今、東京駅周辺のバスターミナルが、混乱状態となっています。5月28日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
なにが起こっているのか、高速バス マーケティング研究所の成定 竜一さんのお話です。
★バス停の場所が分かりにくい!
- 高速バス マーケティング研究所の成定 竜一さん
- 「全国的に高速バスの停留所は不足しているんですが、特に今は東京駅。高速バスの乗り場が分散してしまっていてわかりにくい状況になっている。今現在で6箇所。八重洲口のバスターミナル、徒歩5分のところにある東京都が持っている駐車場からもたくさん出ています。それとは別に路上にバス停が4つある。数年前まで新宿もいろんな所に分散していたが、バスタ新宿ができて一ヶ所に集約されたが東京駅はまだ分散したまま残っている。それから、待合室のスペースに限界があり、どうしても待合室に入れない人が立って待っている。」
高速バスの停留所。これが分散していてわかりにくいんです。
いわゆる高速バスというものは2つにわかれていて、1つは「一晩かけて東京〜大阪間など長距離を結ぶバス」、そしてもう1つは「日中に運行し、水戸、木更津、つくばなど短距離を結ぶバス」です。
「高速バス」と聞くと夜通し走るバスを想像しますが、実は高速バスの9割は昼のバスなんです。
近年、格安の高速バスが出てきたことで利用者が増加し年間1億1000万人。これは10年前と比べると5割増えています。国内線の飛行機の利用者は8500万人なので高速バスは飛行機よりも利用者が多いいんです。
★もう帰りたい!
そんな中で出てきた問題が「バス停がわかりにくい」ことと「待つスペースがない」こと。東京駅の八重洲口のバスターミナルでバスを待っている方に話を伺いました。
- ●「静岡に行きます。お店とかもすごい混んでて入れない。利用者数がいっぱいいるのにそれに比べて待つスペース、利用する場所が少ない。もっとあった方が良い。」
- ●「今日茨城に行きます。何が大変?暑い、クソ暑い。あと1時間待たなきゃいけない、もう嫌です帰りたい!」
- ●「名古屋駅までの高速バス。ネパール人です。15時半のバスなのに2時間前に来て待ってます。新幹線で行くと名古屋駅まで1万5千円。高速バスなら5千円ちょっと。だから高速バスの方が良いと思いました。」
この暑さの中、1時間以上待っているのはかなり大変ですが、東京駅八重洲口の高速バスの待合室は50人ほどしか入れないので、すぐにいっぱいに!ネパールの方は、2時間前に来てバス停を確認し、それからずっと待っていました。
そして、それだけではないんです。昨日は、ある事情が重なり待っている人が多かったんです。再び成定さんに伺いました。
★トランプ大統領来日の影響
- 高速バス マーケティング研究所の成定 竜一さん
- 「今日はトランプさんのあれでロッカーが開いてない。荷物を見てなくちゃいけないので移動するわけにもいかないので1ヶ所で待つことになっちゃいます。/今朝京都から来て、今日はトランプさんが来ていて、預けられないということだったので、そうなのかと。そうは言っても重たい荷物の方や年配の方は苦労するという感じですね。」
これはバスの利用者に限った話ではありませんが、実は先週末から、トランプ大統領の来日にともなう警備強化で、東京駅のロッカーがすべて利用禁止になっています。なので、大きなトランクを持ったまま、長い時間バスを待っている方が大勢。大きな荷物を持ったままわかりにくいバス停を探し、確認したあとも、バスを待つスペースがなく、お店もいっぱいなので、路肩に座って待っている方もいました。
色々な課題が見えてきましたが、これからオリンピックもあり、東京に来る方や、訪日外国人もどんどん増えていきます。東京駅にもバスタ新宿のようなわかりやすい施設を作ることはできないのか。そういった計画はないのか、聞いてみました。再び成定さんのお話です。
★オリンピックに間に合わない!?
研究所の成定 竜一さんさん
- 「これまで日本では、高速バスのバスターミナルは主にバス会社自身が整備をしてきた。バス会社は大体、私鉄やJRのグループ会社で、駅の一角を親会社から借りて営業していた。今はバスターミナルより商業施設を建てることが増えている。一方で高速バスのお客は増えていて、東京駅はわかりにくいという状況がありますので八重洲口の道路の向かい側に、中央区が主体になって高速バスの建設が進んでいます。これが非常に残念なことに、建設はオリンピックには間に合わない。本当は一部でも間に合うという話だったが、いまのところオリンピックのあとに開業する予定なんです。」
いまのところですが、東京駅の複合バスターミナルは、オリンピック後に開業予定なんです。その理由は、高速バスを運行する会社はたくさんあり、だれがお金を出すのか、発着時間の調整はどうするのか、広い休憩所をつくってもだれが警備するのかなどが決まっていないから。建設計画は始まっているのに、たくさんの会社を中立的な立場で集約するのが非常に難しく、まだまだ課題だらけなんです。