最近、ちょっと変わった営業形態の飲食店「ミクストラン」というのが増えているそうです。12月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
ちょっと変わった営業形態というのは、食べ物とは無縁だったお店が飲食店を併設、という動き。まずは、12月2日にオープンという群馬県前橋にあるお店。株式会社折り鶴・代表取締役の井上拓民さんのお話です。
★「薬局×カフェ」で気軽に健康相談
- 株式会社折り鶴・代表取締役 井上拓民さん
- 「今回の「らしくるカフェ」は、『薬局』の隣に立てた。例えば、検体測定室というものがあるが、カフェスタイルで検査測定をして、健康提案をしていく。もっと気軽に利用していただきたいということで始めた。薬局をやっているけど、カフェ店員のコスチュームでやっているので、中身は薬剤師だが、白衣は着ていない。また、健康診断は(普通)半日以上かかるが、うちは全てやったとしても1時間程度で終わる。また、お金に関しても、物によっては有料なものもあるが、基本無料で提供している。」
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コーヒーを飲みながら検査が受けられる「らしくるカフェ」(前橋)
「薬局×カフェ」の「らしくるカフェ」は、もともとあった調剤薬局の隣にカフェが併設されたお店。店内では血圧計で動脈硬化を測定したり、唾液によるストレスチェック、お肌や頭皮の状態をチェックなど、10種類の検査測定が無料で受けられます。提供されるドリンクは薬剤師さんが選んだコーヒーやチョコレートドリンクなど。一つ一つこだわっていて、今月いっぱいはドリンクも無料になるそうです。
もともとは、調剤薬局で健康チェックをしていたのですが、意外とハードルが高いようなので、カフェとミックスすることで、ハードルを下げて、気軽に参加してもらえるようにしたようです。コーヒーを飲みながら気軽に相談してほしいということでした。
こうした異業種と飲食店を掛け合わせた複合施設は、「ミクストラン(ミックス+レストラン)」と呼ばれており、ここ数年、数も増えているようです。
★「図書室×カフェ」で新しい読書空間
続いてのミクストランはこちら。米谷厚志さんに聞きました。
- 「森の図書室」スタッフ 米谷厚志さん
- 「「森の図書室」と言って、お酒を飲みながら、音楽を聴きながら本を読みたいということで始めたお店。本と気軽に触れ合ってほしいという思いで、本を読まないといけないということではない。普通の飲食店として友達同士で話すだけでもいい。シーンとした読書空間を作り上げてしまうと、お客様が居づらい環境になってしまうので、あえてちょっと音楽も大きめに。お話したいお客様が居づらくならないような狙いがある。」
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「森の図書室」スタッフの米谷厚志さん(渋谷・道玄坂)
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本を読みながらドリンクが飲める
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本の一部は、お客さんから寄贈されたものも。びっしり感想が書き込まれていました
こちらは、「図書室×カフェ」のミクストラン、「森の図書室」です(渋谷・道玄坂)。通常、図書館では飲食やおしゃべりはマナー違反ですが、こちらでは本を読みながら飲み食いできるんです(もちろん本も借りられます)。
営業時間は昼の12時〜0時まで。夜はお酒も提供されるので、仕事帰りの利用客も多いそうです。
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これらの小説に出てくるフードが実際に食べられます
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フードメニュー(ホームページより)
また、小説に登場する料理を再現したフードがあったりと、本好きにはたまらない空間。本を読むだけでも、ご飯を食べるだけでも利用することができます。
★“シーン”とした図書館より、適度に集中できる
様々な過ごし方ができそうですが、では皆さん何を目的に訪れているのか、利用者の方に伺いました。
- ●「今日初めて来た。渋谷の穴場カフェで調べたら出てきました。1時間ぐらい本読んでました。静かな場所でリラックスできていいと思った。」
- ●「埼玉県の加須市から来た。初めて来た。図書館より居心地がいい。BGMが流れている分、かしこまってないというか、こっちの方が利用しやすいのかなと思う。」
- ●「週に3回ぐらい平均して来ている。Wi―Fiもつながるし、充電もあるのでノートパソコンでできる作業とか本読んだりする環境がすごく整っているので、仕事をしている。図書館ですることもあるけど、音楽がかかってたりとか、雑談とか、飲食ができたりとか、夜はお酒が出たりとか、もっと自由にできるなあというところがある。」
夕方ごろお邪魔したところ、利用者の多くは20代でした。本で埋め尽くされた店内はとにかく“映える”ので、写真を撮ってSNSに投稿する人も多いそうです。
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壁一面、本で敷き詰められている。バエマス。
寝転べるスペースもあり、くつろぎながら読書を楽しむことができる。静かすぎず・うるさすぎない空間が、長時間の滞在も苦にならないようで、コワーキングスペースとして活用する人もいらっしゃいました。
★ブローされながら一杯いかが?「美容院×ビール」
3つ目はこちらのミクストラン。伊藤聡司さんのお話です。
- 美容院 T:Luck(ティーラック)伊藤聡司さん
- 「うちは美容室ではあるが、ビールを用意している。カットやカラーの待ち時間の合間にコーヒーやお茶が出てくる美容室はあるけど、そこにビールを持ってきている。きちんと販売許可を取って、お客様に世界のビールが楽しんでもらえるという、ちょっとおかしな美容室というキャッチコピーでやっている。基本的に海外ビールをメインで入れていて、全部ワンコイン500円。慣れた方は「とりあえずビール」という人もいるし、カラーやパーマの待ち時間など、お客さんの好きなタイミングで飲んでもらっている。」
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伊藤さんに髪を切られながら、ビールを飲んでいる(ふり)
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瓶ビール以外にも、スニーカーや雑貨、手作りの戸棚など、店内には伊藤さんのこだわりのもので溢れています
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世界の変わったビールが飲めます。ひと瓶500円。
「美容院×ビール」という異色の組み合わせを提供しているのは、下北沢にある美容院「T:Luck」。鏡の前に、常時8種類の瓶ビールが置かれていて、その多くが見た目もおしゃれな海外ビール。8割型のお客さんはビールを飲むそうで、中には全種類飲み干すツワモノも(全種類なので8本です)。
ビール片手にカラーリングしたり、パーマを当てたり、ブローしたり。流石にベロンベロンに酔っ払うお客さんはおらず、皆さん場をわきまえてお酒を嗜むそうですが、居酒屋のように「ごちそうさま〜!」と行って帰っていく人も少なくないとか。
★『ミクストラン』で差別化
最後に伊藤さんに、なぜこの業態にしようと思ったのか聞いてみました。
- 美容院 T:Luck(ティーラック)・伊藤聡司さん
- 「コンビニが全国に約5万件あるらしいんです。美容院は25万件以上あるんですって。その中に特に下北沢という土地で髪切れる店がいっぱいある中で、髪切れる店を出して生きていけるかなと。やっぱり人と違うことやりたいなと思って、例えば、今って美容院行こうかなって探すときに、大体インターネットで探すと思うけど、カットがいくら、カラーがいくら、パーマがいくら、といった感じで書いてあることが全部同じ。そのときに「ビールが飲める美容院」と出てきたら、面白そうだなっていうフックにはなっていると思う。」
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世界のビールが飲める美容室「T:Luck」(下北沢)
今までできなかったことを形にすることで、お店の差別化を図ることができ、集客にも繋がっているようでした。
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田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!