★夜盲症を助ける「HOYA MW10 HiKARI」の挑戦
この番組で注目している「HOYA MW10 HiKARI」、夜盲症の方の見えないを見えるに変えるデジタルメガネで、先月、新しい取り組みがありました。
それは「MW10を使って、広島平和記念資料館を観覧しよう!」という取り組み。
HOYAでは、MW10の体験会をあちこちで開催していますが、ただ機械の性能を体験するだけではつまらない。どうせなら、見たかったものを見る体験会に、そんな発想から、これまでも、沖縄の美ら海水族館などでの体験会を行ってきました。
そして今回の舞台は、広島平和記念資料館。体験会は8月24日(土)と25日(日)、それぞれ午前の部と午後の部で、合計4回、行われました。
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暗いところで見える、視野も広げる、最新型の「MW10 HiKARI」公式HPから
★MW10で広島平和記念資料館を観る
24日午前の部に集まったのは、男性2名、それぞれ暗いところで見えにくいという夜盲の方でした。
初めてつけるMW10はどうか?最初は明るいところでつけて、明るさの調整、測光モードの切り替え、そして広角モードの切り替えなど、操作を確認しながら目を慣らします。そしてベストな状態に設定してから、いざ、平和記念資料館の展示室へ。
展示室の中は、いわゆる資料館や美術館と同じような状態。薄暗いとはいえ、障害がない方なら、全く問題なく見えます。しかしそれが、夜盲症の方々には見えないのです。
★「視覚障害の人に見て欲しい」
午前の部に参加された田中彦市さん。やはりMW10を外すと何も見えないという展示室でしたが、MW10をかけたら見えた!
![田中さんと原爆ドーム](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/09/4c8818da3a4c6ee3f1ea3b766a75ee76-533x400.jpg)
参加された田中彦市さん。原爆ドームなど被爆後の街の写真の前で
- 田中彦市さん
- 「へぇー今まで見たことない写真、久しぶりにドームを見た」
田中さんは、見えているものを確かめるように、写真をなぞりながら、しばらくじっと、眺めていました。
そして、体験後、MW10の感想を聞かれると、
- 「見れんものが見えた。見れることないので、よかった。視野は普通と考えたら、倍くらい見える」
また、自分の目で広島平和記念資料館を見たことについては、
- 「4、50年ぶりに来た。目が悪くなったのは16、7年前、その間、見る機会がなかった」
そして平和について聞かれると
- 「視覚障害の人いるけど、見て欲しい」
言葉は少なかったですが、観ることで感じる平和がある、だから見えないを見えるに変えて欲しい、そんなことを考えさせられる一言でした。
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ノーモア・ヒロシマの文字を確かめる田中彦市さん
★「資料館は暗いから来られなかった」
午後の部に集まったのは3名の女性。こちらも、一つ一つの展示を、MW10の操作を確認しながら、ゆっくりと見て回りました。
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初めて来られたという浜田順子さん
体験会の後で、広島に引っ越してきて5年という浜田順子さんは、
- 浜田順子さん
- 「広島に来た時から資料館に行きたいとずっと思ってたんですけど、やっぱり暗いっていうので、来れなかったっていうのが正直なところで、今回、だから本当に見せていただけて、すごく、胸を打たれるものがあって」
夜盲症のせいで行けない場所がある。近くにいても、時間があっても、行きたいのに行けない、そんな人がいるということ、そしてそうした人が平和について考えるチャンスが少なくとも1つは奪われていること、改めて感じさせる体験会となりました。
★MW10の実力は
気になるMW10の実力はどうだったのか?午後の体験会のあと、参加された女性3人に伺いました。
まずMW10は患者さんの視力、目の状態によっても違います。寺中久美子さんの場合は
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寺中久美子さんと原爆ドーム
- 寺中久美子さん
- 「暗いところだったら、はっきりと、見えますけど、明るいところに来ると、ちょっと、光が減少してしまいます。それから、あの字を読もうと思ったら、ちょっと読めなかったんですけど、漢字はちょっと、で、あの時に拡大していただいた時には、少し見えました」
それから
- 「良いものだとは思いますけど、ちょっと重たいんですよね。機械がいっぱいついてるのは分かるんですけど、重たいので、ちょっと頭が鼻が痛くなった」
ただ、今日初めて使って苦労したようですが、ただ、全体としては満足するものもあったそうです。
- 「字を読もうと思ったら、ちょっと読めなかったんですけど、拡大していただいた時に、少し見ました。 それから、 慣れるまでに、少し時間がかかったのと、 何を見るかによって、焦点を合わすのに、 なかなか時間がかかりましたが、 良いものだとは思います」
それから今回のような場所は、MW10にとってはハードな環境と言えそうです。体験した浜田さんのお話。
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浜田順子さんと原爆ドーム
- 浜田順子さん
- 「操作が、明るい、ちょっと明るい、今のこの部屋だとこのライトだからちょっと明るくしたり暗くしたりって感じで、操作を、その場面場面でちょっと変えてかなくちゃいけなかったっていうのは、ちょっと、煩わしいというか、ちょっと困ったなっていう風に思いました。で、それは何でかっていうと、付き添ってくださった方がおっしゃってたんですけど、資料館って言うので、その部屋部屋で、場面だとかライトの当て方とかが違うので、その辺の操作に慣れないといけないっていうのは、すごく感じました。」
ただ、やはり「見えた」ことへの喜びはあったそうです。
- 「今日ずっと、中を見せていただきながら、確かに遠近の問題とか重さの問題はあるんですけど、それ以上に、暗い中で見えるって言う事が、すごく、あの本当に嬉しかった、ほんと嬉しかったって言うのが、一番良い印象」
外から見ていた印象では、細かい字を見るのに苦労していたようでしたが、それについては、
- 「私の場合は、書いてある字も、近くに行ったり、拡大していただいたりしたら、すごく綺麗に鮮明に見えたのも、私、今まで読めたことがないので、とても良かったなと思いました」
★広島平和記念資料館を見て
最後に、MW10で見た広島平和祈念資料館の感想を浜田順子さんに聞きました。
- 「今回、本当に見せていただけて、すごく、胸を打たれるものがあって、とても良かったと、思ってます。資料館は、一つ一つじっくり見ていくと、もっとこう、自分の計り知れないような、言葉では一言で悲惨とかって言い表せないような、状況があったっていうことなので、私には、なんかそういうふうに、そう簡単に、大変、こう、悲惨だったんだっていうふうに、なんか、ちょっと、おこがましくて言えないなっていう、本当にすごく感じました」
★「見えない」を「見える」に
今回のハードな環境でも、効果があったMW10。今回指摘されたポイントも改善されながら、夜盲症の「見えない」で悩む方々の手に少しでも多く届けば。
40万円近くする高額がネックとなっていましたが、熊本県天草市では、ついに全国初の福祉用具「日常生活用具」の給付対象となり、わずかな自己負担で買えるようになりました。こうした動きが全国に広がれば、患者さんの生活がぐっと改善されます。
また、善意でMW10を広めようという動きも出ています。それは、盲学校の生徒にMW10をプレゼントするクラウドファンディング。
→ https://readyfor.jp/projects/MW10
どういう形であっても、一人でも多くの見えないを見えるに変え、そのことで、バリアフリーが広がることが大切です。
★夜盲症の方の暗所視支援眼鏡「MW10HiKARI」
これまで放送でお伝えしてきたのは
「1:製品が完成」
「2:全国発売に」
「3:視野拡大も」
「4:プレゼント!」