コロナ禍で運営のあり方を模索している「こども食堂」について、新しい動きが出てきました。12月3 日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
貧困や家庭環境から、食事もままならない子どもたちに、無料または安価に食事を提供しているこども食堂ですが、コロナの感染拡大当初から、活動を休止するところが相次いでました。第3波の今、どんな状況なのか。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの理事、釜池雄高さんのお話。
★一同に介する「こども食堂」の再開は3割のみ
- NPO法人全国こども食堂支援センター「むすびえ」理事 釜池雄高さん
- 「第1回の調査は4月に行った。この時は、一同に介する形での「こども食堂」は、1割位しかできていなかった。それが徐々に再開できて、10月段階で、約3割位まで戻ってきた。今回の第3波でさらに難しくなっている。非常に迷っていると思う。こども食堂は民間の取り組みで、後ろ盾があるわけではないので、クラスターや感染者が出てしまった時、責任は自分たちで負わなければいけないと思っている方が多い。リスクと、必要としている方の間で、皆さん本当に悩まれていると思う。」
全国におよそ4000箇所あるこども食堂ですが、活動場所が公民館や児童館などの公共施設の場合が多く、そもそも施設が閉鎖していたり、コロナ禍で飲食禁止となっているケースも少なくないそうです。コロナによって経済的に困窮する家庭は増えていると釜池さんも感じているようなので、特に給食がなくなる冬休みに入ってからの状況を心配していました。
▼「むすびえ」のクラウドファウンディングはこちら
子どもたちに、あたたかいつながりを。「こども食堂」の支援を通じて、子どもの育ちを支えたい。
https://congrant.com/project/musubie/2382
★コンビニで24時間、食材を寄付できる
そしてそんな中、愛知のコンビニで、日本初の新たな取り組みが、今週末から始まろうとしています。取り組みの発起人で、愛知県でこども食堂を運営する、山崎正信さんのお話。
- いきいき塾 NPO絆・代表理事 山崎正信さん
- 「コロナの関係で会場が使えなくなり、「食材の配布」に切り替えた。賞味期限2ヶ月前のモノをコンビニに持ってくれば、常温管理可能で未開封なら、預かっていただける。今まではこども食堂まで届けてもらったり、宅配で送ってもらう仕組みだったが、すぐ近くのコンビニで提供できるというトライアルをスタート。コンビニで買ったものも寄付を受け付ける。本当にできるんだろうかという心配事もオーナーはあったと思うが、コンビニもコロナで苦戦している。こういう時こそ地域に貢献したいと。」
実施しているのは、愛知県の「ファミリーマート・日進三本木町店」。コロナの影響で、こども食堂に子どもを集めて食事を提供することができない中、今、こども食堂を拠点に、食材を配るという形に変えて、活動する団体が増えているようです。
そのため、配る食材を募集しているのですが、目をつけたのが一般家庭のフードロスを募る方法。さらに、普段行き慣れないこども食堂まで届けるのは大変なので、身近なコンビニ、ファミマに持ってきてね、そうすればこども食堂のスタッフが回収して配りますよ、という方法を思いついたそうです。食材を寄付する側の手間を省いて、寄付しやすい環境づくりを目指しました。
山崎さんは、旧知の仲というコンビニのオーナーに直談判し、二人は街の交流事業にも取り組んでいるということもあり意気投合。まずは3ヶ月間、本部の許可を得て、やってみることにしたそうです。
こうした、食材を集める「中継基地」にコンビニを活用するのは、全国でも初の試みということですが…、いまコンビニは、公共料金の支払いに宅配便の受け取りなど、やることが多くて大変。「大丈夫なんですか?」と店長さんにも取材したのですが、食材を預かるだけなので心配していないと。初めてのことなので、今後、検証していきたいと仰っていました。
★コンビニを地域の「駆け込み寺」に
そして、さらにもう一つ、このファミリーマートで計画していることがあるそうです。
- いきいき塾 NPO絆・代表理事 山崎正信さん
- 「食材の寄付の問題だけでなく、子どもが何かあった時に相談に行く窓口が、24時やってるコンビニが
理想的だと前から思っていた。そのための材料となる500円の「弁当券(弁当とお茶にしか交換できない)」を、地域の母子家庭を中心に配布を80枚した。お腹が空いた子どもたちが、弁当券で弁当を食べる。出入りした子どもたちが繋がりができると良い。今地域の交流がなかなかないので、そこに行けば相談に乗ってくれる、案件によっては児童相談所に連絡取ってくれたり、警察にも連絡相談していただけるような仕組みづくりが出来ると、もっと良くなる。」
山崎さんのこども食堂が発行した「お弁当券」を、この店舗に持って行くと、500円以内で、お弁当や飲み物と交換できる取り組みを実施。これにより、こどもたちとコンビニの接点が、必然的に生み出せるようになるということです。
コロナ禍の今、コンビニが、ただの食材の中継地点というだけでなく、地域の駆け込み寺になればと、オーナーと共に画策。多くのこども食堂の再開の目処が立たない今、気軽に立ち寄れるコンビニの役割が期待されていました。