先日、国土交通省が、規制緩和による新たなタクシーの制度を導入することを発表しました。どんな制度なのか 12月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
業界に詳しい、乗りものニュースの編集長 中島洋平さんに伺いました。
★一括定額運賃と変動迎車料金
- 乗りものニュースの編集長 中島洋平 さん
- 「一括定額運賃というものと変動迎車料金ですね、が導入可能になります。その一括定額運賃っていうのが定期券や回数券の仕組みという風に説明されています。11月30日から国の方が事業所から申請を受け付けて、審査に1ヶ月ぐらいかかるということでしたので早ければ年末年始ぐらいからもしかしたらやり出すところが出てくるんじゃないかなあというところです。リーマンショック以降にタクシーの売上が非常に落ち込んでしまったんですね、どうも国さによるとやっぱりそれが他の交通機関と比べて割高感があってそれで離れちゃったんじゃないかって言う風に言われていてお得に乗れる仕組みっていうのをいろいろ考え出してきたというのが背景にあります。」
まず「変動迎車=お迎えに来る迎車料金」は、朝や夜など、需要の多い時間帯の迎えの料金を割り高にして、昼など利用者が比較的少ない時間帯は割安にすると言うもの。(最近はコロナで朝利用が増えているそうです)対して「一括定額運賃」は定期券のように、ある一定の区間を定めた期間内、乗り放題にする、もしくは回数券のように、区間内の料金×利用回数で回数券として事前に一括で買うと言うもの。割引率は業者によって異なることになるようですが、どちらも事業者にとっては事前に決まった運賃収入が見込めます。では利用者にとってのメリットはどうか?中島さんに聞きました。
★実証実験は成功
- 乗りものニュースの編集長 中島洋平 さん
- 「この定期券の概念っていうのは実験的に導入されたことがあります。それは福岡の方だったんですけど免許の返納で足に困ってしまった高齢者を対象にしたもので、普段よく行く病院とかお店とか2箇所目的地を指定をして、でエリアで分けてその間で定期券っていうものを設定をしたんですね。その足が確保されるって言うことで利用者の方にとっては新しい交通機関と言うか目新しいものに移ったのかもしれないですけどもそれを利用した人の9割がたが今までタクシー利用しない方だったらしいんですよ。だからまあ足に困っていた人にとっては割と喜ばれたものだったようです。」
今回の国の新制度でも「本当に必要な人が利用できるように」とあるのですが、お話に出てきた実証実験では、実際に、比較的昼に移動する機会が多く、免許返納などで足に困っている高齢者の方に好評で、それまで利用しなかった人も、利用に踏み切れたようです。事業者にとっても利用者にとってもメリットがありそうなこの新しい制度ですが、現役のタクシードライバーの方からするとどうなのか?準大手タクシー会社に勤める、渡辺さんのお話です
★運転手側の見解とは
- 準大手タクシー会社勤務 渡辺さん
- 「定額で給料もらっている電車の運転士さんやバスの運転士さんと定期っていうのは合うと思うんですね。一方、歩合の人間が定期を導入された時に、その歩合をどうすんだって歩合率含めて、ここはあまりそぐわないんじゃないかなってのが正直なところです。(ちなみに本当にそのご自身の事業者が導入されたらどうして行こうというふうなお考えですか?)多くの人間が辞めていくと思いますね。その定額運賃をやらないところに移るかもしれないです。やっぱり歩合と定額ってのが合わないですから、そこはやっぱり一番どういう風に考えるんだろうなってのは、たぶん出てきますね」
免許返納する高齢者が増えるこれからは、タクシーの定期や回数券というのは利用者には優しい制度。それだけに、運転手の収入も安定する持続的な仕組みにしないと。