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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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コロナの変異株検査。より正確に、より迅速に!

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1都3県の緊急事態宣言は解除となりましたが、気になるのは増えてきている「変異株」の感染者。政府は検査を強化すると言いますが・・・。今日はその変異株の新しい検査方法が開発された、という話題です。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日3月22日(月)は、『コロナの変異株検査。より正確に、より迅速に!』。というテーマで取材しました。

 

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210322074041

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★PCR検査時に変異株を判別できます!

新しく開発された「変異株判別方法」とはどんなものなのか、開発した名城大学薬学部、神野秀人教授にお話を伺いました。

神野秀人教授
「私たちが今回開発したその方法はPCRの装置を用いて、変異株を識別するというそういう方法になります。PCRっていう反応なんですが、これはコロナウイルスの遺伝情報の一部を増やす方法になります。変異が入りますと、その増やした産物に熱をかけたときの様子が少し変わるんですね。この微妙な変化を捉えることによって、野生型と変異型を識別するとそういう方法を作りました。現在行われている検査で、使用されている装置をそのまま用いることができますので、幅広く使って頂くことができる、という風に考えてます。」

現状では、変異株の判別というのは

  1. まずPCR検査を行い、そこで陽性となったら、
  2. そのウイルスが変異株かどうかチェック、そこで変異株だとなると、
  3. 感染症研究所などで全遺伝情報のゲノム解析を行い何型か判別、という手順。

この3段階は大変な手間で、2~3日かかるといいます。

一方この神野先生が開発した検査では、ゲノム解析しなくても、すぐに「何型」かまで分かります。イギリス型、南アフリカ型、ブラジル型この3つに共通する変異の他に、ブラジル型と南アフリカ型のみに見られる変異も、併せて検出できる。

「より迅速な変異株の特定に至ると思います」と神野先生。

しかも、PCR検査の時に一緒に行えるので、数時間で識別できる、といいます。これは頼もしい!

★基本的にはどの変異株にも対応していけます。

しかし、一つ気になるのが、先週フランスで見つかった、PCR検査をすり抜ける変異株。これにも対応できますか?と聞いてみました。

神野秀人教授
「すり抜けるというのは、従来行われている検査、行っている箇所に変異が生じたために、PCRの反応が無くなったんじゃないかと考えているんですけれども、それに関しても、迅速に検査する方法は作成することはできると思っています。全ゲノムの解明をすれば明らかになります。フランスで問題となった株も、おそらくすでにDNA、RNAの配列というのは分かっていると思いますので、その情報が入手出来次第、検査方法の開発に取り掛かりたいと思っています。DNAが一個違うという変異を検出するという手法自体は同じですので、いろんな箇所に変異が生じても、順次それに対応していける、という風に考えています。」

神野先生の検査方法は、新しい変異株自体を、見つけることはできません。しかし、感染症研究所などが公表する、全ゲノムの解析データさえあれば、どこに変異の特徴があるのかわかるので、それを参考にして、変異したDNA1個を識別する検査方法を、すぐに作れるそうです。

こうなると、国にもどんどん採用してもらいたい、と思ったのですが、それは少し大変なようです。

この検査は、PCRで陽性・陰性判定と同時に、変異株の種類が判定できる。しかし、陽性・陰性を判定するという医療行為に使うとなると、実績を重ねて厚労省に申請して認可を受けなければならない。それには時間がかかってしまいます。

そこで神野先生が考えている使い方は、通常の陽性反応が出た人のウイルスを対象に何の変異株かチェックするというもの。これは患者に対する診察、医療行為ではなく研究の範囲。これなら、厚労省の認可を待たず、早く使える。

通常のPCR検査と二度手間にはなりますが、それでもゲノム解析の手間は省けるので検査は迅速になり、コストも10分の1。自治体に取り入れてもらえればということでした。

★学生実習で使っていた方法なんです!

それにしても「一個番うDNAを識別する」というこのシンプルな検査方法は、なぜ開発できたのでしょうか?実は、神野先生にとって、身近なところにそのヒントがありました。

神野秀人教授
「私どものところでは、一個の遺伝子の違いを識別する方法として、この今回用いた方法を学生実習に使ってるんですね。どういった実習かというと、名古屋コーチンの遺伝子を調べて、普通のニワトリと違っている、一つの変異を見つける、そういった実験を行ってまして、その方法を今回のコロナの変異株の識別に利用できないか、と考えたのがそもそもの始まりです。あ、もういたって簡単で、特定の変異を持った領域をPCR反応で増やす、という作業が必要になるんですけれども、その増やすときの原料となる、材料となるプライマーと呼ばれる短いDNAを決定することだけですので、もうほんとに数日あればですね、増幅できるかどうかは、チェックできます。」

学生の実習でよく使っている技術なのです。だからこそ「ほかの方法より簡単」なのでした。

神野先生は、この技術はコロナの変異株判別ができるはずだと思って、去年「変異株が出た」というニュースを聞いてから、すぐに研究をスタート。このコロナ禍、科学者たちは自分たちの知識や技術が役に立たないか、と常にアンテナを立てているんですね。

それにしても、せっかくの技術。ぜひ広く使えるようになるといいですね。

 


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