手軽に美味しい料理を購入できる移動販売車『フードトラック』いまビジネス街などを中心に見かけることが多くなりましたよね。今日はそのフードトラックについてのお話です。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!9月18日(水)は、レポーターの近堂かおりが『脚光を浴びるフードトラック。その役割は防災にまで?』というテーマで取材をしました。
★マッチングサービス【TLUNCH】
フードトラック増加の背景にはこんなサービスがありました。株式会社 Mellow、共同代表の石澤正芳さんのお話です。
- 石澤正芳さん
- 「【TLUNCH(トランチ)】というサービスをさせていただいて、これ何かと言うとフードトラック、移動販売とかいろんな呼び方はあると思うんですけど、その場で調理盛り付けをするフードトラックを出店する場所を作っていくという業務をしてる会社です。まあオフィス街のビルの下のちょっとした空いているスペース、デッドスペースだったりとかそういったところ私どもが貸していただいて、そこにフードトラックの事業者さんが日替わりで出店するっていう形を作っています。これはオフィス街の食難民、まあ昼食難民って言葉があったりするんですけど、選択肢をもっと増やしましょうと。なかなか同じようなメニューしかないところにフードトラックが日替わりで行くことによって、おいしくて、専門店の味が食べれるような仕組みを作っていくってことしている会社です。」
フードトラックと空きスペースをマッチングさせるサービス【TLUNCH(トランチ)】。(トラックとランチでトランチです!)
トランチは2016年にサービスを開始。フードトラック事業者にとっては出店スペース確保が、ビルオーナーにとっては空きスペースの有効活用が可能。そして、お客さん側はTLUNCHのアプリからフードトラックを検索、昼食が充実!というわけです。
メロウは出店料として、フードトラックから売り上げの15%を受け取り、その3分の1に当たる5%をビルオーナーに配分する仕組み。現在、およそ160カ所のスペースを確保。およそ600台のトラックと提携中。2016年のサービス開始から右肩上がりで増えているそうです。
★個人だと困ることが解決できて、助かります!
TBSがある赤坂にもあちこちにフードトラックが来ているのですが、それもこのトランチの登録フードトラックでした!(知らなかった!)その赤坂に来ていたフードトラックの事業者のみなさんに、トランチのサービスを使った感想や、使う前との違いを伺いました。
- ●「うちは熟成牛のハラミステーキを売ってるお店です。かれこれ5年ぐらいですかね。分からないことがあっても直接聞けなかったりするので気軽にこのアプリを利用してやりとりができるっていうところが、一番魅力ですかね、やりやすいと言うか。」
- ●「十勝の牛トロ丼を出してます。まだ半年ぐらいです。最初場所探しが大変って聞いてたので、そういう会社さんがあるって聞いて心強いなって思いましたね。なのでまだ日が浅いのにこういうところで出せたりとか、あと他の同業者さんと知り合える機会があったりとか。」
- ●「ベトナムごはん、トムヤムご飯、カオマンガイ、大体この3種類を中心にご飯もの売ってます。やっぱりキッチンカーの良いところって、だんだんメニューを改良していったり金額をこうした方がいいのかなとか、そういう色々試行錯誤できるとこだと思います。そういうのがデータではっきりわかると、女性客が減ってるからこういうものを改良した方がいいなとか、すごくそのデータってのが一番僕ら欲しいところなんでありがたいですね。」
フードトラックは、みなさん個人で営業しているので、その営業には様々な苦労があるんです。
まず出店スペースの確保。きちんと許可を得なければ道路交通法違反となってしまうし、だからと言って、個人でビルのオーナーに交渉に行くというのもハードルが高いですし、交渉に行ったとしても門前払いされることも多い。また、フードトラックは日替わりで出店場所が変わることが多いが、それぞれのビルオーナーによって、それぞれのルールがあるのでその把握が大変。そういった手続きもやってくれる。
そして、トランチでは、その出店場所ごとに売り上げデータを集めて、フードトラックの事業者に開示しているので、自分のお店だけではなく、売り上げ状況の把握できるので戦略が練りやすい。一人でやっていると、場所のせいにしがちなのだそうですが、メニュー?看板?など、原因を探って改善していくことで売り上げの増加や安定につながる。また、どのくらい売れる場所なのか、が把握しやすいので、ロスが少なく、その分の費用でメニューの改善などがしやすい、と話すフードトラックオーナーもいらっしゃいました。
★【フードトラック駆けつけ隊】が発足!
そしてフードトラックはランチだけでなく、新たな活躍の場も出てきているそうです。再びMellow の石澤さんのお話です。
- 石澤正芳さん
- 「フードトラックの事業者さんといろんな取り組みというか、お付き合いしていく中で、東日本の震災があった時になんか支援したいっていうのがあったんですが、当時ってまだフードトラックを認めて頂いてないし、認知度もないので行く場所がないんですよね。行きたい気持ちはあるんだけど、勝手に行くわけにもいかなくて。なので今回ちゃんと組織として支援する団体として、「フードトラック駆けつけ隊」っていうのを、この防災の日の9月1日に発足させていただいて、これからこの団体として色んな所支援していけたらいいねっていう矢先に、今回の千葉の台風のことがあって、まあ困ってらっしゃる方がいるんでそこに支援する方々を募って行こうということで、木・金・土・日と4日間展開させていただきましたね。今回は千葉県の市原市と館山市とあと南房総市に行っています。」
これまで『フードトラック事業者としてボランティアをしたい』と各事業者から相談があったが、個人で行っても受け入れられない、被災地の情報が得られないという難しさがあった。
これを各自治体と事前に連携をとることで、ボランティア団体や行政などと協力し、フードトラック事業者による「食」の支援活動をサポートするというもの。
事前に賛同を募ったところ、すぐに100台以上が集まってくれた。今回の千葉の台風でも現地に赴いて実際に支援活動を実施。温かい「食」を届けた。機動力のあるフードトラックならではの支援ですよね。
★個人店の新しい形。フードトラックの可能性!
最後にフードトラックの可能性についてMellow の石澤さんは、こんなお話をしてくださいました。
- 石澤正芳さん
- 「そもそも飲食店に限らず、お店がそもそも固定である必要ないと思ういう風に僕ら思っているので、移動型のモビリティのショップが世の中に普通にある世界観を作っていきたいなと思っているので。もちろん今トライアルとして夜の展開だったりとか朝だったりとか今はもう食べ物に限らず他のサービスでもいいと思うので、例えば花屋さんとかでもいいですし、夕方になるとビルの下に野菜の車が来たりとか魚屋さんが来たりとかそんな世界観でもいいでしょうし。ちょうど帰りがけに主婦の方が野菜も買ってこうとか。八百屋さんにしても魚屋さんにしてもお店ってものが無くなってないですか?大型スーパーだったりとかそういったとこにでも集約されていて。でもそうじゃないニーズって絶対どっかにあるはずなんで。個人の方がやっているお店の良さっていうのを残していくためにはもうこのモビリティのショップしかないのかなと。たまに来てくれるだけでいいじゃないですか、毎日いる必要はないと思いますけど。だから皆さんハッピーなるんじゃないかなと思いながらこのモビリティの仕組みっていうのは考えています。」
フードトラックという業務形態だからこそ出来るお店、満たせないニーズが多くあるのではないかと言う石澤さん。今後色んな形態のモビリティ型の店舗が出てくるのが楽しみですね。
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。