今日は、100円ショップよりちょっと高い【300円ショップ】が、このところ急速に広がっているという話を聞き、取材してきました。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!11月13日(水)は、『広がる300円ショップ ライバルは100円ショップにあらず!?』というテーマでお届します!
★300円ショップは100円ショップと何が違うのか?
これまで300円ショップは【3COINS(スリーコインズ)】というお店が大阪を拠点に全国に展開していましたが、100円ショップ(100均)と比べると、参入企業もお店もだいぶ少なかった。ところが今、【CouCou(クゥクゥ)】【ミカヅキモモコ】と他社もお店を増やしているのです。
また、100円ショップの大手【ダイソー】を運営する会社も【THREEPPY(スリーピー)】という300円ショップに力を入れています。今月には、葛飾区亀有に、東京23区初となるTHREEPPYを従来の【ダイソー】の中に併設、オープンしました。
この300円ショップ、100均と何が違うのか?ちょっといいものが置いてある…ということではないようなのです。詳しい方にお聞きしました。消費経済ジャーナリストで、ご自身100均をよく利用しているという松崎のり子さんのお話です。
- 松崎のり子さん
- 「ひとくちで言うと、【安さと機能の100円ショップ】【センスとデザインの300円ショップ】というのが分かりやすいかと思います。100円ショップというのは基本的に生活用品、例えば掃除用品のように絶対使うもので、しかもずっと持っているものではなくて使い捨てしたり消耗したりというものを安く買う目的で行くところです。300円ショップというのは、生活必需品というよりも、あったら暮らしにちょっと潤いが生まれるなというものを、プチプライスで買いに行くところ。どちらかというと雑貨を安く買うところというすみわけではないかと思います。」
つまり、置いてある商品が違うようで、100均のほうは、とにかく幅広く商品を揃えています。一方の300円ショップは、もう少し商品を絞っているのです。
★300円ショップでコレ買います!
では、実際に300円ショップでどんなものが買われているのでしょうか。街の皆さんにお聞きしました。
- ●「アクセサリーを買います。結構クオリティー高いから。このピアス、300円。」
- ●「イヤリングとかアクセサリー。【Lattice(ラティス)】というお店と【3COINS(スリーコインズ)】。100円ショップと300円ショップだと質感が違うし、かわいいと思うものが300円ショップは多いので。」
- ●「これ買いました、スマホケース。300円!」
- ●「収納ボックスみたいなものを買います。かわいい柄が多いのと、割としっかりしてる。」
- ●「オタクグッズ。ジャニーズJrの応援グッズ。うちわ専用のファイルがあるので。ファイルの下に穴があいていてうちわの柄がスポンと通せる。そういうオタクグッズを買いに行きます。」
アクセサリーを買っている若い女性がとても多かったです。たしかに300円に見えない!!可愛いし、数も買いやすいですよね~。そのほかには、収納ボックスとか小物入れとか、インテリア関係も多い。みんな口をそろえて、かわいい!と。
★100円ショップで買うものは・・・?
一方、100均になるとお買い物がどう変わるのか。聞いてみました。
- ●「子供がいるのでお弁当の入れ物とかおにぎりの型とかラッピングとかかわいいデコレーション的なもの。あと文房具。連絡帳とか国語ノートとか。」
- ●「私、ボールペンが多いです。職場で結構使うので。」
- ●「生活用品は100円ショップで買います、キホン。ハンガーのいっぱいついているやつとか。」
- ●「店をやってるんですけど、お店の備品。ボウルとかたわし。あとダクトのフィルター。」
- ●「自分、独り暮らしなので家事ものが多いです。スポンジ、ごみ袋、箸とかお皿とか。」
グッと生活感が出てきて、300円ショップとの違いを感じました。100均はアイデアグッズも人気ですが、300円ショップはオシャレが売り。先ほと松崎さんが【安さと機能の100円ショップ】【センスとデザインの300円ショップ】とおっしゃった意味が分かりました。そして、やっと男性の声が出ました!実は昨日お話をうかがった中では、300円ショップを利用したことがある、という男性には出会えなかったのです。
★なぜ今300円ショップが人気なのか!?
では、この300円ショップが、いま注目されてきたのはどうしてなのか、松崎さんに聞きました。
- 松崎のり子さん
- 「300円ショップが急激に注目されてきたというのは、ショップ側もSNSでの発信をすごく重視していて、今の若い世代というのはインスタなどSNSで自分の買うものを検索するような消費行動をするんですね。だからたまたまSNSで検索したときに300円ショップのものがすごくかわいらしくて、しかも今の若い人はコスパ(コストパフォーマンス)重視世代でもあるので、コスパを重視しつつSNSとかインスタで物を探すという世代にすごくマッチして300円ショップがすごく注目されているんじゃないかと思います。100円ショップは(店舗の)数が多いので、リアルなタッチポイントが多い、リアルに探すところですよね。こんなものがあるんじゃないかと宝探し感覚でショッピングを楽しむところなので、実際に行ってリアルで見つける楽しみのほうが大きいんじゃないかと思います。」
今の若い方は、いわゆる【検索サイト】で物を探すというより、【インスタやツイッター】で話題のものを探して、買い物をする。しかも、コストパフォーマンスをすごく求めている。そこに、フィットしたのが300円ショップということなのです。
松崎さん曰く、100円ショップはデフレの申し子で、300円ショップはSNSの申し子!納得ですね!!
★300円ショップのライバルは100均にあらず!?
となると、今後100均と300円ショップは、お客さんの争奪戦になるのか…?そう思って松崎さんにお聞きすると、300円ショップのライバルはほかにありそう。
- 松崎のり子さん
- 「今度はフリマアプリで物を見つける人との闘いになっていくんじゃないかなと。今、SNSとかインスタで物を探しているから、スマホアプリで買っちゃうということになるので。100円ショップはスマホアプリで買うには逆に高くついちゃうし、近くにお店があるので買いに行けばいいことなんですけど、300円ショップの物というのは、お店が必ずしも近くにないので、スマホのフリマアプリで買われちゃうというところがある のかなと。そこの闘いがあるのではないかと考えています。」
リアル店舗で楽しむ100円ショップと300円ショップは、競合しないのではないかというのが、松崎さんの見方。というのも、100均が今、全国に6000店舗ほどではないかと言われる一方、300円ショップはまだ全国でも数百店舗。桁が違います。交通費をかけて、300円のものを買いに行くなら、フリマアプリで・・・となるのでは?ということなのです。
今後、お店がどこまで増えるのか、また、今はまだ少ない男性や高齢のお客を取り込むのか、取り込まないのか、その行方によっても、300円ショップのライバルは変わるかもしれません。
100均の商品開発はとても工夫して、面白いものを作っている。それが人気。300円ショップがそういう魅力を創れるか。一方、100均や300円ショップの人気の背景には、景気が上向かないこともあるのではないか、という気もします。
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。