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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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白黒写真をAIでカラー化して、記憶を呼び覚ます !

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お盆で帰省したときに実家で古いアルバムを見る・・・そういう機会もあるかな?と思いますが、今日は古い白黒写真のお話。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

8月13日(火)は、レポーターの近堂かおりが『白黒写真をAIでカラー化して、記憶を呼び覚ます!』というテーマで取材をしました。

 

白黒写真をAIでカラー化して、記憶を呼び覚ます !http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190813073440

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★古い写真、どうしてる?

まずは古い写真をみなさんどうしていらっしゃるか、年配のみなさんにお聞きしました? 終活&断捨離で処分? それとも頑張って紙からデジタル化? そして今でも古い写真を見ることはあるのか?

●「90%ぐらいはがっさりダンボールの中へまとめて、10%ぐらいの気に入ったものだけをデジタル化してますね。ダンボールに入ってるのは何もしてない。」
●「私の母とか父のは戦時中だったので焼けて、ない。私の独身時代のやつは小さい1冊に結婚するときに選んで、いらないやつは捨てて。最近、携帯かスマホになってからは ファイルごとに保存してますけど、でもかえってそのほうが見ないかもしれない。写真のほうが整理整頓するときに見るけど。」
●「それはアルバムに取っといてますよ。小さい頃のやつはおやじやおふくろがアルバムにしてくれてるでしょ。それはちゃんと保管してます。昭和12年のがあるよ。生まれたときの。田舎に疎開したときには持っていきました。もうほとんど自分でも見ないよ。」

溜まった古い写真をどうするか、結構、大変ですよね。でも、わりと整理、処分したという方が多かったです。そしてここ何十年も古い写真を見ていないという方も多かったです。

★写真を思い出すと蘇る記憶。

でも、見ていないアルバムなのに、どんな写真があったか尋ねると、みなさん鮮明に記憶がよみがえってくるようです。

●「いちばん印象に残ってるのは幼稚園ぐらいのときかな。半ズボンで真っ黒で。下駄が片一方なくて。それこそ銭湯行って来いなんて言われて、お風呂場に入ったとたんに足跡がつくぐらいの汚れてるんだから。近所のおやじに怒られて。しっかり洗ってこい!って。それでお風呂の常識みたいなものを覚えたっていうか。」
●「父母が若いときの写真を見せてもらったりとかしたときに母が昭和ヒトケタなので、日本髪を結って着物を着てる。きっとおめかしして歌舞伎とかを観に行ったりしたときのだと思うんですけど。」
●「一番小さいので幼稚園ごろかな。高松空港のすぐ近くで池がたくさんあるところで、池の水がまるっきりなくなる季節には池の中で遊びました。」
●「そりゃ、生まれたときに母親に抱かれてるやつ。それとやっぱり七五三で神社の前で撮った写真。それから疎開して田舎の友だちなんかと撮ったやつは印象に残ってます。」

写真に付随するそのころの思い出とか風景がどんどん出てきました。

★カラー写真のもつ現実感!

そんな中で、古い白黒写真を人工知能(AI)を使ってカラー化して、戦中・戦後の記憶を若い人たちに伝えていこうと取り組んでいる方がいます。

東京大学大学院・渡邉英徳教授。戦争前から戦後の白黒写真をAIを使ってカラーにして、それをツイッターなどでたくさん公開している。例えば先日は、73年前の8月6日、原爆が落とされてから1年後の広島の写真をカラー化したものをツイッターで流した。

こちらがツイッターで紹介された写真です。

1946年8月6日原爆投下から1年を迎えようとする広島にて。福屋百貨店の屋上から、市内の焼け野原を若いカップルが見つめる。ニューラルネットワークによる自動色付け+手動補正。(写真:共同通信社)

すると年配の方だけでなく、若い人たちがその画像をみてたくさんコメントを投稿したり、その画像をほかの人に拡散する動きが見られたそうなのです。こうした活動をはじめたきっかけを渡邉さんにお聞きしました。

渡邉英徳さん
「僕はずっと広島とか長崎とかで戦争の記録写真のデジタルアーカイブを作ってきたんですけれど、写真自体はあんまり人々に見てもらえないんです。そうしている中で、2016年に早稲田大学の飯塚先生の開発したAIでちょっと 試してみたんです。広島の原爆の破壊された街の写真をカラーにしてみようとやったら、僕自身がものすごく驚くほど臨場感が増して、ツイッターに投稿 してみたんです。「こんなふうになるんだ! びっくりした」っていうふうに書いたら大変な反響で、それがスタート地点です。」

過去の資料とか、年配の方の証言などをAIに学習させて、白黒画像をカラー化するソフトを早稲田大学の飯塚里志さんが開発した。それを利用。渡邉さんは広島や長崎の原爆投下前後の写真のアーカイブを作ってきたが白黒写真だと「資料」として見てる。それは間違いではないが若い人にはちょっと距離感がある。それを、カラーにしてツイッターで流すと、今のニュースが流れてくる間に、ぽっと戦争当時の広島や長崎の画像が流れてくるので、急に現実感が迫ってくる、ということのようです。

★カラー化でより鮮明な記憶を後世に。

「古い記録写真」だったものが若い人たち刺激を与え、各地でいろいろな動きも出てきているようです。再び渡邉さんのお話です。

渡邉英徳さん
「最初はぼくがツイッターでカラー化していろいろ発信しているのを見て、触発された人たちが全国のいろんなところで自発的に始めてるっていう状況が起きています。広島の地元の高校生が、実際に広島で戦争体験者した方々から、破壊される前の広島の街ですね、平和だった時代の広島の街の写真を提供してもらってカラーにして、実際に本人とお話をしながら詳しいことを聞いていって記録していくっていう活動をしてます。ご本人は「これ、私写ってないんだけど」と思っているような写真も結構あるんですけど、カラーにしてみると「あ、ここに私写ってたわ」と気づかれたり、そういうことが起きたりするんですね。」

先ほど街の方の声をお聞きいただいたように、年配の方々は白黒写真でもかなり記憶が鮮明によみがえるんですが、カラー写真にしてみるとさらに詳しい記憶がよみがえって、証言が集まるケースがままあるそう。ほかにも長崎や青森など各地で、渡邉さんのカラー写真に刺激を受けて戦争中の証言を集めるような動きがあるそうです。

渡邉さんは、「こうしたことは僕にはできない。大学の先生が『話を聞かせてください』といっても通用しない」とおっしゃる。「やっぱり地元の若い世代が当事者の方々にお話を聞いて、記憶を引き出していくっていう動きがないとそういうことは実現しないですよね。」と、動きが広がっていくことを喜んでいました。

思い出は白黒でも十分鮮明。カラーにも負けないでしょう。しかし一方、歴史の証言を集めるためには、AIを大いに活用してほしいですよね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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