最近、新型コロナウィルスの感染拡大で、混み合う電車を避けるために自転車で通勤する人の姿が多く見受けられるようになりました。しかし、そこには注意も必要なようです。7月8日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずは、どれくらい自転車が売れているのか?自転車業界の実情について大手自転車メーカー スペシャライズドジャパンのマーケティング広報担当、佐々木雄治さんに伺いました。
★3密を避ける自転車通勤ブーム
- スペシャライズドジャパン マーケティング広報担当 佐々木雄治さん
- 「すごく売れています。うちに限らず話を聞いていると5、6月なんかは売上が200%以上増えたというところもあったっていうのは聞いています。まず安価なクロスバイク、またマウンテンバイクが一気に売れてしまったので、うちの在庫が全国的に切れてしまって、ちょっと売るものがなくなってしまったというぐらい、かなりすごい需要を頂いてたんですけど、ちょっとそれに応えることができずに、かなり申し訳ない形に、今でもちょっとなっています。まあ本当に自転車ブームみたいな言葉を聞いたことがあると思うんですけども、そういった時はここ10年で数回とかそういう形で、今回のコロナでの需要は更に強烈な形でしたね」
自転車の価格帯は、数万円から数十万円のものまであるので、スペシャライズドジャパンでは、まず比較的安い5万円台のクロスバイク=路上を楽に走れる通勤向けのスポーツバイクや、マウンテンバイクが一気に売れて在庫切れになりました。
その後はe-bike=スポーツ用の電動アシスト付き自転車が売れ始め、30万円もするのに購入する人が増えてきているそうです。
もちろん、新たに買う人だけではなく、家に眠っていた自転車を修理しに来るお客さんもいて、通勤に利用する人が様々、増えているということでした。
ただ、一方で、こうして自転車通勤をする人が増えることを懸念する声もありました。自転車駐車場整備センター・自転車総合研究所の古倉宗治所長のお話です
★自転車保険加入者が急増
- 自転車駐車場整備センター・自転車総合研究所 古倉宗治所長
- 「一番懸念されている問題点はですね、普段自転車に乗り慣れてない方が、急に自転車通勤に参入するということで、やはり事故が増えるんじゃないかと。それに対して一番の注意点としては、自転車保険に加入するというですね、これは全国の25都道府県で、すでに条例で義務化、あるいは努力義務になっています。罰則規定はありません。結局、入らないと、いざという時に損害賠償の義務が相当高額の判例が出ていて、神戸で9500万、東京でも9300万くらいの賠償が請求されていて、当然入っておかれるべきと考えます。」
特に自転車通勤は、お買い物などと違って、長距離を走ります。そのため、事故のリスクも高いので、保険に確実に入っておく必要があるということでした。
25の都道府県の条例で義務、または努力義務になっていると、古倉さんは話していましたが、東京都も2020年4月から義務化となっています。
ただ一番良いのは、まず事故を未然に防ぐことです。そのためにはどうしたらいいのか?実はあまり守られていない自転車通行のルールがあるそうです。再び古倉所長に伺いました。
★事故を防ぐために知っておきたい自転車通行ルール
- 自転車駐車場整備センター・自転車総合研究所 古倉宗治所長
- 「事故の実態をちゃんと知ってもらう、これが一番のポイント。自転車事故は交差点が3分の2、集中している。いわゆる出会い頭事故が自転車事故の半分以上。特に交差点では6割以上が出会い頭事故。でルールをしっかり守ってほしい。当たり前のように聞き流されているようですが、左側通行を厳守していただく。右側通行は、対面で、相手方から、向こうからやってくる車が分かるから安心のように見えるんですが、そうではなくてですね、横道から出てくる車は、右側通行の自転車についてはほとんどテイクノート(注意)しておりません。出会い頭事故が脇道から出てくる車に対して起こるという可能性がありますので、絶対に右側通行しないで左側通行厳守していただきたいと。」
まず、信号無視や、一時停止しないなどのルール違反で、交差点で出会い頭事故が起きることが多い。
そして意外と守られていないのが「左側通行」。
交通量が多い道路では、みなさん左側通行をしていると思いますが、車が少なく、狭い道路では、右に行ったり、左に行ったり、動きながら走る人がいます。しかし、横道から出て来る車は、反対側から車がこないか見ているため、右側通行の自転車に気づくのが遅れて、出会い頭事故になりやすい。絶対に止めて欲しいと話していました。
もちろん、歩道では徐行がルール。徐行では朝、忙しい通勤には向かないので、基本的には、車道で、左側通行で、ということでした。