自動販売機というと、飲み物やタバコのイメージが強いですが、ここ数年、変わったものが続々登場しています。先月だけでも、「牛丼」の自動販売機が登場したり、かつお節が丸々一匹くらい入った「だし」ボトルが買える自販機が調布に設置されたりと、もはや何でもアリの世界に。12月4日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが自動販売機の今を取材報告しました。
まずは、こちらも先月から新たな商品が加わった、ユニークな自動販売機を取材しました。株式会社「JAM HOME MADE」の長澤和子さんのお話。
★思い立ったら即プロポーズ!結婚指輪が買える自販機
- 株式会社ジャムホームメイド 長澤和子さん
- 「結婚指輪の自動販売機です。展開している商品は、「名もなき指輪」という結婚指輪と、ダイヤモンドの入ったプロポーズ用のプロポーズリングと、プロポーズネックレス、3種類の展開です。全て9900円、一万円でお釣りが来ます。手作りできる「名もなき指輪」は、リングが8サイズ入っていて、セットの木の棒でサイズを広げたり調節して、自分に合うサイズを作れます。プロポーズリングの方は後ろがオープンタイプで調整可能なので、相手のサイズがわからなくても買える仕組みです。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7042-533x400.jpg)
JAM HOME MADE(ジャムホームメイド)の長澤和子さん
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7039-533x400.jpg)
指輪が買える自動販売機は、店舗の前にありました
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7032-533x400.jpg)
中身はこんな感じでディスプレイ。こちらはプロポーズリング(9900円)
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7035-533x400.jpg)
結婚指輪(9900円)
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7033-533x400.jpg)
プロポーズネックレス(9900円)
こちらの自販機は、渋谷区のブライダルジュエリーショップ「JAM HOME MADE(ジャムホームメイド)」のお店の前にあります。
これまでは実店舗と、ネット販売をしていたそうですが、オンラインショップのように24時間好きなタイミングで買える場所があっても良いのではと、去年の3月から自販機の設置を始めたそうです。(24時間いつでも買えるので、夜中に酔った勢いで指輪を買ってプロポーズするなんてことも可能⁉)
当初は、プロポーズ用の指輪と結婚指輪の2商品だったんですが、好評につき、先月、ネックレスも追加!3商品にバージョンアップしました。
野菜の直売でよく見るコインロッカータイプで、お金を入れて欲しい商品の扉を開けて商品を取り出します。サイズの調整が自在にできる、というところが工夫されているところ。セットになっている木槌と、木の棒を使って、コンコン叩いて、ホームメイドできます。
★最近の若者の価値観に合っている?!
でも、大事な結婚指輪を自販機でいいのか?婚約指輪は給料の3倍なんて言われる中、果たしてこれでいいのか?長澤さんに聞きました。
- 株式会社ジャムホームメイド 長澤和子さん
- 「「結婚指輪を自販機で売っていいの?」という反応もたくさんありました。でも、忙しい方もたくさんいて、婚姻届も深夜に提出できるので、結婚指輪も深夜に買えてもいいかなって。また、今の時代の若い方って、ブランドや高級店よりも、自分たちの思いや楽しい体験を大切にしている方も多いので、高級なジュエリーショップは敷居が高いという方にも、自動販売機で買うこと自体も思い出として、楽しんでいただいているのではないかと思う。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7046-533x400.jpg)
プロポーズリング。付属の木の芯棒で指輪のサイズを調整できるので、サイズが分からなくてもぴったりのリングをプレゼントできる
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_7010-533x400.jpg)
結婚指輪。中を開くと、5〜19号の8種類のリングが入っています。はじめは微妙な楕円形をしており、同封されている木の棒と木槌を使って叩き、自分のサイズに成形します
確かに、深夜に婚姻届を提出に行く人もいますし、最近は、結納も結婚式もしない、婚約指輪もいらない、有名ブランドは高いだけだから興味がない、というタイプの層も増えているので、そういう方には、コンコン叩いて一緒に作る「思い出」の価値が受けるよう。意外にも、毎週数点ずつ、コンスタントに売れているそうです。
もちろん、JAM HOME MADEでは、サイズを測ってオーダーメイドする高級な指輪も店舗で扱っているので、自動販売機の商品が加わったことで、あたらしいお客さんをつかんだようです。
★お土産が買える「ご当地自販機」
続いては、空港にある自動販売機。株式会社ビッグウィングの上原良太さんのお話です。
