般社団法人 日本レジャーホテル協会副会長 柳川博一さん
「国がインバウンド、外国のお客様の受け入れのホテルを増やしたい。既存のレジャー、ラブホテルも旅館業法にのっとって営業許可を受けてる施設なので、その施設の業務転換をすることで受け入れることは非常に簡単ですよね。数も多いので。手っ取り早い施策ということを考えてるのかなと思う。法改正まではいかないんだけどラブホテルを一般ホテル、ビジネスホテルに転換するために政府系の金融機関がお金を貸す。やっぱりいろいろ改装資金がかかります。うちの協会レジャーホテル・ラブホテルのオーナーさんがみなさん会員なんですけども、厚生労働省と日本政策金融公庫の担当の方に直接お越しいただいて、会員向けに説明をしていただいたということですね。」

ホテル不足といっても、ラブホテルは比較的空きがあり、平日は半分も埋まっていないという調査結果も出ています。ただ、ラブホテルのままでは、「風営法」の規定で18歳以上でないと宿泊できないので、誰でも泊まれるビジネスホテルに改装すれば、外国人観光客を受け入れられるのでは?というのが国の考えなんです。

その改装を支援するため、国は4月、日本政策金融公庫に積極的に費用を融資するよう通達しました。ラブホテル1000件ほどが加盟する日本レジャーホテル協会も、先月この件に関する説明を受ける機会があったということです。

ところで・・・ラブホテルがビジネスホテルに転換する場合、どんな改装を行う必要なのか?国が動く前から独自にビジネスホテルへの転換を行った、さいたま市にある「ホテルウィル浦和」の例を聞きました。運営する株式会社グランクール代表取締役、吉田健さんのお話です。

★稼動率の悪いラブホテルを一般ホテルに改装。その成功例。

株式会社グランクール 代表取締役 吉田健さん
「ラブホテルとしては非常に立地が悪く、集客は非常に乏しかった。去年の秋口位から外国人、訪日の旅行者が増えていると確認したので、ビジネスホテル風に再生できないかと思った。今までダブルベッドしか無かったものをツインの2台のベッドを入れて、それにふさわしい内装に変えるための工事が必要になった。ラブホテルだったというものをほとんど消し去ってくれと、契約した旅行会社からの要望。今現在、中国のお客様が赤ちゃんからお年寄りまで多岐にわたるお客様がご来店頂けるホテルになりました。ほぼ連日満員です。」

例えばフロントがクローズになっていたり休憩料金の表示があると風営法の規定でラブホテルと見なされてしまうので、そこを変えることは絶対条件。他にも派手な壁紙は白く塗り替えるなど、改装には総額1億5000万円かかったそうです。

森本毅郎スタンバイ!

【ホテルウィル浦和】ビフォー(ラブホテル当時)

 

森本毅郎スタンバイ!

【ホテルウィル浦和】アフター(ビジネスホテルへの改装後)

森本毅郎スタンバイ!

よく見ると、ラブホテル時代の名残が・・・

 

その結果、中国の旅行会社と契約を結び、ツアー客を受け入れることに成功。ホテルの場所は都心から離れますが高速道路からのアクセスの良さと一部屋5000円程という安さが売りとなって、リニューアルした6月から連日満室。売り上げは約3倍に上がったそうです。

森本毅郎スタンバイ!

駐車場には、連日、中国人観光客を乗せた大型バスが停まります。

森本毅郎スタンバイ!

駐車場にある注意書き。いまだに間違えて来ちゃう人、いるそうです。

森本毅郎スタンバイ!

ホテル内のいたるところに、中国語表記のパネルが貼ってあります

 

ラブホテルのビジネスホテルへの転換はメリットが大きそうですが、日本レジャーホテル協会の柳川さんは国の動きをこう受け止めています。

★一般ホテルに改装して成功するのは、ほんのわずか。国がラブホテルを減らしたいだけでは?

一般社団法人 日本レジャーホテル協会副会長 柳川博一さん
「国はそういう方向で動いてるんですが、実際ラブホテルがわざわざお金を借りてインバウンド向けの宿泊施設に転換するというのは数%あるかないかだと思います。収益が非常にひっ迫している。場所がインバウンドを取り込める。条件としては狭まるということですよね。改装しなきゃ受け入れられない訳じゃない。インバウンドのお客様向けに料金体系を変更したり、ホテル側が工夫をすることで外国のお客様を受け入れられる。行政的にはレジャーホテル・ラブホテルを趣旨としては減らしていきたいというのは若干あるかなと思うんですけども。」

柳川さんが言うには、もし、本当に外国人観光客を受け入れたいなら、今日本ではあまり認められていないラブホテルのインターネット予約解禁の方が手っ取り早いし効果的。今国が進めようとしているビジネスホテルへの転換は、観光バスが停まれる土地があるなど限られたラブホテルじゃないとできないし、国にはまずラブホテルを無くしたい意図があるんじゃないのかとうたがってしまう・・・。

一方で、既にビジネスホテルへの転換をした「ホテルウィル浦和」。吉田さんは今回の国の動きに対してこういう受け止め方をしています。

★融資を受けやすくなったのは、「再興の追い風」か?

株式会社グランクール 代表取締役 吉田健さん
「非常に誤解されやすい。たまたまそういう利用の方法として特化したホテルを運営しているとで、辛酸を嘗める、排除の動きに巻き込まれてしまうというのはこの業界ずっとつきまとっていたので、ある意味慣れてしまっているという一言で終わっちゃうんですけども、政府系の金融機関が融資するというということは逆に言えばこの業界では絶対に無いであろうという事態なんですね。ですからその事態をよく思うのか悪く思うのかでまったく分かれてしまうと思うんですけど、あ、この業界にも政府系の金融機関の方がいらしていただけるようになったんだね。今まで我慢し続けてよかったねというようなあるオーナーさんの声も聴けましたね。」

これまで、限られた金融機関からしか融資を受けられない現状があったので、国が融資の後押しをしてくれただけでも大きな一歩ではないか、ということでした。


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