緊急事態宣言で物議を醸しているのが時短営業に協力した飲食店に支払われる協力金。大手に払わないのは不公平という議論がありましたが、実は、等しく払われている飲食店の間でも、不公平があるようです。1月20日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
どんな不公平があるのか、問題はどこにあるのか?労働問題や補償に詳しい弁護士の木野綾子さんに伺いました。
★協力金の不公平問題
- 木野綾子弁護士
- 「持続化給付金などと異なって、コロナで収入が減った人に支援しましょうってことじゃなく、ある要件を満たした飲食店に一律協力金を給付しましょうということなので、どうしても不公平が起きていると。1日6万円という一律の金額ですので、それだけもらえれば普段の売り上げよりも多いというような飲食店も当然あるし、それでは全然足りないと、都心部では家賃が高いですとか人件費も高いところもありますので、固定費も払えないというようなところも出てきていると思います。」
東京の場合は、時短営業に協力した飲食店には一律6万円の協力金が給付されます。また、今は緊急事態宣言の対象地域以外でも、コロナ対策で時短要請をしている自治体が多く、そうしたところでは、一律の協力金が支払われています。
ただ、これは事業規模や売り上げに比例したものではないので、飲食店によって不公平さが生じている事を問題視する声が多いようです。足りない、という悲鳴の一方で、実は儲かってしまう、というお店が、各地で出ているようです。
その1つ、四国で学生向けのバーを2店舗経営している男性に取材しました。
★休業で純利益が二倍に
- バーの経営者の方
- 「僕がお店出してる街に関しては、県と市から協力金が、2週間で最大80万円っていう補助金の金額になってます。店閉めちゃえば人件費もかからない仕入れもかからないっていうので、まあその補助金がまるまる利益になりますんで、あのコロナ前よりも儲かっちゃうみたいな状況になりますね。普段の1ヶ月の純利益のだいたい倍くらいの金額が、2週間の休業でもらえちゃうという状況になっています。」
この地域の時短要請期間は2週間。県と市の連携協力金が1日2万円、市独自の上乗せ協力金が2万円、そして要請期間内休業協力金が1万円、それに加えて店舗規模加算などもあるので、合計1日当たり5.7万円、2週間で最大80万円の協力金が貰える。これは1ヶ月分の純利益の2倍に当たるということでした。
こうしたお店が各地に出ているのは果たしてこれでいいのか?弁護士の木野さんも、急いで支給するために一律になったのかもしれないけれど、本来は、規模に応じた協力金の方が公平だと指摘していました。
そしてこの協力金問題、もうひとつ大きな不公平がありました。
★新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
- 木野綾子弁護士
- 「従業員方にはその協力金が直接届くわけではない。そこもやはり、飲食店の経営者ばっかりが儲かって、という風に周りの方には見える不公平感のもとだと思います。従業員の方パートの方含めてですね、そういう方に行き渡るようにするには休業手当ですとか、別の制度を使うしかなくて、パートについての支援金が新設されたということもありますので、該当すると思われる方は厚労省などのホームページを見てみられると良いと思います」
実は先程のお店は、バイトの方達に一時金を出そうかと考えていると話していましたが、必ずしもそうしたお店ばかりではありません。お店にお金は入っても、パートやバイトにまでは回らず、この不公平に苦しんでいる人が多いということでした。
ではどうしたらいいのか?聞いたところ、コロナの休業中に賃金や休業手当がもらえなかった方を対象とした支援金がありました。「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」というもので、中小規模のところでは、原則として「休業前の1日あたりの平均賃金の8割」がもらえるので、活用した方が良い、ということでした。
手続きなどは、厚生労働省のホームページに載っています。
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
→ https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html