緊急事態は解除となりましたが、感染対策は緩めるわけにはいきません。そこで大事なのが「検温」ですが、さまざまな施設やお店の入り口では、非接触の体温計で検温するのがおなじみとなっています。でもその検温、なぜか低めに出るとして、疑問に思っている方が多くいます。なぜあの検温は低めに出てしまうのか、本当に意味があるのか。3月24日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★正確ではない?飲食店での検温
- オムロンヘルスケア 商品開発統括部 商品設計部 佐藤泰雅さん
- 「接触式体温計の場合は脇の下、体の中心部の温度。非接触式体温計の場合は体表面温度。その体表面温度を体の中心温度に換算しているものを体温計と呼んでいます。ただ、外気温の影響を非常に受けやすくなっています。振り幅はかなり大きいです。特に中心体温と皮膚温度の差は3度から4度。あくまで飲食店等で非接触で測ってるのは、複数人を見てその中から高い人を見つけると、スクリーニングのための測定になります。我々としては、再度実測式接触式のペンシル体温計で測っていただいて、本当に発熱しているかどうかの判断をしていただきたいと思います。」
オムロンの非接触式体温計は医療認可を受けたもので、非接触でも、体の中心温度に換算して正しい体温が測れます。
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ただ家庭内で使うのが一般的。外から入ってきていきなり測るとなると、皮膚温度は3〜4度の振り幅があって、さすがに限界がある。
ましてや、お店などでは、医療認可を受けていないものも使われているのケースもあります。
そうなると、国が言う「37・5度」を測るのではなく、「他の人より高いか低いか」チェックするスクリーニングと考えるべきだと。
そして高い場合は、発熱の疑いがあるとして、体温計で測りなおす事を推奨しているそうです。
ただ、飲食店などにおいて、接触式体温計を使いまわすのも怖いので、現実的には「正確に」と言うのは難しい状況。
★AIで誤差が激減!
そんな中、AIを使って、店頭検温の精度を高める技術が出ています。日本コンピュータービジョン株式会社マーケティング部 中島宏幸さんのお話しです。
- 日本コンピュータービジョン株式会社マーケティング部 中島宏幸さん
- 「我々の顔認識技術を使って、AIで温度を検知するっていうソリューションになってます。タブレットにサーモグラフィーカメラがついてて、まず人の額を捉えます。そこからサーモグラフィーカメラを使って、額の温度点を、多い場合は11万点へと取ります。そこから最も一番高い体表温度をとります。これで終わりじゃなくてさらに温度推定AIっていうものを使っています。よってこの体表温から体温に、できるだけ近い精度が高い温度を端末でお知らせすることができているっていう状況でございます。」
画像認識技術では世界レベルの会社が開発した技術。
店頭にタブレット型の機械があり、覗くと顔認識して検温。外気温の影響もAIが加味して、誤差はプラスマイナス0・3度まで精度を高めたそう。
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この誤差を差し引いて、店頭で「37・2度の人は発熱の可能性あり」とスクリーニングすることでリスク管理できる。
時々、店頭で「37・5度」ではなく「37・2度の方は入店をお断りすることがある」など書かれている時があるのは、この誤差を考慮した対応です。
この技術、医療認可は受けていませんが、精度が高く、現在では病院やクリニックなどの入り口のスクリーニングでも多く導入されているそうです。
また、オフィスで社員の顔を登録すれば、社員の健康管理にも使えるそうで、実際にそうした事例もあるということでした。
ただ、ここまでの技術があれば安心かと思いきやまだまだ難しい所があるのが現状とのこと。再び中島さんのお話しです。
★悲しい素通り・・・
- 日本コンピュータービジョン株式会社マーケティング部 中島宏幸さん
- 「結構素通りされてしまうお客様がいらっしゃる。我々としてもネックで色々考えているところではあります。難しいのは新型コロナって発熱症状がない場合もあるので、日々我々の技術パートナーと一緒にいろんなデータ集めて研究をさせていただいてるんですけど、例えば、人の行動検知とかそういったものも当然できますので、わかんないですけどコロナの方はこういった動きを仮に「しがち」ってところを例えば検知するというものもできなくないかなと思っている。我々としても今いろいろ考えているところであります。」
これも緩みなのか「素通り」する方が増えてきて、折角の高い技術が無視されてしまう・・
ただ、画像認識技術には自信があるので、顔を覗かなくても、俯瞰して人を捉えて体温を検知することや、体温ではなく行動でも異変を捉えられないかなど、次の技術開発も検討しているそうです。