- 株式会社ビッグウィング 上原良太さん
- 「羽田空港では、各地の「ご当地・自動販売機」を用意している。日本中の地方自治体とタイアップし、いま現在、秋田県、福岡県、熊本県など、色々な県の自動販売機がある。物産品や食品など。自販機を目当てに来る人も多くなり、売上も伸びている。皆さん旅行が楽しみでお土産を買い忘れたり、出張に行ったお客様が買い忘れた時に、各県の自動販売機を見て「ここで買える!」という心理があるのでは。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6953-536x400.jpg)
「ご当地自動販売機」。羽田空港第二ターミナル2階・国内線の出発ロビーにあります
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6956-536x400.jpg)
左から、岡山県総社市、福岡県、熊本県
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6957-536x400.jpg)
左から、山形県庄内地方、福島県、富山県
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6958-536x400.jpg)
左から、ご当地インスタントラーメン(こちらはけ固有の県のPR自販機ではないので数から除外)、秋田県。自治体の自販機は、現在全部で7台
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6962-536x400.jpg)
【秋田県】フィギュアスケート・ザギトワさんから火がついた秋田犬のぬいぐるみが人気
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6970-536x400.jpg)
【福島県】赤べこ
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6968-536x400.jpg)
【福岡県】明太鮭ほぐし(缶詰)
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/12/IMG_6991-533x400.jpg)
【熊本県】くまモン醤油
「ご当地自販機」は、羽田空港の国内線のロビーに置いてあります。一つの自販機が一つの県になっていて、秋田・山形・福島・富山・岡山・福岡・熊本の計7台。各自治体が管理費を払って置いていて、一台当たり、15個の特産品が並んでいます。例えば、福岡県はもつ鍋の素や明太マヨネーズ。熊本県は、くまモンの醤油やくまモン人形。さらに福島県は赤べこなど、各自治体、独自色満載で自販機で地域を売り込んでいます。
なぜ売店でなくあえて自販機なのか?実は売店だと、すべての県が混ざるので、商品が埋もれてしまいます。ところが自販機なら、県として独立して目立たせますし、人を置かなくても勝手に売ってくれるということで、地域のPRに一役買っているようでした。人件費ゼロ、出店料格安の「プチアンテナショップ」といった感じですね。
★愛媛の「折り紙自動販売機」が人気
一方で、羽田ではなく、現地で「特産品」を売って観光スポットになっている自販機もありました。愛媛県内子町の「岡野商店」に置いてある自販機について、店主の岡野千鶴さんに聞きました。
- 「岡野商店」店主 岡野千鶴さん
- 「私が折った「折り紙」を売っている自動販売機です。お金を入れると、下からポロンと出てきます。10円、30円、50円のものがあって、蛙やウサギ、紙風船、羽風船、風船ウサギ、風船金魚、サンタとモミの木とベルなどと、やっぱり季節のものが一番売れますね。一年ぐらい誰からも見向きもされず、誰が買うのっていう声もあったけど、今は、一ヶ月に一万円ぐらい売れています。月に千個くらい折っているので、腱鞘炎、手も痛い。」
岡野商店は食品や日用品を扱っている小さな個人商店。この店先に置いてある「折り紙自販機」が数年前からSNSで話題に。全て岡野さんの手作りで、ひと月に約1000個、1万円の売上があり、ちょっとした観光スポットになっているそうです。
★折り紙は「手すき和紙の特産品」
実はこれ、元々はタバコの自動販売機で、たばこサイズの箱に折り紙が入って、出てきます。でも、なぜたばこの自販機で折り紙を売ろうと思ったのか?岡野さんに聞いてみました。
- 「岡野商店」店主 岡野千鶴さん
- 「2010年に、年齢証明の「タスポ」が使える自販機に変えなければならなくなり、過疎もしてるし、財力もなくて自販機を辞めようと思ってた時に、電気も消して中身も抜いていたら、近所の方が「電気が消えて寂しいので、ドングリでも小石でも入れたら?」と言われて、じゃぁ「折り紙」はどうかなと。内子町は「手すき和紙」の町で、「和紙を盛り上げる会」に入っていて、年に一回、行灯や箸袋、ポチ袋を折って販売しているんですね。その関係で折り紙をやっていたので、折り紙が軽くて良いかと思って、折り紙にしました。」
自動販売機が地域に話題をうみ、人を呼び寄せ地域活性にも繋がっていました。自動販売機、活用の仕方はまだまだ広がっていきそうです。
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!