きょうは、自然災害への備えについて、10月14日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
台風19号が直撃して各地で被害が出ていますが、台風の接近に備えて、水や食料、懐中電灯、電池などを買い求める人がスーパーや家電量販店に殺到。商品が品薄となる事態も起きました。そうした中、すぐにでも商品化して欲しい新しい形の燃料電池が開発されていました。開発した、大阪工業大学・客員教授の金藤敬一さんのお話です。
★おしっこで発電できる燃料電池
- 大阪工業大学・客員教授 金藤敬一さん
- 「小さな掌に入るような電池で、1個の大きさは1センチ角くらい。燃料は「尿素」や「尿」で発電できて、どこも落ち運べる電池です。例えばLEDを点けるのであれば、1滴もあれば、3時間でも4時間でも十分発電します。」
金藤先生が開発した燃料電池は、厚さはおよそ1ミリ程度のシート状で。このシートを4つ繋ぎ合わせて尿素を1滴たらすと、3ボルトの電圧が発生し、LEDを灯すことが出来ます。非常に小さい上、尿が燃料になるということで、停電時に手元にあれば、明りの確保が安易にできそうです。
★始まりは2000年のノーベル賞から…
そして、この燃料電池の開発にはこんな経緯があったようです。再び金藤さんのお話。
- 大阪工業大学・客員教授 金藤敬一さん
- 「いまノーベル賞で吉野先生で沸いているが、今から20年程前に白川英樹先生がノーベル賞を取った。その時に対象になったのが「導電性高分子」という材料なんですが、その使い道は沢山ある。その導電性高分子を電極に使うことによって、パワーが非常に出る、尿の燃料電池を開発することが出来た。」
企業の協力があれば、半年か1年程で実用化が可能だろうということで、今後、実用化に期待が高まります。
★3年以上備蓄できるお菓子、売ってます
今度は、すぐにでも手に入る新しい形の非常食について。「防災スイーツ」名付けれらた備蓄可能なお菓子なんですが、横浜市の洋菓子店「ガトー・ド・ボワイヤージュ」が開発を進め、今年8月末に商品化されました。代表取締役会長の吉田三喜雄さんにお話を伺いました。
- 「ガトー・ド・ボワイヤージュ」代表取締役会長 吉田三喜雄さん
- 「「防災スイーツ」は焼き菓子。食べた時に水分を取られると水の配給がまた必要になる。そこで小麦粉を減らし、アーモンド増やすで水分活性が残るので、少ない水で飲み込める。もちろん小腹がすいた時に食べても、普通に美味しいお菓子です。「バニラ味」と「チョコ味」で、普通のお菓子として食べられるだけでなく、3年以上もつ。」
もともと吉田さんの会社は、東日本大震災の被災地にお店の洋菓子を送ったことがあるそうです。その時に現地の子供たちに非常に喜ばれた経験があるため、防災スイーツの開発をスタートさせました。
★チャック付きパッケージで水筒代わりに
この防災スイーツで、少しでも被災者を勇気づけたい!と味にもこだわっているんですが、実は商品が入っているパッケージにもあるこだわりがあるそうです。
- 「ガトー・ド・ボワイヤージュ」代表取締役会長 吉田三喜雄さん
- 「今まであるものは缶=プルトップが多い。ただ、プルトップの蓋を開けて捨てた時に、みんなが靴を履いているとは限らないので、着の身着のまま逃げていたら足を切って破傷風になってしまう。それを防ぐ為に袋にした。また、食べ終わった後、水の配給時に水を入れて持ち運べるよう敢えてチャックを付けた。」
さらに、パッケージの裏面には非常用伝言ダイヤルの番号などをプリントするなど、「もしもの時」に役に立ててもらう工夫も随所に凝らしていました。
★“アレルギーフリー”の防災スイーツ、現在開発中
最後に吉田さんは、防災スイーツの“第2弾”も考えていると教えてくれました。
- 「ガトー・ド・ボワイヤージュ」代表取締役会長 吉田三喜雄さん
- 「いまは、色々なアレルギーの子供や、「ビーガン」という動物性のものを食べない人がいる。被災地に商品を寄付したら、子供がアレルギーだから食べられないと言われた。でも、子供は正直なので、食べたそうな顔をするんです。お菓子は分け隔てなく喜んで食べるもの。そこに僕達の商品開発の意義があり、ビーガンの人たちのためにも、アレルギーフリーの商品を開発出来た。」
この第2弾「アレルギーフリーの防災スイーツ」は今年11月〜12月頃には商品化できるかもしれないということで、アレルギーがあっても口にできそうです。さらに今後は専門機関のテストを受けて、1年後位には「備蓄品」として販売できそうと、お話してくれました。