いまコンビニやファミリーレストランで「脱プラスチック製品」の動きが進んでいます。各社で広がる、プラスチックごみ削減のためのユニークな手法について、5月27日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、独自の社内ルールを設けてプラごみを減らす、ニュージーランド航空・日本支社、フィナンス・マネージャーの木村宏さんのお話。
★“プラごみ”の社内持ち込み禁止!
- ニュージーランド航空・日本支社 木村宏さん
- 「使い捨てになるプラごみを社内に持ち込まないという事で、主に5種類(ペットボトル・レジ袋・プラ製の飲み物の蓋・ナイフ・フォーク・ストロー)を持ち込まないというルールを作りました。背景には、我々航空会社は飛行機を運行するのに二酸化炭素を大量に排出して環境に負荷を掛けているという問題意識を持っているので、出来る事から始めようと思った。」
ニュージーランド航空の日本支社では、今年2月から「プラごみ持ち込み禁止」の独自ルールを導入。基本的に罰則の規定はありませんが、「原則禁止」とする事で、社員の意識改革に繋げる狙いがあるそうです。もともと本社のあるニュージーランドは環境意識が高い国。本社ではすでに様々な取り組みが行われていましたが、今回、日本支社としても独自ルールを設けました。
★マイボトルの利用者増
では、導入から3カ月が経ち社員の意識は変わったのか?マーケティング部のモリセイ・雅さんに聞きました。
- ニュージーランド航空・日本支社 モリセイ・雅さん
- 「私は7年ちょっとニュージーランドに住んでいたので、環境に対する取り組みや意識に違和感は無かった。私の場合はマイボトルが、日頃持ち歩く物に加わったアイテム。レジ袋は貰ってしまいがちですが、これから貰わないようにします…。」
モリセイさんは今でもレジ袋を貰ってしまうこともあるそうですが、カフェでのストローの使用を避けたりと、徐々に意識に変化が起きているようです。中でもうっかりしてしまうのが、カップは紙でも蓋がプラスチックの、カフェやコンビニの持ち帰りコーヒー。この蓋も社内の持ち込み禁止リストに入っているので、ドリップタイプのコーヒーや茶葉を持参し、マイボトルやマイカップで飲む人が増えたそうです。
★お皿を食べてゴミ削減
ここまでは一企業の取り組み。今度は、プラごみ削減のためのユニークな商品についてです。愛知県碧南市にある丸繁製菓の専務、榊原勝彦さんのお話。
- 丸繁製菓・専務 榊原勝彦さん
- 「“食べられるお皿”と言う定義で、中の食材も楽しみながらトレーも食べてもらい、ゴミを減らして環境貢献に結びつける。材料はジャガイモのでん粉で、形は2種類。厚さは5ミリ位でちょっと固めの煎餅といったイメージ。大きな食のイベントで出るゴミを少しでも減らせないかと思い、開発した。」
丸繁製菓は元々アイスの最中を作っている会社。お祭りなどで焼きそばやたこ焼き容器のごみの多さに課題を感じ、食べられるお皿「e-tray(イートレイ)」を開発しました。味は、えびせん・むらさき芋・オニオン・焼きもろこしの4種類。なんと、かき氷にも使える耐水性があり、実際に町のお祭りなどで使われているそうです。
★お箸もボキボキ食べられます
さらに、榊原さんのはこんなものも開発しました。
- 丸繁製菓・専務 榊原勝彦さん
- 「“食べられるお箸”と言う事で、お皿だけでなく箸も食べられるようにした。箸として使った後に食べてもらう発想で、材料はイグサを使用。イグサという食材は食物繊維が豊富で、一膳分食べてもらうと小サラダ一杯分の食物繊維が採れる。」
こちらも「ごみを減らすなら食べちゃえばいいじゃん!」という発想で作られた逸品。お箸をかじってみると瓦煎餅のような固さと甘さがあり、食後のおやつとしてサクッと食べられました。
★海外への輸出も視野に
また、榊原さんはプラごみ削減の動きが世界的に広がっている事を実感しているようでした。
- 丸繁製菓・専務 榊原勝彦さん
- 「海外からの問い合わせは非常に多く、フランス・イギリス・オーストラリア・シンガポールなどから問い合わせが来ている。海外だと、条例でプラ容器が禁止される流れがあるので、まだ問題はあるが、何とかチャレンジして流通させてみたいと考えています。」
特に食べられるお皿「e-tray」は、海外から引き合いが多いそうです。日本よりも“脱プラ”の動きが加速している海外で、今後、お皿をバリバリ食べる姿が当たり前になるかもしれません。