上野にある国立西洋美術館が世界文化遺産登録されましたが、これにあやかろうと「アメ横」が動き出しました。いろいろ伺うと、そこには深いワケがありました。どういうことなのか?「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」でレポーター阿部真澄が取材しました!
★7月21日、アメ横でレッドカーペットの式典が!?
上野にある国立西洋美術館が世界文化遺産登録されたことをうけて、美術館近くにある「アメ横」が、あることを行います。アメ横商店街連合会・会長 星野勲さんにお話を伺いました。
- 星野勲さん
- 「国立西洋美術館が、ル・コルビュジエが世界文化遺産に登録になったということで、お祝いをアメ横のメインストリートで式典をやろうとなった。メインのアメ横の「センタービル」のアーチに「横断幕」と「くす玉」をつけて、区長を呼んで、アメ横に「赤いじゅうたん」を敷いて「くす玉」割って、最後に「樽酒」で祝い酒をやろうという計画。上野の山の「文化の森」に来ている一般のお客さまたちが上野の山から下に下りてきて、上野のアメ横の商店街に来ていただければ・・・アメ横で山の「上」と「下」ですから、登ってきた人は降りてくるはずだから、効果は絶対あると思いますよ!」

世界文化遺産登録を喜ぶ、会長の星野さん
7月21日のお昼から1時間程度、おなじみの「アメ横」の看板の下にくす玉を下げ、アメ横のある台東区の区長さんなど街のトップ総勢10名で引っ張振る舞い酒をしてお祝いする式典です。話題にあやかって、アメ横にも沢山人を呼びたい!という意向があります。
ただ上手くいくのかどうか。JR上野駅から行くと、「美術館」は高台にある「公園口改札」が一番近く、(アメ横の人たちが言う通称 山の上)アメ横はその下にある「不忍口」が近いので、動線が別なんです。仮に公園口のほうからアメ横に向かうとなると、高台から降りて(山から下に降りて)アメ横に来るという形になります。そういうお客さんを増やしたいということでしたが、わざわざ来てくれるのかどうか・・・
★「美術館」から「アメ横」に行く?お客さんを実態調査
というわけで、現状を調査してみました。世界文化遺産登録が決まってから、美術館に来ている人が増えていると報道されていますが、会長さんが想定している通り、お客さんがそのままアメ横に行くのかどうか?上野の公園のお客さんにききました。
- ●男性「駅は「上野の公園口」(この後は?)上野は終わり、銀座で映画を見て帰る予定。」
- ●女性「上野駅です公園口改札(このあとは)浅草めぐりを浅草寺に・・」
- ●男性「上野駅の公園口(このあとは?)月島(アメ横は?)アメ横?行かない。」
- ●女性「上野駅、公園口(このあとは)なにもないです。まっすぐ帰ります(上野といえばアメ横は?)ない。スカイツリーなら行ったことありますけど、やっぱり観光スポットとしてはあっちのほうがトレンディーかなって。」
- ●男性「きょうは鶯谷の駅から(このあとは?)アメ横まわって帰ろうかなという感じ。」
平日に取材しましたが、美術館はかなりの人手で、中に入らなくても美術館前で写真を撮っている人が大勢いました。世界文化遺産登録が決まった3連休は開館から大行列だったそうです。ただ、調査をした結果、9割の人はアメ横には行かないという答えでした。
★最近のアメ横の状況は?アメ横のお店を実態調査
今度はアメ横を実態調査!平日午後、アメ横は結構な人手があって賑わっていたので、意外と世界遺産効果があるのかな…?と想い、アメ横のお店の方に最近のアメ横の状況を聞いてみました。
- 【乾物屋】「前とは違う、ちょっと寂しくなった。2~3割少なくない。一番は売上」
- 【おつまみを売っているお店】「おつまみ扱っているお店=ここ数年は、あんまりよくない。どっちかというと海外の人が来ているが、売れるのとお客がいっぱい来るのは違う(あんまり買わない人が多い?)そうだね。日本に来て、商品を買うのと見学は違う。」
- 【乾物屋】「日本人が減った、中国が増えた。(売上は)昔から比べれば落ちました。やっぱり年配の方が多かったというのがあるが、今、若い人は近所のスーパー。そっちに行く人が多いから、買いに来る方は減りますよね。」
一見、大勢の人で賑わっているのですが、そのほとんどが外国人。見学目的の人が多く、買い物をしないそうなのです。逆に、昔多かった買い物をする日本人が減っているのが現状です。そうした変化はお店側にも起きていて、会長の星野さんいわく、ここ数年で、アメ横のお店の5%は外国人がやるお店になってきています。そんな中、こんな複雑な思いで世界遺産登録を受け止めたお店もありました。
- 【トルコ人のケバブ屋】「私たちは最近色々問題がある、トルコで・・軍隊があったり・・結構大変だから難しい、みんな家族もあるし。だけど世界遺産になって嬉しい。」
ケバブ屋の店主はトルコ人。ちょうど、世界遺産が決まるかどうかという時、母国は、あのクーデター未遂。それはそれで心配でしたが、そうした中、世界遺産が決まったのはよかった・・・ということでした。色々お店の人の思いはあるものの、こうして、アメ横には外国人が増えてきてちょっとずつ変わってきています。
そしてもう1つ、今、大きな変化が起きていました。実は、今回、世界遺産にあやかって、なんとかお客さんを増やそうとしているのも、その影響があるそうです。再び、アメ横商店街連合会の星野さんに伺いました。
★アメ横が世界遺産登録に賭けたいもう一つの理由
- アメ横商店街連合会・会長 星野勲さん
- 「たまたま今、耐震補強工事ということでどうしてもやらないといけない工事がある。JRとしてもやっぱり柱を補強して、やらざるをえないということで、いま、一番でかいアメ横プラザという「100店舗」をお休みしている。そういったのも含めて、だんだん足が遠のいているのも事実。」

耐震工事で100店舗が閉店中
いま、JR高架下にある100店舗がお店を閉めています。9月上旬には、工事が終わり再開予定ということですが・・・撤退する店もあり、辛い状況です。そんな時なので、世界遺産登録が決まったからイベントで盛上げていこうと、アメ横では、11月頃にさらにお金をかけてイベントを計画中です!
(取材・レポート:阿部真澄/2016年7月21日放送)