世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。今回はラスベガスではなくオンラインでの開催となりました。そんな中、日本からCESに出展した企業の製品を集めたリアルの展示会が有楽町で行われました。特に目立ったのがコロナ禍で注目される非接触の技術です。TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で中村友美ディレクターが取材報告しました。
★オンライン開催で日本の中小企業の出展が増加
まずは、なぜ日本でもCESの展示会を行ったのか?運営会社に聞きました。
- 株式会社クリエイティヴ・ヴィジョン・営業ディレクター・吉野昌秀さん
- 「CES、ラスベガスでの会場が無くなったということを受けてなんとかできないかと模索してました。その話の中で日本でCESをやるという企画が動き出した、そして今回実現に至ったという経緯です。傾向としては大手企業は準備期間が短いということで出展を辞退される、そんな中で中小企業、ベンチャーの出展が増えて、そこに注目が集まるというのが今年の傾向と伺ってます。」
CES全体としては出展社が去年の4400社から今年は1800社、半分以下に減りました。そんな中、日本の製品に特化して展示する「JAPAN TECK」というパビリオンには、去年の2倍となる51社が出展。オンライン開催で参加のハードルが下がったことを日本の中小企業がチャンスと捉えたということなんです。ただ、オンラインでは製品の魅力が伝わりきらない部分もあるということで、今回有楽町で『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』を開催。CESに参加した10社以上が実物の展示を行いました。
★タッチパネルに触れずに操作できる!「UbiMouse」
展示の中で特に目立ったのが、コロナ禍で注目される2つの非接触の技術です。まずは知能技術株式会社の「UbiMouse」です。
- 知能技術株式会社・代表取締役・大津良司さん
- 「画面に触れずに空中で指を動かすだけで、画面に触るのと同じように動作ができるという装置。回転ずしの「くら寿司」の受付と精算端末に既に導入されていて、今年いっぱいで全店舗2000台が入る予定になっています。それによって非常に衛生的になります。CESに出展したことで海外からも多くの問い合わせを頂いています。ファストフードで注文する装置や、空港での端末に使えるのではないかという話はございます」
様々な場所で見かけるタッチパネル。コロナ禍ではちょっと操作をためらわれますが、そういった端末にUbiMouseのシステムを組み込み、空中でボタンをタッチするような動きをするだけで、人工知能が指先を感知し、操作できるんです。大津さん自身は元々医学部のご出身ということで、医療現場にも多数あるタッチパネルにもUbiMouseを導入したいと意欲を示しています。そうすることで、院内感染のリスクを減らせるのではないかということです。
★非接触で心拍数・呼吸数を計測
もう1つ、CESに出展された最新の非接触技術をご紹介します。サクラテック株式会社の「ハンディ・バイタルセンサー『miRadar 8 Handy』」です。
- サクラテック株式会社・代表取締役・酒井文則さん
- 「介護施設とか看護師さんが持って、患者さんの心拍、呼吸がどうかというのを手軽に測定できるものです。片手で持てる、非常に軽く出来ております。これは電波センサーなので非接触という所が大きな特徴となっております。距離は最大で5m、近くは50cmの範囲で測ることができます。毛布とか服とかそういったものを通すこともできます。」
「ハンディ・バイタルセンサー」は、ガラケーを少し分厚くしたような手のひらサイズの端末です。少し離れたところに置くだけで、心臓のドクドクという音を即座に感知して内臓のモニターに表示します。しかも、扉やアクリル板を隔てても電波が届けば計測ができるので、接触による感染リスクの軽減にもなります。医療機器としての認可はまだこれからということですが、CESへの出展によって、特にコロナの影響が大きいアメリカから「すぐに使いたい」という声が届いているそうです。